そこは、パンドラスペースの崩壊により分かたれたパラレルワールドの1つ。
それは、ドラゴンが強大な力を持ち、ドラゴンが支配する世界。
そこでは、常にドラゴン同士の争いが繰り広げられていた。
ドラゴンでない他の種族は、その殆どがドラゴンの下僕となり、それ以外の者達は、皆迫害を受けていた。
アウトレイジ、オラクル、エイリアン、オリジン……。
彼らは強大な龍の力の前に余りにも無力であったが、争いの終わった平和な世界を夢見て、抵抗を続け、健気に生き延びていた。
龍の争いから人々を守る為戦う者たちは、二つの派閥に分かれていた。
一方は、龍を滅ぼし世界を取り戻す為に、自分達から龍に争いを挑もうとする者達、反撃派。もう一方は、今ある居場所だけでも守り抜く為に、自分達から龍に争いを挑むべきではないと言う者達、防衛派。
その防衛派の指導者は、遠い星から来た科学者だった。
心優しく、知恵のある男だった。
ある日、彼は古代の遺跡から、龍に対抗する兵器の記録を発見した。
その兵器を再現すれば、龍の侵略を食い止める抑止力になるかもしれない。
しかし反撃派にこの存在が知られれば、彼らはそれを用いて龍に争いを仕掛け、結果全面戦争が起こり、より多くの人々が命を落とすかもしれない。
その可能性を危惧し、彼は苦悩していた。
ある日、反撃派の指導者である男が彼の元を訪ねて来た。
その男は、意見の違いから決別した、彼のかつての友だった。
男は、一人の少女を……自分の幼い娘を、彼に託した。
「我々は命を賭けねばならない、しかしこの子を巻き込む訳にはいかない」と。
そう告げた反撃派の指導者は、彼の元に娘を置いて去った。
程無くして何度目かの、龍と反撃派の大規模な戦争が起こった。
反撃派の指導者は、少女の父は、健闘空しくそこで命を落とした。
月日は流れ、少女は力強く成長した。
彼女は、龍と人々が争う必要のない世界、龍と人々が共存する平和な世界を夢見る、心優しい娘に育った。
防衛派の指導者は、その考えは非現実的で馬鹿馬鹿しい物だと考えていたが、しかしその少女の純真な夢は、確かに彼に希望を与えていた。
もはや龍の争いを終わらせ、世界を取り戻す希望は無いに等しかった。
それでも彼は、少女の夢に心を打たれ、諦めずに抵抗を続けた。
今ある居場所だけでも守り抜く為に。子供達の夢を未来に届ける為に。いつしか少女の存在は、彼の希望となっていた。
そんなある日、防衛派の隠れ里を、突如現れた龍が襲った。
龍達が世界を蹂躙し、領土を広げていくうちに、そこはいつしか、二体の強大な龍の領土の境目になっていたのだ。
小さな最後の楽園は、戦場と化した。
防衛派の戦士達は、必死で皆を守ろうと龍の侵攻を食い止めた。
しかし力の差は明らかだった。
もはや立ち向かえる者は居なかった。
指導者は、もはやこの場所を捨てて逃げるしかないと分かっていた。
その時だった。彼と、彼と共に逃亡しようとしていた者達に、龍の炎が襲い掛かった。
少女は、幼い子供達を龍の攻撃から庇い、倒れた。
彼は傷ついた少女と、彼女が守った子供達を連れて、必死に戦場から逃れた。
しかし、少女は助からなかった。彼の介抱も空しく、彼女は彼の傍で静かに息を引き取った。
「いつか誰も争う必要のない世界を作って」という遺言を遺して。
彼の生きる希望は打ち砕かれ、そこにはただ絶望しかなかった。
しかし、彼はまだ死ねなかった。
龍への復讐を遂げる為に、少女の願いを叶える為に、死ねなかった。
彼は再び、古代兵器の記録がある遺跡へ向かった。
争いを望まなくとも滅ぼされると知ったのなら、彼に迷う理由はなかった。
もはや、何を犠牲にしても構わなかった。
この世から、龍を残らず滅ぼす事が出来るのならば。彼は、『太陽』と『月』……2つの対ドラゴン兵器を現代に蘇らせた。
そして彼は、その二つを組み合わせ、最終兵器を生み出した。
彼が愛した亡き少女の姿を模ったその兵器には、その少女の名前……アルテミシア、という名が与えられた。
『誰も争う必要のない世界』を実現する為に、防衛派の指導者は、最終兵器の創造主となった。
そして遂に、彼の英知と憎悪の結晶、美しき最終兵器、『幻月光姫アルテミシア』は目覚めた。
彼女は「全ての龍を滅ぼせ」という命令に従い、飛び立った。
そして、龍達が争う戦場へ飛び込み、蒼白い光を放った。
最終兵器の光を浴びた龍は一瞬にして石になり、そのまま彼女によって粉々に砕かれた。
いつしかその眩い光は世界を覆い尽くし、その光に戦いを挑んだ龍は皆、跡形も無く滅ぼされた。
かつて自分達が蹂躙したか弱き者達のように、龍達は力無く滅んでいった。
この世から龍が一体残らず消滅した事を確認すると、美しき最終兵器は、姿を隠し、眠りについた。
最終兵器の攻撃により、この世界は荒廃していた。しかし最終兵器の創造主は、それを気にも留めなかった。
いつか世界は再生し、生き残った者達が、そこに争いの無い平和な世界を築くだろう、そう彼は考え、彼は愛した少女の遺言を、龍の争う世界を生き残った子供達と、龍の支配から解放された知恵ある者達に伝えた。
そして彼は、『アルテミシア』と共に永い眠りについた。
☆幻月光姫アルテミシア☆
- すみません、一部文章の区切りを変えて欲しい所があるので一応こちらにも書き込んでおきます -- AquaN=Esper (2017-07-26 22:51:10)
- 1つ目、「それ以外の者達は、皆迫害を受けていた。」と「アウトレイジ、オラクル、エイリアン、オリジン……。」の間を詰めて、「抵抗を続け、健気に生き延びていた。」の直後で区切ってください -- AquaN=Esper (2017-07-26 22:51:31)
- 2つ目、「「我々は命を賭けねばならない、しかしこの子を巻き込む訳にはいかない」と。」と「そう告げた反撃派の指導者は、彼の元に娘を置いて去った。」の間を詰めて、「健闘空しくそこで命を落とした。」の直後で区切ってください -- AquaN=Esper (2017-07-26 22:51:45)
- 3つ目、「月日は流れ、少女は力強く成長した。 」から「いつしか少女の存在は、彼の希望となっていた。」までは一つにまとめてください -- AquaN=Esper (2017-07-26 22:52:01)
- 最後、「美しき最終兵器は、姿を隠し、眠りについた。 」の直後で区切って、「最終兵器の攻撃により、この世界は荒廃していた。しかし最終兵器の創造主は、それを気にも留めなかった。」の一文は「いつか世界は再生し~永い眠りについた。」までの所と一纏めにしてください -- AquaN=Esper (2017-07-26 22:52:15)
- 以上です。掲載ありがとうございます。 -- AquaN=Esper (2017-07-26 22:52:56)
- 修正ありがとうございました。 -- AquaN=Esper (2017-08-15 18:05:33)
最終更新:2017年08月15日 18:05