2人はもういないが

放送後暫くし、決意も新たにしたバッツだったが、これからの行動に関して少し考えなければならなかった。
祠をでるときに「次の放送がなったら戻ってくる」といったが、まさかこんなにはやく放送がくるとは思わなかった。
レナとファリスはもういないが、それでもここまできて戻るのは些か残念である。
ただ、ひとつ問題なのは、放送の時点ではあまりに衝撃が大きすぎて気づかなかったが、
先の訃によればビビという者も名を呼ばれており、それはたしかエーコの仲間であった。
となれば、祠にいる者たちも動揺しているだろうし、それで放送後自分たちがなかなか帰らぬようならばいらぬ心配をかけることになろう。
ここは戻った方がよいかもしれない。
しかし、やはり戻るのは惜しい。

バッツは溜息をつくと、クーパーに休憩しようとよびかけた。
クーパーは少し戸惑った。さっきの今で、歩き始めてからもまだ幾ばくと経っていないからである。
「変な顔すんなって。放送があったんだ、祠に戻るかこのまま行くか、考えなきゃならないだろ?」
クーパーはそう言われて初めて気が付いたかのような顔をした。
彼にとっても、先の放送はショックだったのだ。

「飯、食おうぜ」
「うん」
支給された簡素なパンを、久方ぶりに口に入れる。
「パン、無くなってきたね」
もさもさとしていて味気もなく、ただでさえ足りないのに、あと3,4食もしたらなくなりそうな現状を、
幼いながらにクーパーは心配していた。
「ああ。もしかしたら、もう無くなってる奴もいるかもな」
バッツは素っ気なく答えた。
「水も減ってきたよ」
「水は泉なんかから補給できるしな。食料は、民家からしか無理だろうが…
 少なくともこの舞台では無理だ。次のステージでもしそういったものが得られなかったら、ちょっとまずいことになる…
 せめて虫とかがいたら、それを捕まえて食べられるんだが…」
それを聞くと、クーパーは口の中のパンをぶっとふきだして叫んだ。

「む、虫!?虫を食べるの!?」
「騒ぐなよ。近くに人がいるかもしれないんだぞ」
クーパーは慌てて口を押さえて、あたりをきょろきょろと見渡し誰もいないことを確認すると、必要以上の小声でもう一度同じことを言った。
「む、虫を食べるの?」
「最終手段だよ。でもとかげとかはけっこういけるぜ?あー、鳥はたいていいいけど、チョコボだけは駄目だな、うん」
「と、と、とかげ…」
どこか別の星の生物の言語を聞いたかのように呆然としているクーパーを見て、バッツは少し笑った。
(そういえば、あいつらと旅してるときに飯がなくなったときにも、レナとクルルは同じような反応をしてたっけな)
ほんの暫くの間だったが、バッツは少し楽しかった。

数分して、この簡単な食事は終わった。
休憩といっても、外気の低さからじっとしていると次第に寒くなってくる。
あまり時間もかけられない。バッツは祠に戻る是非をクーパーに問い掛けた。
しばらく考えたあと、小さな声で「バッツ兄ちゃんに任せるよ」と言った。
クーパーには判断しかねたのだろう。結局、バッツに全権が委ねられることになった。
バッツはぼさぼさの頭をくしゃくしゃと掻き混ぜ、少しして「あ~」と低く唸ったあと、
「じゃ、行こうか」といって、歩き出した。
ぼーっと雪の中の足跡を見ていたクーパーは、はっとしてバッツの後を追いかけていった。

【バッツ@魔法剣士(アビリティ:時魔法)
 所持品:ブレイブブレイド
 第一行動方針:(戻るかそのまま南へ行くかは次の人に託します)
 第二行動方針:アリーナ(アニー)、とんぬらパパス、エーコの仲間(名前しか知らない)を捜す
 基本行動方針:非好戦的だが、自衛はする
 最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】
【クーパー 所持品:天空の盾
 第一行動方針:(戻るかそのまま南へ行くかは次の人に託します)
 第二行動方針:アリーナ(アニー)、とんぬら、パパス、エーコの仲間(名前しか知らない)を捜す
 最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す
【現在位置:ロンタルギアの北西の森から南へ(中央の砂漠を通る)】


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最終更新:2011年07月16日 21:23
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