ハーディ・ワインベルグの法則と遺伝子頻度

まずは以下の問を考えてみよう.

問1 遺伝子型頻度がAA:Aa:aa=9:6:1の集団(ハーディー・ワインベルグの法則に従う)がある.aの遺伝子頻度を求めよ.

すると,以下のような解法が考えられる.

答1 A:a=p:qとおくと,AA:Aa:aa=p^2:2pq:q^2[A]:[a]=p^2+2pq:q^2=9+6:1なので,q^2=\frac{1}{9+6+1}=\frac{1}{16}よりq=\frac{1}{4}

しかしこの解法は,最終的な答えは合っているものの,残念ながら誤り.この解法だと次の問題はどうするのか?

問2 遺伝子型頻度がAA:Aa:aa=5:2:1の集団(ハーディー・ワインベルグの法則に従う)がある.aの遺伝子頻度を求めよ.

答2 A:a=p:qとおくと,q^2=\frac{1}{5+2+1}=\frac{1}{8}よりq=\frac{1}{2\sqrt{2}}

とでもするのか?実は問2の答えも問1の答と同じq=\frac{1}{4}となる.

実際に遺伝子頻度を直接求めてみると,問1の場合は,

A:a=2AA+Aa:Aa+2aa=2 \times 9+6:6+2 \times 1=24:8=3:1=\frac{3}{4}:\frac{1}{4}q=\frac{1}{4}

問2の場合,

A:a=2AA+Aa:Aa+2aa=2 \times 5+2:2+2 \times 1=12:4=3:1=\frac{3}{4}:\frac{1}{4}q=\frac{1}{4}となる.


つまり,遺伝子頻度を求める場合に,遺伝子型頻度から表現型頻度を経由して最後にq^2を使うのは正しくなく,答が正解だとしてもそれは「たまたま」だということになる.

このような問題の場合の遺伝子頻度は,上のように直接求めましょう.

では,なぜ遺伝子型頻度が違っても遺伝子頻度が同じになるのだろうか.これについてはまた別の機会に.
最終更新:2009年05月23日 13:50
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