2012年10月21日の勉強会は、WS候補文献の一つだったSHARP
study 。
シナリオを提供してくださった参加者企画のプログラムで進行していただきました。
文献
The effects of lowering LDL cholesterol with simvastatin plus ezetimibe in
patients with chronic kidney disease (Study of Heart and Renal Protection): a
randomised placebo-controlled trial.
Baigent CらLancet. 2011 Jun 25;377(9784):2181-92. doi:
10.1016/S0140-6736(11)60739-3. Epub 2011 Jun 12.
PMID: 21663949
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(11)60739-3/fulltext
デザイン文献
Study of Heart and Renal Protection (SHARP): randomized trial to assess the
effects of lowering low-density lipoprotein cholesterol among 9,438 patients
with chronic kidney disease.
Sharp Collaborative Group.
Am Heart J. 2010 Nov;160(5):785-794.e10. doi: 10.1016/j.ahj.2010.08.012. Epub
2010 Sep 18.PMID: 21095263
http://www.ahjonline.com/article/S0002-8703(10)00759-3/abstract
シナリオ
CK 値が基準より少しオーバーしているCKD患者さんへの脂質異常症への介入を検討は?
CKDガイド2012 の講演会より周辺情報と合わせると・・・
・
脂質異常症を伴うCKDは「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版」では1次予防でもカテゴリーⅢとし、LDL-C<120mg/dL(可能なら<100mg/dL)を管理目標とする。
これは脂質異常症の治療(特にスタチン)によりCKD の進行抑制とCVDの
発症予防を期待できるためである。
・ 軽-中等度の脂質異常症患者を対象としたMEGA試験のCKDステージ3のサブ解析では、食事療法へのプラバスタチン追加による複合冠動脈疾患(致死的・非致死的心筋梗塞、狭心症、心臓突然死、血行再建術)は
ハザード比[HR]=0.52、95%信頼区間[CI]0.31~0.89、脳卒中のHR=0.27,95%Cl0.12~0.59、CVDのHR=0.45,95%Cl
0.30~0.69、総死亡率のHR=0.49,95%Cl
0.27~0.89を示した
(中村ら2009)。
・ 平均LDL110 mg/dLの透析導入前保存期と透析中のCKD患者を対象としたSHARP試験では、プラセボに比べてエゼチミブ10mg+シンバスタチン20mgはLDLを平均32mg/dL低下させ、
主要CVDイベントを有意に抑制したが(リスク比=0.83, 95%CI
0.74~0.94)、透析患者では有意な差はなかった。
・ 早期CKDから脂質に富む冠動脈プラークが増加するという報告(Miyagiら2010)や久山町研究の剖検解析で、LDL値に無関係に腎機能が下がるほど冠動脈アテロームの重症化が進むことが示され(中野ら2009)、
LDL値で説明できないCKD早期からの動脈硬化の進展があると考えられている。
・ スタチンには蛋白尿や微量アルブミン尿を軽減する効果や腎機能改善効果があることも示されている。
・CKD患者を対象P-STAR-CKD試験で、ピタバスタチン使用6か月後のイヌリンクリアランスは使用前より平均4.8ml/分/1.73m2上昇し、eGFRも平均3.6
ml/分/1.73m2上昇したと報告している。
以上より、脂質異常症を伴うCKDではCVD発生抑制効果が期待されるため、スタチンの長期使用が勧められる。
スタチンの治験時に認められた横紋筋融解症の懸念から腎障害例への使用を制限している。
腎機能低下例への薬剤性障害の発生を証明する直接的データはないが、CKD症例へのスタチンの使用は有用性が有害事象を上回ると考えられる。
ただし、有害事象の症候を見逃さないように慎重なフォローアップが必要である。
ヾ(*'-'*)