動物のクローン
同一のDNAを持つ個体や細胞をクローンと呼ぶ。
動物のクローンの作り方には、大きく分けて二種類のものがある。
一つが、発生初期の段階で割球をバラバラにして、それぞれの割球をそれぞれ発生させる方法である。
これは、調節卵のケースに適用することができる。
もう一つが、目的の細胞の核を取り出して、あらかじめ除核しておいた他の細胞の細胞質に移植することで作成する方法である。
核移植によるクローン作成は、どのような細胞の核を使用するかで、大きく二通りに分けることができる。
一つが発生初期の胚の細胞を使う方法、もう一つが分化の完了した成体の体細胞を使う方法である。
方法としては分化がほとんど進んでいない発生初期のものを使うほうが容易で、クローンヒツジ「ドリー」が大きな話題を呼んだのは、後者の方法の初の成功例だったためである。
キメラ
遺伝子の異なる細胞から構成される個体をキメラと呼ぶ。
キメラマウスの作成にはES細胞(後述)を用いる。
ノックアウト生物
目的とする特定の遺伝子を人為的に欠損させた突然変異体をノックアウト生物と呼ぶ。
ノックアウト生物と通常の生物に見られる形質の違いから、ノックアウトした遺伝子のはたらきを明らかにすることができる。
トランスジェニック生物
動物の受精卵の核に外部からDNAを注入して新たな遺伝子を取り込ませた動物をトランスジェニック動物(形質転換生物)と呼ぶ。
ES細胞
ES細胞とはEmbryonic Stem Cellの略で、胚(性)幹細胞と訳される幹細胞(Stem Cell)の一種である。
幹細胞は基本的にさまざまな種類の細胞に分化することが可能だが、血液幹細胞が神経細胞に分化できないように、その分化能には一定の限界がある。
それに対してES細胞は、生殖細胞を含めたあらゆる細胞に分化することが可能(多分化能)である。
マウスのES細胞は、次のようにして作成された。
- 受精3.5日目のマウス胚盤胞の内部細胞塊の細胞をin vitroで培養 。
- 細胞塊の解離・継代 を繰り返す。
- 多分化能を保持し、正常な核型を維持したまま無制限に増殖しつづける幹細胞を樹立することに成功。
多分化能を持つES細胞は、白血病をはじめとする様々な病気の治療(再生医療)への応用が期待されているが、ES細胞の作成には、通常に発生させれば一つの個体を生じる受精卵が必要だったり、クローン人間やキメラ人間などの作成に応用される可能性もあることから、特にヒトにおける研究には倫理的な課題が多い。
最終更新:2009年05月23日 19:11