シベリア方面での軍事行動について、ドイツは関与しない事を決定したのは昨日である。
しかし翌日になってヒトラー総統は、諜報部からもたらされた情報によって、その方針に大きな疑問を抱くようになっていた。
この超高層ビルである。
さすがのクレムリンも顔を青くしているのではないだろうか。
やはり少しくらい援軍を派遣した方が良いのでは……。
などと思案していると、ここで総統閣下の天才的閃きが発動した。
歩兵師団の譲渡である。
チェコスロバキアやポーランドの併合により約100個師団の歩兵を抱える事となったのだが、沿岸防衛に3個師団ほどを配置しても50個師団程度。
残りはワルシャワやプラハでのんびりしており、彼らを極東に派遣しようというものだ。
譲渡せずにドイツ軍所属のまま極東へ送り込めば良い話なのだが、異星人の別の方面軍が欧州を攻撃した時、ユーラシア大陸の両端で戦線を管理できる自信は、まったくもって皆無である。
従って、ソ連と中国のAIを信じて彼らの手に委ねるのが最良、との判断だった。
これを書きながら「管理し切れなくなったら、外交から遠征軍派遣を選んでも良かったな」と思い付いたのは、公然の秘密である。
うっかり沿岸警備隊を譲渡してしまい、判りやすいように師団名を片っ端からリネームするなどの作業に追われる中、恐れていた事態が発生した。
北欧侵攻である。
さすがのヒトラー総統もこれには重い腰を上げ、ルントシュテット元帥にスカンディナヴィア救援を命じた。
率いるのは司令部1個師団、戦車35個師団、麾下にはマンシュタイン中将やロンメル中将などの名将がずらりと並んでいる。
この陣容であれば異星人を押し返す事も不可能ではあるまい。
オスロへと戦略的再配置されたドイツ陸軍は、異星人侵攻部隊に対して反撃を開始する。
済みません無理でした。
強い堅い速いの三拍子揃った異星人の前に、ドイツ機甲師団は後退を余儀なくされた。
上図は二つのプロヴィンスにそれぞれ18個師団を配置したものであるが、これでも全然歯が立たない。
この後、更に敗走し半島南端のマルメに押し込まれている。
なお、カレリア方面ではソ連軍が頑張っているのか、異星人の侵攻は低調である。
死守命令を乱発しそうになるヒトラー総統を参謀本部が必死に宥めている中、11月9日、28日と立て続けに異星人の新たな攻撃を開始する。
ユーラシア大陸を東西から挟撃したかと思えば、今度はシベリア戦線の裏側に兵力を放り込んでくる異星人の無慈悲な大攻勢である。
11月10日にはワルシャワが核攻撃を受けており、「そこにいた歩兵、全部ソ連と中国に送った後で良かったなー」なんて余裕は一瞬で消滅した。
この頃になると欧州の空に異星人の戦闘機が進出し始め、戦略爆撃を阻止しに行った迎撃機がズタボロになって帰ってくる光景が日常化。
修理や補充に食われるICが急速に増大したため、空軍には地上待機を命じてある。
ワルシャワに核攻撃を許したのは、これが一因だろう。
12月18日には中国でイベントが発生。
まだまだ広い領土を残しているように見えるが、北京では少なくない数の部隊が包囲を受け、主要都市は軒並み異星人の手に落ちている。
中国に送った歩兵師団は元気にしているのだろうか。
左下ではインド東部も食い荒らされているが、インドシナとインドは歩調を合わせて要塞線を建設したとの情報もある。
なんとか耐えてくれるかもしれない。
そんな淡い希望を胸に秘めながら、年が改まった1940年1月6日。
そう言えば化学の授業で希塩酸とか希硫酸とか習ったっけな、希の字は薄いっていう意味だったっけな。
もうダメだ、アジアはどうしようもない。
北欧での戦いぶりを見る限り、ドイツ軍が出向いて行っても結果は大して変わらなかったのではないだろうか……。
とにかくこの冬を越さない事には手の打ちようがない。
異星人は冬季ペナルティなんぞお構いなしに兵を進めているが、人類はそうもいかない。
陸上戦力を戦車に統一してしまっているドイツは特にそうだ。
もっとも、雪融けを迎えたところで何が出来る、という訳でもないのだが。
こちらの戦車は異星人に蹴散らされ、36個師団を一箇所に固めて、ようやく異星人も警戒して手を出してこなくなる、という具合である。
ドイツ本土には約100個の機甲師団が待機しているが、これだけあっても攻勢に足るかどうか、まったくもって自信がない。
全部攻勢に突っ込んだところで、北欧以外の欧州に襲撃があればゲームセットである。
戦車は持って楽しいコレクションではないのだが、迂闊に動かせないのがもどかしい。
一体どうしたものかと頭を抱えていると、その頭をジャンピングボレーで蹴っ飛ばすかのような事件が発生した。
あいつら、本当にオーストリアに来やがった!
今度はコアラ大陸ではなく、間違いなくオーストリアである事を入念に確認する総統閣下は、とりあえず機甲師団を36個派遣し、足りなければもう36個師団追加、という決定を下した。
何だか戦略段階で一番やってはいけない愚を犯している気がするが、丁度新型の戦車が生産されたばかりである。
時代を間違えて産まれたパンターなら、もしかしたら異星人に対抗できる可能性を秘めていないとは言い切れないかもしれない。
IV型の機甲師団を探しながら師団分割を行っていると、見覚えのないアイコンが並んでいる事に気付く。
いっけね、難易度選択でプレゼントされた機械化歩兵の存在を完全に忘れていた。
よく見ると、色んな項目の数値が桁違いである。
更によく見るとII型戦車が改良されておらず、改良に必要なICが全然足りていない事が判明するのだが、気にしてはいけない。
ゲーム開始以降、およそ3年間存在を忘れられていたこの6個師団を南欧へ投入する。
指揮官にはマンシュタイン中将とロンメル中将を任命。
他の36個師団にもスキル4やスキル5の機甲戦持ちの司令官を割り当て、名将たちを引き抜かれた北欧戦線は部隊を再編成。
12個師団を3つに分け、それぞれこれといって仕事のない古典派元帥に損な役目を押し付けた。
南欧派遣軍はベオグラードに再配置された後、ギリシャへ向かった。
とりあえず陸上要塞のあるサロニカを目指したのだが、機械化歩兵が飛び抜けて速い。
あっという間に前線に到着し、1940年2月6日13:00、サロニカにて防衛線に突入する。
この一時間後の14:00には。
強い、強いぞ機械化歩兵。
一瞬にして異星人の戦車隊を追い払ってしまった。
これはもしかすると、もしかするのでは……?
戦局の打開に向けて明るい材料が舞い込み、ヒトラー総統は久し振りに明るい気持ちで床に就くのであった。
なお北欧戦線。
ばっちり指揮官交代の隙を突かれ、コペンハーゲンに撤退の運びとなった。
最終更新:2014年09月02日 20:00