56-274

DBカード奥

274 :名無しの心子知らず:2009/02/28(土) 16:08:14ID:8sSBCY6m
甥っ子がドラゴンボールのカード集めに夢中になっている。
それを収納するファイルが欲しいと言うので、お店に連れて行った。
そこには甥っ子と同い年くらいの男の子とその母親もいた。
男の子はドラゴンボールのカードを買いに来た様子。
買ったその場でカードを広げて、ファイルに入れ出す甥っ子。
「家に帰ってからにしなさい!」という注意も鼻息荒い甥っ子の耳には
届かなかったようだ。
やたら行動力のある甥っ子から一秒でも目を離してはいけないと思い、
私は甥っ子だけをずっと見つめていた。
甥っ子がカードを入れていたポーチから、ある特定のカードを取り出した時、
男の子の母親が甥っ子めがけてダッシュした。
「ねえ!そのカードってすごく手に入れるのが難しいやつでしょ?!」
と甥っ子に近づく母親。
甥っ子も単純だから
「そうだよー!かっこいいでしょ、この悟空とピッコロさん!!!」
と鼻息荒く自慢を始める。
「見せて見せてー(ここで甥っ子から取り上げる)
わー、かっこいいねー○○ーすごいねー」
「そうだ!○○の自慢のカードも見せてあげなよ!」
と男の子に視線を注目させた瞬間、母親は甥っ子のカードをポケットに突っ込んだ。
「あー、やるとは思ってたけど本当にやっちゃったかー」
なんて思いながら、母親を店の隅に連れ出した。

275 :名無しの心子知らず:2009/02/28(土) 16:10:10ID:8sSBCY6m
「そのカード、まさかそのまま持って帰ろうとしてないですよね?^^」
笑顔で問い詰める私。
「なんの事?カードなら返したじゃない!」としらばっくれる母親。
「申し訳ないけれど、私はずっとあなたを警戒して見ていました。
コートの左のポケットに入れたの、見てたんですよ?」
と更に問い詰めた。
「なんなの?私を泥棒扱いするわけ?どこに証拠があるのよ!
もし無かったらアンタを刑務所にぶち込んでやるわよ!?」
と声を荒立てた母親。
大声に気づいた店員が何事かとやって来た。
甥っ子も私たちの所に寄って来た。
店員に「実は…」と説明をする。
甥っ子も「ピッコロさんのカード返してよー」と言っている。
母親は観念してカードを出した。
手裏剣のようにシュパッと投げて、ダッシュで逃げようとした。
店員「ちょっとお客様ー!」と追いかける。
私はこの子供どうすんだよ、と呆れてしまった。
甥っ子は単純だから
「君のお母さんが僕のカードを盗もうとしたんだよっ?」 と言ってしまった。
男の子は迷子センターに連れて行かれ、店内放送でしばらく呼びかけていたが
私たちが買い物を続けた2時間、母親はとうとう現れなかったようだ。

 

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最終更新:2021年04月22日 00:14