『リキュペレーター』
回復装置

Recuperator


ダブリンの学会で鮮烈にデビュー、各界の話題を攫った「完全回復オピディオン」だが、早くもこれを採用したDT装備が開発された。エヌエム・メディカル社の「リキュペーター」がそれである。

同社はオピディオンの開発者である樋田恭平博士(医学)と血縁状の繋がりがあるので、このように早く製品化されることになったであろう。

残念ながら、「完全回復オピディオン」の内容は公開されていない。ひととおりのアミノ酸と、DT治療促進剤が入っているのは間違いないが、この治療促進剤はいまだに企業秘密である。

DTと共に働く酵素で、あらゆる種類の生物を回復する。体内の疾病の時は静脈注射し、外傷のときは大量に塗布することでも効果がある。

「リキュペレーター」はこのオピディオンを適宜点滴、ないし塗布する装置である。体内不覚に達した傷には定期的に点滴をし、外傷に関しては体表に塗布するという具合。DTコンピュータ内蔵で、傷の程度を判断し、必要な量だけオピディオンを投与する。

例えば狙撃用のFMJ弾を腹に1発受け、貫通したとしよう。この程度の傷だと、「完全回復オピディオン」なら10秒程度で完治する。

この程度の負傷を5分に1回受けたとして、そのたびにオピディオンを投与したとしても、20時間程度もつだけの薬剤がリキュペレーターのタンクに入っている。多すぎるという意見もあるが、タンクはこの1種類しか製品化されていない。

「リキュペレーター」は発表まもなくしてデータ化された。おそらく超生教の研究者によるスキャンだと思われる。装置の合成時間は約5秒である。
最終更新:2022年06月21日 23:17