アットウィキロゴ

第 1 回 勉強会 report : RCT CHARISMA study

11月8日、12日に RCT を読む勉強会をしました。

8日は、ほとんどの参加者がはじめての方ばかりなので、RCT を読みきるのが目標でした^^
チューターは解説しすぎてはいけないのですが、ついつい解説しがちになってしまいました。
終わった後で、『臨床試験を見るのも嫌だったのが、ましになった~』という
参加者のご意見がありました。
「英語、難しい臨床試験用語、統計」・・・論文を避けたい気持ちは、皆一緒ですね。
慣れられるまで、参加してくださるといいなぁ~。

12日は2回目以上の参加者が多く、グループワークらしい雰囲気が出てきました。
1人では片言のような解説でも、数珠繋ぎになって文殊の知恵に換わって、
ITT 解析の解説がちゃんとできあがっていて、素敵な雰囲気 ~☆

テーマに使った RCT は、CHARISMA study 。
先月の狭心症の講演会でも、CHARISMA study について、詳しく解説がありました。
講師の解説と読んだ後の印象がかなり違う・・・そんな声も聞かれました^^

自分たちでちゃんと読んだからこそ、得られた印象 ~☆

 Clopidogrel and aspirin versus aspirin alone for the prevention of 
 atherothrombotic events. 
 Bhatt DL et al for the CHARISMA investigators: N Engl J Med. 2006; 354: 1706-17.

アテローム性血栓イベント高リスク患者において、心血管イベント抑制効果と安全性を
clopidogrel+aspirin の併用投与と aspirin 単独投与とで比較しています。
対象患者が、症候性と無症候性という異なる2つの患者集団が登録されています。
症候性患者は、血管イベント(心筋梗塞、脳卒中、一過性脳虚血発作、症候性末梢動脈疾患、
または冠動脈血行再建術)の既往歴のある患者、無症候性患者は、複数のリスク因子を有する
血管イベントリスクのある患者。

論文のPECOは以下。

P: 45歳以上15,603例。
    次のうち1つに該当するもの:アテローム性血栓症のマルチプルリスクファクター*;冠動脈疾患;
                                脳血管疾患;症候性末梢動脈疾患。
     *  糖尿病,糖尿病性腎症,足関節/上腕血圧比(ABI)<0.9,非症候性頸動脈閉塞(≧70%),
        1つ以上の頸動脈プラークなど。
     ※ 除外基準:長期経口抗血栓薬or cox2阻害薬以外のNSAIDsを服用例、担当医がclopidogrel適応  
       (ACS)と判断した例、施術後clopidogrel投与が必要な血行再建術予定例。
E: aspirin 75-162mg + clopidogrel 75mg
C: aspirin 75-162mg + placebo
O: 1次エンドポイントは、初発のMI+stroke+CVD死(出血含む)、
    2次エンドポイントは、1次エンドポイント+不安定狭心症による入院+一過性脳虚血発作+血行再建術、
    その他エンドポイントは、総死亡 or  CVD 死、
    安全性のエンドポイントは、重篤な出血例(GUSTO定義による致死性出血や頭蓋内出血もしくは
    血行動態の悪化)、中等度出血例(重症を除く)

内的妥当性は、RCT、ITT解析、他施設、double-blind ・・・とりあえずOK。

脱落は、中止率が clopidogrel+aspirin群20.4%、aspirin単独群 18.2%(p<0.001)。
うち有害イベントによる中止例は4.8% vs 4.9%。(P=0.67)。
抗血栓療法なので、脱落も中止もある程度は想定されますね。

sample size は計算されていますが、1次エンドポイントに有意差がないので、
不十分な可能性はあるものの、これ以上のsample size で有意差が出ても、
その意味は重要で無い可能性が高いと思われます。
Funding ・・・ Sanofi-Aventis and Bristol-Myers Squibb・・・データ集めとエントリー担当。

主な結果とその解釈は以下。

 1次エンドポイントは、両投与群で同等。
(イベント発生率は、clopidogrel+aspirin 群6.8% vs aspirin 群7.3%、P=0.22)。
 中等度出血リスクが、clopidogrel+aspirin 群では、有意に増加(2.1%対1.3%、P<0.001)、
 重度出血リスクも増加(1.7%対1.3%、P=0.09)

 サブ解析で、症候性患者では、2剤併用抗血小板療法群において、
 aspirin 群より1次エンドポイントが有意に減少した(6.9%対7.9%、P=0.046)。
 対照的に、無症候性患者では、2剤併用抗血小板療法群において、1次エンドポイントの有意ではない増加
(6.6%対5.5%、P=0.20) と死亡率の上昇(5.4%対3.8%、P=0.04)が認められた。


サブ解析の偶然の可能性と予期せぬ交絡因子を考慮して、慎重に解釈する必要があるのでしょうね。

 ○ CHARISMA study では、無症候性患者の一次予防に使用される aspirin に、clopidogrelを
    併用すべきでないことは示唆された。
 ○ 一部の症候性患者において、長期間にわたる2剤併用抗血小板療法から効果が得られる可能性が示唆されたが、
    症候性患者における、2剤併用抗血小板療法に関連する主要イベントの1.0%の絶対減少率が、
    中等度の出血リスクの0.8%の増加より重要であるかどうかについても、ある程度考慮する必要がある。

時間がなかったのですが、適用についても考えてみました。

1.論文で検討された治療法・予防法・診断法の効果は大きいか?

→ 既に心血管疾患を有する、または危険因子を有すると定義された心血管系の高リスクの人を対象とした
CHARISMA study では、治療効果はそれほど顕著ではなかった。

2.副作用(害)は小さいか?

平均28ヵ月間治療を行った1000例につき5件の心血管イベントが回避され、3件の大量出血が引き起こされると
予測された。
clopidogrel+aspirin 群では、中等度の出血リスクが有意に増加し(2.1%対1.3%、P<0.001)、
有意ではないが重度の出血リスクも増加した(1.7%対1.3%、P=0.09)。

さらに、症候性患者における、2剤併用抗血小板療法に関連する1次イベントの1.0%の絶対減少率が、
中等度の出血リスクの0.8%の増加より重要であるかどうかについても、考慮する必要がありそう。

3.その論文で検討された治療法・予防法・診断法のコストは小さいか?

Clopidogrel 薬価 279.40  円
Baiaspirin 100mg 薬価 6.1円

CHARISMA study から、血管リスク因子を有する無症候性患者においては、2剤併用抗血小板療法は効果がなく、
使用すべきではないため、不必要に高価な Clopidogrel の aspirin への追加は避けるべきということでしょうか。

4.目の前の患者は論文の患者と似ているか?

CHARISMA study には、症候性と無症候性という異なる2つの患者集団が登録された。
症候性患者は、血管イベント(心筋梗塞、脳卒中、一過性脳虚血発作、症候性末梢動脈疾患、
または冠動脈血行再建術)の既往歴のある患者、無症候性患者は、
複数のリスク因子を有する血管イベントリスクのある患者であった。

→ よくある症例と考える。

5.論文で用いられているものと同じ治療法・予防法・診断法が可能か?

添付文書状の効能は、以下。
『急性冠症候群、虚血性脳血管障害<心原性脳塞栓症を除く>後の再発抑制、非ST上昇心筋梗塞、不安定狭心症』

本試験での使用対象者は保険適応でない。

6.論文で検討されている outcomem には、目の前の患者の信の outcome が含まれているか?

含まれていると思われる。
この部分、薬剤師だけの勉強会では、判断が難しいですね。

7.他に知りたいことはないか?

現状で使用中の aspirin は、心血管疾患の人に対する選択的予防薬としての抗血小板薬であるが、
心血管疾患に対して高リスクの人における抗血小板療法による予防は、それ自体としては満足のいくものではない。
(イベント発症率は CHARISMA study の aspirin 群で率3.1%/年)
aspirin に抗血小板薬を追加することによって、心血管疾患の高リスクの人ならびに既に
心血管疾患確定されている人に対して、追加的利益が得られる可能性があるため行われた試験であるが、
CHARISMA study では、心血管イベントへのリスクの高い患者が対象であり、その対象者は漠然としており、
幅を広すげている?
対象者をもう少し絞った情報がほしい。

CURE studyも確認!

CURE studyに登録されていた患者は非ST上昇型急性冠症候。
clopidogrel+aspirin 併用は、aspirin 併用と比較して
心血管イベントのリスクが低く(OR:0.87、95%CI0.81~0.94;P<0.01)、
また大量出血リスクが高かった(OR1.34、95%CI1.14~1.57;P<0.01)。

非ST上昇型急性冠症候群患者に限定したCURE study では、
平均9ヵ月間治療を行った患者1000例に対して23件のイベントが回避され、10件の大量出血が引き起こされると予測され、
治療利益の明らかなエビデンスがみられた。

既に心血管疾患を有する、または危険因子を有すると定義された心血管系の高リスクの人を対象としたCHARISMA study では、
治療効果はそれほど顕著ではなく、偶然の範疇であった。
平均28ヵ月間治療を行った1000例につき5件の心血管イベントが回避され、3件の大量出血が引き起こされると予測された。


 Clopidogrel plus aspirin versus aspirin alone for preventing cardiovascular disease. 
 Citation:Keller TT, Squizzato A, Middeldorp S.
    Cochrane Database of Systematic Reviews 2007, Issue 3. Art. 
    CD005158. DOI: 10.1002/14651858.CD005158.pub2.

心イベント発症を予防するためのクロピドグレルとアスピリン併用が推奨される対象患者について
の今後の情報を注意深く見守りたいと思います。

ヾ(*'-'*)
最終更新:2010年11月29日 13:43
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。