人類を救うのはドイツの科学力をおいて他ない、という幻想に取り憑かれてプレイを開始した。
ドイツの科学力とは、すなわち戦車である。
したがって陸上戦力は全て戦車とし、歩兵は全て解散して戦車兵として再教育する事とした。
海軍はよく解らないので、とりあえず全艦艇をヴィルヘルムスハーフェンに集結させておく。
空軍もよく解らないので、とりあえず全機を解散し戦車兵として再教育する。
研究はとりあえず戦車、とにかく戦車、何を差し置いても戦車。
史実年を丸っきり無視して研究させようとしているため、研究速度の水増しに計算機も研究。
戦車生産を加速させるため、車両生産ラインを目指して工場系統も研究。
後は生産ラインに戦車を詰め込めるだけ詰め込んで準備完了である。
1936年1月1日、のっけからアメリカが核攻撃を受ける。
主要都市のおまけにパナマまで被害を受けている。
核攻撃で運河が通行不能になるとか、そういう仕様は無いと思うんですが……。
ロンドンで行われた首脳会議の後、北米奪還のためニューコロニー作戦が考案される。
この時北米で何が起きているのか、正確に知る者は誰もおらず、植民地分割くらいの気持ちで話し合われたに違いない。
しかし、我がドイツの偉大なる指導者アドルフ・ヒトラー総統はこの慢心を一喝した。
突然ではあるが、ヒトラー総統の魂は1936年2月10日くらいまでの前世の記憶を持っている。
当初は「人類を救うのはアメリカの工業力をおいて他ない」という幻想を抱いてプレイを開始したものの、色々と心が挫けてその世界線を放棄していたのである。
ロスアラモスにそびえ立った不自然な高層タワーの崩落に巻き込まれ、パットン将軍率いるお馬さん1個師団があっという間に消滅した時は、何かの冗談ではないかと思ったほどだ。
国家選択画面のテキストをよく読んでいなかった、というのは公然の秘密である。
1936年2月5日、援軍の望みを絶たれたアメリカは本土を脱出し、フィリピンで再起を図る事となる。
なおこの直後、ドイツは謎の協力者からの援助を受ける事となった。
この機械化歩兵はヴィルヘルムスハーフェンに配置した。
いつでも海上輸送が行えるように、との判断だったが、我が海軍は輸送艦を保有していない事が判明。
後で建造する事にしよう……。
その後はロンドンやパリに核が落ちるのを横目に、戦車の生産が進むのをだらーっと眺める時間が続く。
ちょこちょこ戦略爆撃機が飛んできて、地味にICを削っていくのが悩ましい。
迎撃機だけでも残しておけば良かったかなあ、と思っていたところに事件が起きる。
ベルリンに待機していた司令部1個師団と戦車3個師団が消滅した。
機械化歩兵が巻き添えにならなかっただけでも、幸いと思うべきだろうか。
他にも主要な都市に核攻撃が行われるのを見て、VPのあるプロヴィンスに部隊を配置するのが怖くなった総統閣下。
機械化歩兵をベルリンの隣のポツダムに再配置し、今後生産された部隊もポツダムに配備する事を決めた。
1936年7月16日、技術部から新兵器開発の提案が上がった。
ポツダムにて戦車たちと遊んでいるアレの設計図だろうか?
新しいものはとりあえず使ってみたくなる総統閣下、世界中の科学者を集めてこれを開発させる事にした。
なお研究機関創設のため、ありとあらゆる資金と物資を根こそぎ注ぎ込んでいる。
パリ講和会議の賠償金とかは有耶無耶になっていると思うが、最序盤からこの総動員体制で国は大丈夫なのだろうか。
シュトゥットガルトやケルンが核攻撃を受けたり、オーストリアが二重帝国を復活させたり、ソ連が大粛清に走ったりと、様々な事件が発生しながら、ただひたすらに戦車を生産し続けるドイツ。
いつ、どこで異星人が攻めて来るのかビクビクしながら時間を進めていたが、1937年8月2日に新しい動きがあった。
異星人の南米侵攻である。
新大陸は南北ともに終了の様相だ。
戦車を送り込もうかとも思ったが、南米は南米で独自の同盟を組んでいるらしく、さしたる関与は出来そうにない。
というか、そもそも輸送艦を造っていない。
戦車が最優先だからね、仕方ないね。
と、このように徐々に人類が滅亡に向かっていく最中、1937年8月28日にバルカン半島が大爆発を起こす。
何をやっておるのかね、君たちは。
内輪で争っている場合ではないのだが。
当然、そのような闘争に手を貸すわけには行かない。
ヒトラー総統は関係国の姿勢を厳しく糾弾し、断固としてこのような動向を許すべきではない、と熱弁を振るった。
振るったのだが。
あ、あれ。おかしいな。
便乗しなかったのはドイツだけだった。
どうやらバルカン半島は、列強の兵器試験場と化するらしい。
人類が内ゲバに勤しんでいる1937年11月5日、絶望的な戦いを続ける南米に希望の光が差し込んだ。
朗報である。
ヒトラー総統は撤退作戦への全面的な協力を表明。
といっても例によって輸送艦はない。
戦略爆撃への対抗手段として、ちまちま作り始めた迎撃機を送るくらいしかやる事がない。
具体的にはどうやったら彼らを助けられるのだろうか……なんて思いながら時間を進めた翌日。
一体何が起きたのかまったく解らないが、南米撤退作戦は即日完了したようだ。
全部用意が出来ていて、間違いなく大丈夫というところで公表した、とかそういう話なのだろうか。
ゲッベルス君、次からはちゃんと途中経過も報告するように。
リヴァプール、バーミンガムと立て続けに英本土への核攻撃が行われたところへ、更に泣きっ面に蜂な事件が発生した。
北米大陸からでも足の届く戦略爆撃機を保有している異星人が、より近場に拠点を構えてしまった。
ただでさえサイパンからB-29が飛んでくるのに、硫黄島からP-51も付いて来る、みたいな状態になるのだろうか。
難易度選択で獲得したMAP外ICが丸々吹き飛ぶ程度には核攻撃をもらっているので、これ以上ICに打撃を加えられると辛いのだが。
着々と戦車の数を増やし、兵站管理持ちの司令官が足りなくなってきた1938年6月2日。
最初は「オーストリア」と読み間違えて悲鳴を上げそうになったが、よく見るとコアラ大陸である。
遠すぎて何も出来ん。済まんな、カンガルーたち。
コアラの黒い染みが徐々に拡大していく中、1938年9月24日にミュンヘンで各国首脳が会談を行った。
散々バルカン半島に軍を送っておきながら何を、と思わないでもないが、そこはぐっと堪える大人の総統。
大人は大人らしく、取引をしようじゃないか。
ごちそうさまです。
イギリスがエチオピアを、フランスがベルギーを、ドイツがオランダを吸収した。
ルクセンブルクはいつの間にかドイツに編入されていた。
しかし問題はオランダ領インドネシアである。
何度も言うが、ドイツに海上輸送能力はない。
どこか適当な海軍国に引き渡して管理してもらおうか、と思って各国の状況を探ってみる。
一番輸送艦を持っているのは……。
あろうことか、イタリアである。
日本とアメリカはそれなりに海軍の形を留めているが、イギリス海軍はすっかり壊滅してしまっている。
この前独立したばかりのインドですら空母を持っているというのに、栄光のロイヤル・ネイヴィーはどこへ行ってしまったのか。
なおドイツ海軍はヴィルヘルムスハーフェンへの港湾攻撃を受け、駆逐艦1隻と潜水艦2隻を残して消滅。
あまりにもどうしようもないので、残された3隻は廃棄して乗員には戦車兵として再教育を受けてもらっている。
誰がどうやっても東南アジアを満足に防衛する事は不可能、との結論が出てしまった。
産出される物資を送れるだけ送り、異星人が来たらイカダで逃げる方針を固める。
年が明けて1939年となり、新卒司令官に兵站管理持ちはいないかなーと思って検索したところ。
ロンメル……? 兵站……?
私の知っているロンメルではないような気がするのだが、深く考えない事にする。
強烈な違和感に苛まれながら成都に核が落ち、そしてバルカンが鎮まった。
この後オーストリアはギリシャを併合し、南欧をすっかり掌握する事となる。
二重帝国に負けちゃいらんねぇ、とエンジンの掛かった総統閣下は、ふと思い出したように拡張政策を取り始めた。
1939年3月15日、ドイツはチェコスロバキアを併合。
生産ラインの整理をしていると、見慣れないアイコンが現れた。
司令部……戦車生産に没頭していて、すっかり忘れていた。
せっかくなので、チェコスロバキアの生産ラインを10連続生産に引き伸ばして活用させてもらおう。
900を超える改良ICに度肝を抜かれ、さすがに戦車生産の規模を縮小させるなどの細々とした操作を行っていると、やはりというべきか、モロトフ=リッペントロップ協定が発生した。
ポーランドは場所が悪いよ、場所が。
併合したのはドイツだったため、ポーランド軍をそのまま吸収。
さすがにお馬さんを食わせる飼葉がなく、騎兵は解散してバーデンバーデン競馬場に転属させる。
歩兵は沿岸警備隊として各地に再配置した。
この時まで沿岸防衛を放棄していたドイツ軍だったが、旧チェコスロバキア軍と合わせてそれなりの歩兵が手に入ったため、一転して水際防御をやる気になったようだ。
異星人の新たな攻撃が始まったのは、この一週間後の事であった。
シベリアか……。
陸続きなので援軍を送るのは簡単だが、遠い。
今回は第一方面軍が動いたようだが、方面軍は他にも二つある。
特別奇襲部隊とかいう、いかにも厄介そうな名前の付いた勢力も存在する。
援軍を送るにしても、規模は慎重にならざるを得ない。
本土を空けてシベリアに全力で突っ込んだ結果、今度こそ本当にオーストリアに奇襲を喰らいました、では話にならない。
実際、アイスランドには降って湧いた異星人である。
油断しない方が身のためだ。
そもそも、シベリアなんてリスクを冒してまで守らにゃならん場所でもない。
ソ連だって焦土作戦に適した戦域、くらいに思っているんじゃなかろうか。
日本や中国には悪いが、極東の対応は極東でやってもらう事にしよう。
新型兵器の開発が完了するまでの辛抱だ。
そのように決断した総統は、今日はもう眠いという理由で本日の政務を終了したのだった。
続く。
最終更新:2014年08月31日 22:51