第 11 回 の勉強会は、10/24 に 13 名の参加者で、行いました。
名古屋から参加して下さった方もおられ、本当にありがとうございました。
今回は高垣先生に「薬剤師向けの診断概論」をお願いし、レクチャー & GW の会となりました。
すばらしい資料を用意してくださっていたので、まとめにも力が入ります♪
<診断の思考過程>には以下4つ。
#1 Pattern recognition (gestalt
method)パターン認識法
定義:the instantaneous realization that
the patient's presentation conforms
to a previously learned picture(or pattern)of disease
直感的に「みてわかる」「聞いてわかる」・・・経験がものをいう思考・判断方法
common disease 、よく診る疾患に強いのが特徴。
誤診しないようにanchoring heuristicを避けつつ、availabillity
heuristicを使うのだそう。
heuristicについて調べると様々な資料が出てきました。
意思決定支援の情報学入門
心理的近道(ヒューリスティックheuristic)
anchoring heuristic (係留ヒューリスティクス )は、始めに与えられた情報に引きずられる
心理傾向
#2
Algorithm / multiple-branching / alborization
strategy
定義:the progression of the diagnostic process down but one of a large
number of potential,
preset paths by a method in which the response to each
diagnostic inquiry automatically
determines the next inquiry to be carried out and,
ultimately, the correct diagnosis
例 ACLS、クリニカルパスなども
・・・非常に素早い方針決定が可能
#3 exhaustion 徹底的検討法
定義:the painstaking, invariant search for (but paying no immediate
attention to)all medical facts
about the patient,followed by sifting through the data for
the diagnosis
症例検討会、学会の症例報告
症状からすべての考えられる疾患を考え(rule in)、消去していく(rule out)ので、まれな疾患に
対しては、多くの医師の知識・経験を傾けることが出来るのが強み。
問題点は非常に手間がかかること。
#4 hypothetico-deductive
仮説演繹法
定義:the formulation, from the earliest clues about the patient,of a
’short list’ of potential diagnoses
or actions, followed by the performance of those clinical
(history and physical)and
paraclinical (e.g., laboratory, x ray)maneuvers that will
best reduce the length of the list
可能性のある疾患名ー仮説ーを複数思い浮かべ、新たな情報(病歴、身体所見、検査結果)が
得られる度に仮説を入れ換えたり、確信度を変えるという方法。
EBM 、疫学の本で「診断」について書かれているのは、この方法に関連した事柄が多い。
利点は、簡単で実際的なこと、論理的診断思考プロセスで検証・伝達が可能であること
(パターン認識やカンは伝えられない)、徹底的検討法と似ていることなど。
☆ 事前確立(予想)× 検査 →
事後確立(診断)
手順: 1 鑑別診断のリスト作成
2 付け加えられる所見によりリストを修正
3 所見が付け加わるたびに、リスト修正を繰り返しながら確定診断へ
というわけで、Making a Diagnosis。
薬剤師用にシナリオを使って、インフルエンザの迅速診断キットを使っての演習。
感度、特異度、尤度比などの用語は →EBM の診断の項目に関する超基本用語(061225)
陽性尤度比の目安は以下。
≧ 10 確定診断に使える
5 ~ 10 検査はある程度有効
2~5 or 0.2~0.5 検査後確立と検査前膜率の差が大きくない
検査はあまり有効ではないが、場合により重要な差となる場合もある
1~2 or 0.5~1 この検査が有効なことは滅多にない。
☆ 大切なこと ☆
ベイズの法則の感覚(検査前確立を推定して、検査によって確立が変化して、検査後確立が算出される)
思い込みによる診断・判断だけでは不十分
メジャーな検査の大体の尤度比を把握しておく
疾患によって、事前確立を類推できるような知識をつける
さて、薬剤師の行う診断とは?
● 診断が困難な理由
情報不足
outcome がわからない・・・診断・判断が正しいかどうかを確認できない
システム作りが必要かも・・・とのご指摘。
● 診断が必要な理由
処方関係のリスクマネジメントに有用
状態の悪化や改善を確認する
というわけで、患者さんを見る時の注意点 は?
新たに確定診断をつけてはいけない!
・無い情報(経過 医師との対話記録 採決結果 バイタルサイン 画像検査結果 身体所見など)がいっぱい
・有る情報 :患者さんの話(問診は診断に重要、諸刃の剣)
:着衣での全身の見た目
・・・anchoring 起こさないように!
じゃぁ 薬剤師が診断・判断する根拠にできる情報って?
① 処方内容・・・意外と病名もわかる
② 患者さんの訴え・・・医師に伝えない話を知っている
③ プレディクションルール などの知識で、一般的な判断を下せるかも?
薬剤師の思考モデルを考えると・・・こんな感じ?
① 処方内容で、疾患と状態を類推する。
② 患者さんの訴えから、①の確認
③ ①の範囲で、情報提供
④ 明らかに①を逸脱している話があれば、受診による相談を勧める。
以上、高垣先生より、薬剤師の診断・判断への提案をいただきました。
薬学診断という分野を、早く確立しないと・・・いけない気がします。
TDM などは、早くから尤度比などを取り入れていたと思います。
薬剤師の行う診断・判断って、意外と身近に起こるような気がします。
今日もとある患者さんが、頭皮の吹き出物で内服と外用の抗菌薬投与を受けられていました。
この患者さん・・・爪白癬で、内服の真菌薬も服用中。
うちの薬剤師が困って私に相談してきました。
っで、以下の判断と指導。
① 抗菌薬と真菌薬の相互作用などがないかを確認した所、問題なし
② 患者さん曰く、腫れていて、2week 痛みが続いている
③ 頭皮の吹き出物は、直で診せていただいた限り、抗菌薬投与でよさそう
脂漏性湿疹の可能性は低そうとはいえ、否定もできないが、診断は不可能。
・・・処方医の判断が正しそうと判断。
④ 処方医に真菌薬を内服中で、皮膚科に受診しているため、皮膚科医に当院受診と治療の経過を
伝えるように患者さんに指導することを伝え、承諾をもらった。
⑤ 患者さんに④のとおり指導し、1week 後に皮膚科に受診して、再度相談するとのことであった。
薬剤師の思考モデルをもっと研究して、臨床適用できる形にしていかないといけないと、
改めて感じさせられたのでした。
ヾ(*'-'*)