スコールは密かに、彼の後をつけていた。
敵は効率的に、確実に、息を止めなくてはならない。
それが戦いの原則だ。自分たちはそのために、そのためだけの訓練を受けてきた。
相手は半死の重傷者、追いつこうと思えばすぐにでも追いつける。
追いつけば、確実に殺せる。しかし、あえてそうしなかったのは誰かが訪れたからだった。
クラウドはよろよろとも立つ足を動かしていた。
背中が軋んで全身に痺れが回る。視界がぼやけ、光のない星がちらつき始める。
それでも、彼は逃げ続けた。こんな所で死ぬわけにはいかなかったのだ。
ティーダは、もう息のしていない男の脇に屈んだ女性を見ていた。
どうやら、知り合いらしい。どんな仲だったのか、詳しい事はわからないが……
親しかったのだろう。それだけはわかった。
かける言葉が見つからず、呆然と立ち竦む。
それは
モニカと
ミレーユも同じだった。
と、その時。ミレーユは誰かが近寄ってくる事に気付いた。
「誰?」
声をかけてみる。返事は……ない。
現われた人影に反応したのは、先程と同じく
エアリスだった。
エアリスは立ち上がり、彼の元に駆け寄る。
ティーダ、モニカ、ミレーユもそれに続いた。
エアリスは今にも倒れそうなクラウドの体を抱きとめる。
再開できた喜びよりも、あまりにも酷いクラウドの状態に言葉が無かった。
何があったのか、何があるのか。何よりも、彼の傷を癒さないと――――
クラウドは、エアリスの肩を掴んだ。
口元を震わせ、言葉を吐き出そうとする。
「……げろ」
「え?……今、なんて?」
「――――逃げろ!」
刹那、閃光が周囲を包み、溢れて弾けた。
スコールはアルテマの効果を冷静に確認していた。
二・三人はマトモに巻き込んだ。直撃を免れた者も、タダでは済むまい。
……さあ、狩りの時間だ。
リノアのいる場所には、何人たりとも近寄らせない。
パパスは目指していた方向に現われた無機質な光に歯噛みした。
それを成したのが誰で、それがどんな結果を生むか。それを悟ったからだ。
己が為す事を暴力とも知らずに周囲を蹂躙する、未熟な精神の成熟した技を持つ青年。
そんな危険な男を見逃してしまった愚かさが、パパスの心を蝕む。
「今度は、許すわけにはいかん……!」
【スコール 所持品:
ガンブレード 真実のオーブ
妖精のロッド 月の扇 リノアの首
第一行動方針:この場にいる者を皆殺し
最終行動方針:リノアを勝利者にする】
【現在位置:5番街】
【パパス 所持品:
アイスブランド イオの書 食料多
第一行動方針:スコールを倒す
第二行動方針:
バッツと双子を捜す、とんぬらに会う
最終行動方針:ゲームを抜ける】
【
トーマス 所持品:
薬草×10 鉄の爪 手紙 碁石(20個くらい)
第一行動方針:パパスについていこうと思っている
基本行動方針:生き残る
最終行動方針:トム爺さんの息子に一言伝える】
【現在位置:5番街】
【ミレーユ/ティーダ/エアリス/モニカ/クラウド】
の内、二・三人がアルテマの餌食になりました。
他の者も無傷では済まない筈です。
最終更新:2011年07月17日 15:17