生育環境などの影響によって後天的に生じる変異を環境変異と呼ぶ。
環境変異が遺伝することはない。
このことを明らかにしたのがデンマークの植物生理学者であるヨハンセンである。
ヨハンセンの研究
ヨハンセンはまず、市販されているインゲンの種子(インゲンマメ)の重さを測定して、その分布を示すグラフ(変異曲線)を作成した。
その後、重い種子だけを選んで自家受粉させた場合の次代と、軽い種子だけを選んで自家受粉させた場合の次代の変異曲線をそれぞれ描くと、重い種子から得られた変異曲線は、軽い種子から得られた変異曲線よりも重い方に偏って分布した。
つまり、重い種子の次代は重い種子を作るということである(これは環境変異ではなく、遺伝子の違い)。
ヨハンセンは続いて、重い種子だけを選んで自家受粉を繰り返し、純系を確立させた。
そして先ほどと同様に、その純系の中から重い種子を選んで自家受粉させた場合の次代と、軽い種子を選んで自家受粉させた場合の次代の変異曲線をそれぞれ描いた。
すると今度は、重い種子から得られた変異曲線と、軽い種子から得られた変異曲線には違いは見られなかった。
このことは次の二つの点を示している。
- 純系の場合、重い種子の次代は重い種子を作る、というわけではない(純系に選択は無効)。
- 純系でも、種子の重さには違いが出る(純系に見られる変異は環境変異)。
純系説
ヨハンセンは、以上の結果を受けて、その内容を「純系説」にまとめた。
純系説は、選択の限界を示した、という意味でも重要である。
その内容は以下の通り。
【純系説】
選択は、純系でない集団には有効である。
選択は、変異を一定の方向に偏らせ、集団を徐々に純系へと導くことになる。
しかし、純系の集団には選択は無効であり、環境変異が観察できるにすぎない。
最終更新:2009年05月23日 18:37