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「プロローグ(謎のサムライX)」(2018/06/30 (土) 22:35:15) の最新版変更点
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*プロローグ(謎のサムライX)
20XX年現在。過去に行われた廃刀令という悪法によってニホンからサムライの存在は失われたかに見えた。
しかし、誇り高きサムライの魂は朽ちることなく歴史の裏で磨かれ続け今でもサムライは生き続けている。
―――否、それどころではない。サムライは増え続けている。そう、今この瞬間にも!!
確かに廃刀令・刀狩り・サムライ大虐殺etc 様々な政府の試みによってサムライは駆逐されようとしていた。
だが、それだけ御上に押さえつけられれば押さえつけられるほど燃え上がるのがサムライの魂という物。
その生き様・信念に憧れて、サムライになりたい、と願う若者が後を絶たず最近では小学生の将来なりたい職業ランキングでバーチャルyou tuberに次ぐ第二位にまでなっているほどの人気であった。
政府は、そんな事態を重く見ていた。このままではニホン、いや先人の築き上げてきたこのダイニホンテイコクにサムライが溢れてしまう!!
それだけは阻止しなければならない。と政府のお偉いさんたちは一つの政策を打ち立てた。すなわち―――プロジェクトN-Xの始動である
とある荒野にて、サムライの男女が向き合っていた。
男は筋骨隆々で、大刀二本を両手に構えた二刀流。その目はギラつき今にも目の前の女を切り殺したがっているように見えた。
対する女は涼しい顔で洋風の剣を構え、その殺気を受け流している。
ニホンでは今、サムライ達が二派に分れて戦争をしていた。
片やサムライとは剣術を極めしものであり、ビームなど邪道だというSSX(ソードサムライエックス)派。
片やサムライならカッコよくビームの一つ出せて一人前であるというQBD(急にビームが出たので)派。
二つの派閥の溝は大きく、出会ってしまった以上この二派は争い殺し合う宿命にあるのだ。
長いこと対峙していた二人だったが、SSX派である男がしびれを切らして仕掛けようと一歩間合いを詰めた瞬間―――
「食らいなさい!!エックス―――カリボール!!」
背後から強烈なアンブッシュを受けた。
「グワーッ!」
それは、ありえないことだった。サムライたるものアンブッシュなど言語道断、しかも一対一の果し合いの場でのことだ。他者による介入など到底許されることではなかった。
「ちょ、ちょっと貴女!彼は私の獲物よ、しかもいきなり不意討なんて―――」
卑怯な手段とは言え、SSX派の敵を倒してくれたのだから味方だろう。そんな油断をしながら、女性は抗議の声を上げる。
「うるさい。私以外のサムライ死ねぇ!!!」
「グワーッ!!」
だが謎の乱入者は、振り向きざまにビーム一閃。QBD派の女性は断末魔とともにあっさりと蒸発してしまった。
「ふぅ、一日百殺達成。今日もサムライをたくさん殺せましたね」
乱入者はさわやかな笑顔とともにそんなことをつぶやいて、その場を去っていくのだった。
―――キーンコーンカーンコーン
爽やかな朝。校舎には始業5分前を告げるチャイムの音が響いていた。
ここはニンジャジュツ学園。将来立派なニンジャになる事を夢見て、若き少年少女たちが通う華やかな学園だった。
「ごきげんよう、有都さん。本日もご機嫌麗しゅう」
「ええ、ごきげんよう副会長。今日も元気そうで何より」
そんな学園の一室、生徒会室では生徒会長の有都 理亜が副会長を始めとした生徒会役員たちと談笑をしていた。
今日は朝から緊急の会議があるため、各々のクラスでのホームルームに参加せずに、生徒会室に集まっているのだ。
会議の内容は今だに学長から話されていない。だが、緊急で集まるように連絡があった以上ただ事ではないだろう。
和やかに談笑しながら、しかし学長を待つ生徒会役員たちの間には確かな緊張感が走っていた。
「やっほー!みんな元気ー?」
そんな空気を壊すように、生徒会室の扉を開けて学長が入ってくる。
それと同時にホームルーム開始の鐘がなった。
「おお、ギリギリセーフだね。いやぁ、間に合ってよかったよかった」
「学長、私たちに早く集まるように言っておいて自分はギリギリですか……」
副会長が苦言を呈する。
「えー、いいじゃんいいじゃん。遅刻ではないんだからさ!ねっ、理亜ちゃんもそう思うでしょう?」
「……そうですね。ギリギリとはいえ時間は守っています。なので、学長には非はないかと」
「だよね、だよね!ほら、生徒会長である理亜ちゃんがこう言ってるんだよ!」
「もう、会長は甘いんですから……」
副会長は呆れたようにしながら、しぶしぶと引き下がるのだった。
「それで学長。一体今日は何の用ですか?」
学長は遅刻でこそないが、時間ギリギリな事実は変わらないため有都は早速本題に入るように促す。
「そうだね、それじゃあ単刀直入に言おうが―――この学園に潜り込んだスパイが見つかったんだ」
学長のその言葉に、一堂に緊張が走る。この学園は、ニンジャを育てるという特殊性ゆえに稀に外部から企業的潜入者、スパイが紛れ込むことがあるのだ。
「それは、確かな情報ですか?」
「えー、ボクを疑うの?……でも、うん、情報は確かだよ。スパイがいる。このニンジャジュツ学園に忍び込むなんて、まったく舐めたことしてくれるよね」
学長は言葉とは裏腹に楽しそうに笑っていた。
「と言っても、今はまだ決定的な動きはしていないから、しばらくは泳がせる方向で行こうと思うんだ。今日は、スパイがいるよって言う注意喚起だけだね」
「分かりました、それで、そのスパイとは?」
「うん、それはね―――」
そう言いながら学長が写真を取り出す。
そこに写った人物を見て理亜は顔をこわばらせるのだった。
「彼女がスパイだなんて……」
授業が終わり、自室に戻った理亜は未だにショックの中にいた。
スパイと言われた人物は―――彼女のルームメイトだったのだ。
「記憶喪失で本名も分からず、今年急に謎のコネで学園に入った彼女に怪しい所なんて……」
そんな風に悶々としていると、点けっぱなしにしていたテレビがあるCMを流していた。
曰く、日本という国でなんか大きな大会があるらしい。
それを見た彼女は思った。あ、これサムライの修行に丁度いいな。
こうして、さっきまでの悩みを忘れて彼女は大会参加を決意するのだった。
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