植物のプレパラートは以下の手順で作成する.
固定→解離→試料の切取り→染色→押しつぶし
固定
細胞は放っておくとどんどん変化し、最終的には腐敗してしまうので、
現状を維持するようあらかじめ処理しなければならない。
この処理を固定と呼び、固定に使用する溶液を固定液と呼ぶ。
代表的な固定液は、酢酸、エタノール(アルコール)、ホルムアルデヒド。
染色
細胞の構造は基本的に透明なので、染色して色を付けないと観察しづらい。
何を観察したいかで使用する染色液が決まる。
ただし,葉緑体はもともと緑色なので,染色しなくとも観察することが出来る.
- 酢酸カーミン、酢酸オルセイン:核・染色体 → 赤(「酢酸…」とあるように、固定液としても使える。これらの色素は「塩基性色素」と呼ばれる。)
- メチレンブルー:核 → 青
- ヤヌスグリーン:ミトコンドリア → 青緑
- ヨウ素溶液:デンプン → 青紫
- ズダンⅢ:脂肪 → 赤
- 中性赤:液胞 → 赤
- サフラニン:細胞壁 → 赤
押しつぶし法
植物細胞は、細胞同士が細胞壁によって強く結合し、層状構造を形成している。
光学顕微鏡で観察する際には、光で試料を透過する必要があるが、
この層状構造が厚いと、光が透過しづらくなって、視野全体が暗くなってしまい、
観察が困難になってしまう場合がある。
その際には、観察に先立ってこの押しつぶし法を使い、
試料全体を薄くしておく必要がある。
押しつぶし法に当たってはまず、試料を塩酸に浸して、
細胞壁中のペクチンを溶解させる。
ペクチンは細胞壁と細胞壁をつなぎあわせるはたらきを持っており、
ペクチンを溶解することで、細胞同士の結合力を弱めることができる。
この手順は特に解離と呼ばれる。
解離の後、試料をプレパラートにのせた後、上からカバーガラスをかぶせ、
カバーガラスの上から親指で試料を押しつぶすと、試料全体が薄くつぶされる。
最終更新:2009年05月20日 11:17