激しく咳き込み、口元を押さえていた手を見ると、どす黒い血が混ざった痰がべっとりと掌を汚していた。



『今、宇宙に出掛けた際に「宇宙咳」と呼ばれる伝染病に感染する方が増えています。この「宇宙咳」は飛沫感染で広がり、症状は肺結核に酷似しているものの、治療にはサドちゃん星製の特殊な薬が必要とのこと。幕府は全宇宙貿易商業協会と連携を取り、一刻も早い薬の確保に努めていますが、薬が江戸に届くのは早くても・・・』

依頼がこなくて本当にニート状態の僕達万事屋は、コタツで林檎を剥きながらテレビを眺めていた。

「って、ちょっと、おかしくありません!?まだ十月ですよ!?なんで早々とコタツ出してんですか、しかも、なんでそんなに厚着してんですか!?」

「別によくねー?最近さみーし。」

「そうネ!冷えは乙女の大敵アル!」

「・・・んなこと言ってる割にアンタら、すごい汗だくなんですけど」

銀さんも神楽ちゃんも、揃って茹ダコのように顔を真っ赤にして額に汗を浮かべている。

「俺らのどこが汗だくだ・・・げほっ、ごほっ」

「暑いどころか寒いアル、ぐほっ、げほっ」

「ただ単に風邪引いて熱あるだけだろ・・・まったく、テレビなんて見てないで、寝てなきゃダメじゃないですか」

僕は仕方なく和室に銀さんの布団を敷き、押入れの中の神楽ちゃんの寝床を整えた。


・・・このとき、僕らはまだ知らなかった。

残酷な運命の歯車が、僕たちを戦いの渦に巻き込んでゆくなんて・・・
                              
                              続


「オイオイ、俺の誕生日に何コレ?なんで俺熱だしてんの?今年に入ってもう三回目なんですけどォォオオオ!」

「ラストもなんか新八に持ってかれてるネ」

「いや、これ、実は新シリーズの予告編とかで・・・ほ、本編では銀さんすっごく活躍するらしいですよ」

「マジでか!?」

「でもなんか人がばったばった死んでくって言う話ネ。今のところ二人は死亡決定らしいアル」

「あ、そういやなんか最初の方に入ってたな」

「これってまさか・・・」

「まさか・・・」

「まさか・・・」











あとがき
危うく、銀さんの誕生日にUPするのを忘れるところでした
今回は殺伐系です。本文中の星の名前は、某オレンジ色のゾウさんが元ネタです。
ちなみにもう一つ病原菌ネタがあるんですが・・・これ書き終わってから考えます。
最終更新:2009年10月10日 19:49