メンデル遺伝で頻出する専門用語

  • 遺伝:親の性質が子に伝えられること。この概念はメンデル以前から存在していた。遺伝学はこの概念を「科学する」ための学問分野である。
  • 形質:生物の特徴(色、形、大きさ、生理的性質など)のうち、特に遺伝するものを形質と呼ぶ。血液型のように目に見えないものもある。
  • 遺伝子:形質を決定するものとしてメンデルが仮定した理論的実体(メンデルは「遺伝子」ではなく、「粒子」と呼んだ)。メンデルがサエていたのは、「遺伝子」は混合せず粒子のように振る舞う、と考えたところ。当時DNAは、当然知られていなかった。
  • 発現:遺伝子が形質としてあらわれ、目に見えるようになること。
  • 対立形質:種子の形の「丸」、「しわ」のように、互いに対になる形質のこと(右図)。
  • 優性形質と劣性形質:大雑把には、発現する形質が優性形質、発現しない形質が劣性形質(劣性ホモでない限り)。形質の機能が優れているとか劣っていることではないことに注意すること。正確には、対立形質を持つ親(P)同士を交配させて生じる子(F1)であらわれる形質が優性形質、現れない形質が劣性形質。メンデルの法則の一つ「優性の法則」と関連する。
  • 遺伝子型:遺伝子の組み合わせを遺伝子記号で示したもので、AA、Aa、DdEEなどと書く。大文字を先に書く。自分で設定する時には、「C」と「c」のように、大文字と小文字の形が似たものを使うのは避けよう。
  • 対立遺伝子:対立形質を伝えるそれぞれの遺伝子。「メンデルの法則」の一つ「分離の法則」との関連に注意。遺伝子型がAaの場合、Aとaが対立遺伝子で、普通は優性の遺伝子のほうを大文字で書く。
  • 配偶子:端的には「卵」と「精子」のことで、受精して次世代を作る。なお、遺伝子型には「個体の遺伝子型」と「配偶子の遺伝子型」があるが、個体は複相(2n)、配偶子は単相(n)なので、配偶子は対立遺伝子を片方しか持たず、配偶子の遺伝子の数は個体の半分になる。例えば、独立の法則が成立していれば、AABBという個体は、AB:Ab:aB:ab=1:1:1:1という配偶子を作る。
  • 優性遺伝子と劣性遺伝子:優性形質を発現する遺伝子を優性遺伝子、劣性形質を発現する遺伝子を劣性遺伝子という。遺伝子の優劣を表記するためには、ふつう、不等号(>)を使う。つまり、優性の遺伝子Aと劣性の遺伝子aの場合は、単に「A>a」と表記する。
  • 表現型:「形質」とほぼ同義で、「遺伝子型」に対する用語。[赤]や[白]のように日本語で書く場合もあるし、[A]や[b]のように記号(アルファベット)で書く場合もある。ただし、特に記号で書く場合には、遺伝子型と区別するため必ずカギカッコ([])を付けて、[AB]、[kL]のように表記すること。
  • 交配と交雑:雄と雌が生殖によって子供を作ることを交配といい、雑種が生じるような交配のことを特に交雑という。
  • 自家受精と他家受精:同じ遺伝子型の個体どうしの交配が自家受精。異なる遺伝子型の個体の交配が他家受精。
  • 自由交配:雄と雌が、選り好みせずおこなう交配で、自由交雑、任意交配とも言う。あらゆる組合せの「カップル」が生じる。「選り好みしない」という条件のため、集団に関する概念である。
  • ホモとヘテロ:優性のみあるいは劣性のみの遺伝子型はホモ、優性と劣性の両者を持つ遺伝子型はヘテロ。ホモ、ヘテロという語句は1つの形質ごとに使う。
  • ホモ接合体とヘテロ接合体:遺伝子型がホモな個体(接合体)はホモ接合体、ヘテロな個体(接合体)はヘテロ接合体と呼ぶ。
  • 純系:遺伝子型のどこにもヘテロがない個体。問題文に(普通はコッソリと)「〜系統」・「〜種」・「〜品種」と書いてあったら、その個体は純系である。
  • 雑種:遺伝子型のどこか一箇所にでもヘテロがある個体。
  • 雑種第一代:純系の両親が交配して生まれた雑種を雑種第一代と呼び、F1と書きあらわす。次の雑種第n代との定義の違いに注意すること。
  • 雑種第n代:Fn−1(n≧2)が自家受精してできた子供を雑種第n代といい、Fnと書きあらわす。雑種第一代(F1)は他家受精、雑種第n代は自家受精で生じる子である。
最終更新:2009年05月21日 20:19
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