- 183 :名無しの心子知らず:2008/09/20(土) 17:34:38
ID:XT2r/OSn
- 盗人と彼の母親
ある少年が、友達の教科書を盗んで、家に持ち帰った。
母親は、少年を打ち据えるどころか、もっと盗って来るようにと促した。
少年は次に外套を盗み、母親の許へと持って行った。
すると彼女はまたしても、少年を褒めそやした。
少年は成長すると、大泥棒になり、ついに捕まった。
そして、両手を後ろ手に縛られ、処刑場へと引っ立てられて行った。
母親は、悲嘆に暮れて、群衆の中をついて行った。
そのとき、息子が母親にこう言った。
「お母さん、ちょっと耳打ちしたいことがあります」
母親が、息子のそばまで行くと、彼は突然、母親の耳に噛みついて、耳を噛み切った。
彼女は息子を、残忍この上ない子だと罵った。
すると息子はこう言い返した。
「もし、私が、教科書を盗んだ時に、打ち据えていてくれたら、こんな事にはならなかったろうに、
ああ、私はこうして死の淵へと引っ立てられて行くのだ!」
編集注:イソップの一つ。
参考:イソップの世界
最終更新:2008年09月20日 23:07