12月13日に、第2回勉強会を行いました。
本日は、2本立て。
- RCT JUPITER study を読む。
- 「勉強会になぜSNSが必要か?」
ほとんどの参加者が RCT を読むのが2,3回目の方ばかり。
随分とRCT を読むのに慣れてこられた印象です。
チューターは解説しすぎてはいけないのですが、ついつい解説しがちになってしまいます。
今回は、さら~っと流すだけのつもりだったのと、ホワイトボードに MIND Map 使って、大まかなmappingするのにも挑戦したので、少し焦っていました~^^;
テーマに使った RCT は、JUPITER study 。
先月の狭心症の動脈硬化の退縮をテーマにした講演会でも、JUPITER study について、詳しく解説がありました。
復習ですね。
■ 論文 RCT JUPITER study
ロスバスタチンはLDLが正常だが高感度CRPが高い患者の心血管イベント予防に有効
Rosuvastatin to prevent vascular events in men and women with elevated C-reactive protein.
Ridker PM, et al. New Engl J Med, 2008 Nov 20;359(21):2195-2207.
■ 論文の背景
- 炎症マーカーの一つである高感度 CRP 高値は LDL と独立した心血管イベントの予測因子。
- スタチンはコレステロールと同様に高感度CRPの値を下げるので、高感度 CRP は高いが LDL の低い人にスタチン治療の有益性があるかもしれないと考えて行われた研究。
■ 論文のPECO
P(patient):健康な男女 17802人 (26カ国) 50歳以上の男性,60歳以上の女性,心血管疾患の既往のないもの,LDL-C<130mg/dL,高感度(hs)CRP≧2.0mg/L(日本では0.2mg/dl),トリグリセライド<500mg/dL。
除外基準:脂質低下治療既往あるいは現在治療中のもの,閉経後のHRT実施例,肝機能不全,CK>正常上限の3倍,Cr>2.0mg/dL,コントロール不良な高血圧、慢性の炎症があり、免疫抑制剤、糖質コルチコイドを使用中、甲状腺機能低下症
E(Exposure) :ロスバスタチン20mg/日 8901人
C(Comparison) :プラセボ 8901人
O(Primary Outcome):複合アウトカム(心筋梗塞+脳卒中+動脈血行再建+不安定狭心症での入院+心血管死)
■ この試験の結果は信頼できるか~内的妥当性(デザイン)の吟味
無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(26ヵ国1315施設),intention-to-treat解析。
Funding:financially supported by Astra-Zeneca・・データ収集 試験モニター
サンプルサイズ:continue until 520 confirmed primary end points had been documented, to provide a statistical power of 90% to detect a 25% reduction in the rate of the primary end point, with a two-sided significance level of 0.05. Pretrial estimates of the duration of follow-up and number of participants were based on event rates in earlier prevention trials and were modified to take into account plans to include low-risk groups, including women.
脱落や追跡:服薬率75%
追跡中の両群の治療について:記載なし
■ 結果は何か?
● 評価項目
追跡期間は中央値1.9年。(有意差が早期に出たので、早めに試験中止になった。)
12ヵ月後の LDL-C は rosuvastatin 群で55mg/dL(中央値)でプラセボ群よりも50%低下し,
hsCRPは2.2mg/L(中央値)で37%,TGは17%それぞれ低下した(全p<0.001)。
○ 一次エンドポイントは、rosuvastatin 群142例(0.77例/100人・年),プラセボ群251例(1.36例/100人・年)2年間の rosuvastatin 治療によるNNTは95,5年間の推定 NNT は25。
○ 致死的・非致死的心筋梗塞:rosuvastatin 群0.17例/100人・年 vs プラセボ群0.37例/100人・年
(HR 0.46;0.30~0.70,p=0.0002)。
○ 致死的・非致死的脳卒中:0.18例/100人・年 vs 0.34例/100人・年 (HR 0.52;0.34~0.79,p=0.002)。
○ 血行再建術,不安定狭心症による入院:0.41例/100人・年 vs 0.77例/100人・年
(HR 0.53;0.40~0.70,p<0.00001)。
○ 全死亡:1.00例/100人・年 vs 1.25例/100人・年(HR 0.80;0.67~0.97,p=0.02)。
※ 全死亡はP値0.02だが、ボンフェローニ補正して考えれば有意であるとは言い難い
※ サブ解析により、rosuvastatin群の有効性は年齢,性別,人種,危険因子を問わず認められた。
● 有害事象
重篤な有害イベントは両群同様であった:rosuvastatin群1352例,プラセボ群1377例(p=0.60)。
ミオパチーは19例,うち rosuvastatin 群は10例(p=0.82)。筋衰弱,新規癌発症,血液疾患,消化器,肝,腎系の障害に両群間差はなかった。ALT>標準上限の3倍も両群同様であった。
■ 適用について考える
1.論文で検討された治療法・予防法・診断法の効果は大きいか?
○ 早期のトライアル中止は、有効性と安全性の評価の正確性が乏しいかも。
○ 有効性を過剰評価している可能性あり。
○ コストの高さや副作用やアドヒアランスの低さは、期待される利益がでないかも。
2.副作用(害)は小さいか?
○ rosuvastatin による LDL55mg/dL の長期安全性
○ 長期使用の安全性はデータなし
○ 試験期間の rosuvastatin 群の新規糖尿病発症及び、HbA1Cの上昇
3.その論文で検討された治療法・予防法・診断法のコストは小さいか?
○ 通常の臨床用量の4倍量を使用、よく利用されるジェネリックスタチンよりはるかに高価
○ 2.5mg 1錠 82.70円 、5mg 1錠 160.10円・・・欧米人の20mg=日本人の10mgに相当
○ NNT25を採用して、日本人に10mg/日を使用したとしての費用・・・320.20×365×5×25=1460万9125円
4.目の前の患者は論文の患者と似ているか?
○ 推奨LDL閾値より低い組み入れ基準について
○ 対象患者は、16.6%がアスピリン服用。高血圧が半分以上、16% 喫煙者、フラミングハムリスクスコアが中くらいが半分、肥満者が多い
○ 人種・・・黄色人種が対象者に含まれているか判らない・・・アジアンのデータ必要
5.論文で用いられているものと同じ治療法・予防法・診断法が可能か?
○ 保険適用はCRPのみ。
○ hs-CRP は臨床で測定する?
○ 過去のデータによると通常のスタチンを使用する50%を超える患者は、最初2年間に継続使用ができないというデータもあり。
6.論文で検討されている outcomem には、目の前の患者の信の outcome が含まれているか?
含まれていると思われる。
7.他に知りたいことはないか?
○ 病態生理学的観点では、ロスバスタチンの臨床利益において、炎症は重要なメディエーター
○ Trial では、除外できていた別の炎症を実際の治療では、どのように区別するか。
○ 炎症の指標は、hs-CRP でよいか?・・・中間指標
○ hs-CRP <2mg/L でよい?
○ hs-CRP を測定すべき対象の選別が?
○ 動かない生活、運動量の少なさ、腹部の肥満、喫煙、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム・・・hs-CRP上昇の原因
8.日本の一般的な医療、歴史的背景と違う点はあるか?
hs-CRP の測定が、日本では保険適応外
ヾ(*'-'*)
最終更新:2010年11月29日 13:43