T-54

金を払え、さすれば与えられん(レートが)


戦車について知る

 まずは車両の基本スペックから見ていこう。
  • 主砲:単発火力320/精度0.35/照準時間2.3/AP貫通201/HEAT貫通330/DPM2460/仰角+20°/俯角-5°
  • 耐久値:1650
  • 車体装甲圧:120/80/45
  • 砲塔装甲圧:200/160/65
  • 最高速度:56km(後退時:20km)
  • 重量:34t
  • 実用出力重量比:20.01
  • エンジン出力:700
  • 旋回性能:車体44/砲塔48

 かのご高名なT-54であるが、スペックを見るだけでコイツの強さがわかる。特に目を見張るのが機動力だ。良好な機動力と出力重量比を誇り、さらには旋回性能も申し分ない。単純な最高速度のみであればこの車両以上のティア9MTは多いが、T-54は速度だけではなく優秀なリタイ性能も併せ持っているため、総合的な機動力はティア9MTでも最高レベルである。
 しかし、このT-54はそれだけに留まらない。ティア9で足の速いMTといえば。AMXやLeopard prot辺りだが、これらの車両はLT並みに装甲が薄いことで知られる。しかし、このT-54は実質的な装甲で車体200mm、砲塔250mmという破格の硬さを持っている。これはティア9MTのなかでも非常に優秀な数値だ。
 じゃあ火力はどうなのか。単発火力は320と控えめであるものの、{DPMは3位と高い。また、HEATの貫通力が330あるため、ティア10HTを正面から堂々とぶち抜ける火力を持っている。}
 要するに、この戦車はどんな戦車なのかというと、全ての性能で80点以上を叩き出す超優等生エリート戦車ということである。ここには書いていないが隠蔽も悪くないので、単純なスペックだけではほとんど隙がないレベルである。なんだこれめっちゃ強い。

コイツさいればもういいんじゃないかな?




車両解説

 さて、スペックを見たところ何とも強そうな車両だが、実は現実はそう甘くはない。ここまで敢えて触れていなかったが、この戦車のAPの貫通力はたったの201mm。これは同格MTや格下のHTに対しても安定した貫通を期待できないという非常にやっかいな値である。というかそもそも自分のAPだと自分の装甲を打ちぬくことができないという何とも悲しい宿命を背負っているのだ。自慢の330mmHEATも、弾速の遅さや、空間装甲や傾斜装甲に弱い、そして何よりも金がかかるので、常時運用するにはスキル(と財力)が必要になる。
 また、スペック上は重装甲だが、そもそも車高が低く、基本的にほぼすべての車両に撃ちおろしされる形になるため、実際は数値よりも貫通されやすい。それでもハルダウンをすれば格下はほぼ完封できるものの、そもそも俯角が-5°のため使える場所が限られる。他の紙装甲車両たちよりも遥かに堅牢だが、期待していた以上の圧倒的な硬さがあるかというと実際はそこまでではない。
 そして、この車両の一番の弱点が、やや悪い主砲精度と移動時の照準拡散のガバさである。とにかく精度がティア9MTとしては悪いため、遠距離狙撃や、飛び出し撃ちが大の苦手である。機動力が高いので機動戦をついつい仕掛けがちだが、思ったように弾があたらないことも多くストレスが溜まる。

 この車両は一見非常にハイスペックで、初心者でも誰でも活躍しやすいように見えるが、実は相応の扱い難さもあり、使いこなすにはある程度のスキル(とクレジット)がいるのである。

 とはいえ、スペックの割りに弱く感じるというだけでこの車両が弱いわけでは決してない。先ほども述べたように、ほぼ全ての性能で十分すぎる性能を持っており、キャリー力は十分。特に、何でもできるという汎用性の高さはティア9MTの中で最も優れており、苦手とする戦場やマッチングは存在しない。ただし、それは裏を返せば、「することが多い」「色々な役目を期待される」ということでもある。臨機応変な立ち回りが要求されるため、やっぱり経験やスキルは求められるのである。
 この車両が強いのがわかるけど、扱いこなせないと思っているそこのあなた、その通りなんです。



戦車運用の仕方

 運用方法は特別なところはない。一般的なMTとして使えば、十分すぎる性能を発揮する。実のところ、T-54でできない仕事というものは存在しない。機動力を活かした通行料取得や高所の確保、側面取り、堅牢な装甲を活かして前線を支える壁役、そして高い隠蔽を駆使した偵察等、はっきりいって何でもできてしまう。ただし、単発火力が低めであるが故、正面からのダメージ交換はやや苦手であるため、ベストなのは敵の側面や背後を取る立ち回りだろう。幸い高い機動力と隠蔽があるので、戦況を読み間違えなければMTのなかでもやり
やすい車両である。また、無理に側背面をとらなくても、課金弾を使えば基本的に抜けない敵はいない。そういった立ち回りに自信がなかったり、難しいマップだったりした場合は、無理にそういった動きをするよりも、課金弾をばら撒いていたほうが実はよっぽど安定するし稼げるということを覚えておこう。

 T-54の運用上で特に気をつけなければならないところは、かならず交戦距離を中距離以内に保つということだ。何度も言っているように課金弾に頼った戦闘を強いられるT-54にとって、HEATの弾速の遅さと精度の悪さ(というより収束の遅さ)は致命的である。ティアも上がり、全体的に戦闘スピードが上昇していることを考えると、400mより遠くの移動目標への狙撃は難しい。300m以内の距離での戦いを行いたいところだ。
 また、俯角がないため、稜線を挟んでの飛び出し撃ちも苦手だ。素の拡散がガバガバであるのに加え、5°しかない俯角はなかなか無理が利かないので、射撃機会を作りにくい。T-54は単発火力が低いDPM型なので、射撃機会を作りにくいこの特性は結構厄介だ。5°でも使える稜線をマップ毎に覚えておく必要があるだろう。

 さて、感の良いプレイヤーなら、ここでT-54の扱い難さに気づくはずだ。最初に私は「機動力を活かした通行料取得や高所の確保」や「堅牢な装甲を活かして前線を支える壁役」が得意だといった。しかし、「通行料取得⇒遠距離の移動目標への狙撃が苦手⇒かといって接近しすぎるとこちらが反撃を受けるので危険」、「高所の確保⇒高所を確保するのは早くても俯角がとれないので、その後の登ってくる敵を撃つのが難しい」、「堅牢な装甲⇒砲塔の硬さを活かそうにも俯角がないので使える場所が限られる」といったようなことが起こるのである。

 何でもできて何でも得意、でもだからこそ、やることが多すぎて初心者は何をしていいのかわからないし、得意なことをしようと思っても、数少ない欠点が足を引っ張り100%の力を出し難いのである。

 実際野良でこの車両を使いこなせているプレイヤーはめったにいない。個人的な感想だが、「強い」と思っている人でもこの車両のポテンシャルを完全に引き出せているプレイヤーはほとんどいないのではないか。平均ダメージ2000程度で満足している人、この車両はそんなしょぼいダメージで満足できる車両ではない。


 さて、ではどのように使うのが良いのか。この車両で上手くなりたいのなら、「機動力」を軸に運用するのが良い。装甲や火力も確かにあるが、それを軸に戦おうとすると逆に凝り固まった運用になりがちだ。とにかく機動力をいかして、その都度使えるポジションや相手の布陣の穴を探し、そこをどんどん使う。そしてそこが使えないと思ったらさっさと移動し他の場所を探していこう。機動力を活かした柔軟なリポジがこの車両で安定した成績を出すコツである。
 ティア6のcromwellを思い浮かべてほしい。あいつが格下や同格の車両の弾を弾く装甲を持ったらどう思うだろうか。ティアが違うとはいえ、T-54はまさに「硬くなったcromwell」なのだ。はじめから装甲で弾くつもりで使うのではなく、「基本は撃たれないようにコソコソして、撃たれてもワンチャン弾いてくれる」というつもりで慎重に動くことが非常に重要だ。
 自慢の機動力が使えない?そんな時は憎き敵HTを正面からHEATでぶち抜いてやろう。自分の最大の長所が使えない状況でも、相手にとって厄介な存在でいることができるのがコイツの魅力なのだ。


ワンポイントアドバイス


  • 弾種の使い分け
当たり前だが、基本は脳死HEATブッパマン最強である。なので考えるのが面倒な人はとりあえず課金弾を垂れ流そう。しかしそんなことをするとクレジットがとんでもないことになる。なのでコイツで迷うのはいつAPを使うかということである。(普通逆じゃないですかねぇ・・・)
⇒APを使っても良い相手はティア7、LT、SPG、あとはティア8MTも大体何とかなる。裏を返せばそれ以外の敵は課金弾安定である。ただし、HEATは貫通力は高いので敵の正面装甲を攻撃する場合はあまり問題ないのだが、空間装甲に弱いため側面をとったときにリタイ部分を撃ってしまうと結構吸収されたりする。側面を取った瞬間にAPに切り替えるのは骨が折れるし、そもそもティア10相手だと側面をAPで抜けない可能性もある。敵の側面を取ったときは、車体ではなく砲塔を狙うようにしよう。ちなみにHEATを使う上で注意する敵としては、強力な側面空間装甲を持つE100やIS7、また同格以下だとスパパ辺りがいる。

  • お勧め拡張パーツ
一般的なMTの標準装備である、ラマー、スタビ、レンズがおススメ。食料を積むプロタンカーはレンズの代わりに換気扇が良い。視界がティア9としては若干悪いが、隠蔽が良いのでそれほど問題はない。
精度の悪さがやや気になるが、止まって撃つことはそれほどないし、T-54の運用方法とも噛み合わないのでガンレイはつまないほうがよい。

  • 優等マークについて
 難しそうに思うかもしれないが、意外にも使用者が多いせいか基準は低めである。3000~3500くらいを出せれば、90%以上でも大体落ちないか微増するので3優等マークを狙う際は参考にしてほしい。機動力も高めなので、死なないように積極的にリポジすればショボ沈することもないだろう。ただし、課金弾はマシマシになるので、さっさとパーセントを稼がないとクレジットがどんどん溶けていく。また、E50やパットンよりも火力はやや落ちるので、高いダメージを稼ぎたい場合は機動力を活かした観測ダメージをとることが大事になってくる。リタイ切りでの強制的なアシストダメージを稼ぐことも積極的に狙っていこう。



コラム~T-54は最強かそれとも器用貧乏か~

 T-54といえば勝率稼ぎ御用達、OP中戦車、等々一般的な評判は非常に高い。しかし、これまで説明してきたとおり、わずかな短所がことごとく長所の足を引っ張るミスマッチさから実際は扱い難い車両になっている。E50やパットンはその長所を最大限に活かせるプレイヤーが乗ればそれを軸に一気に与ダメを稼ぎ試合をキャリーすることが可能になる。非常に高い次元の話(平均与ダメ3000~)になってくるが、ややミスマッチ感があるT-54はそこまで伸ばすのが結構大変なのだ。
 しかしこれは同格トップクラスの性能であるE50やパットンと比較した場合であって、決してT-54が微妙性能な訳ではない。また、パットンやE50はその性能を最大限生かすにはある程度の実力が必要だが、T-54はとりあえず課金弾運用していけばそこそこの性能は出せる分、初心者にとってはパットンやE50よりも良い成績は出しやすいかもしれない。また、T-54も高い機動力と隠蔽を活かせば、スポットや観測ダメージは間違いなく他の2両よりもとりやすい。
 要するどの車両にも得手不得手はあるし、マップやMMにも左右される。その中でどの戦車が最強かといわれても、ケースバイケースとしか言いようがない。結局は各プレイヤーの好みやプレイスタイルに大きく左右されてしまうのだ。
 世間では最強最強と騒がれているものの、同格にはコイツと肩を並べるクラスの車両は少なくない。かといって器用貧乏というにはあまりにもハイスペックな各種性能。最強ではないが、全体的に見れば強戦車であることに違いはない。MTが好きな人にとっては作る価値は十分あるし、レートも勝率も稼げる素晴らしい車両であることは保障できる。(クレジット?しらないなぁ)
最終更新:2016年02月10日 20:57