「あー、いけないんだ――――」
Data
【名前】フィアナ・1st
【性別】女性
【種族】半生体型アンドロイド
【身長】142cm
【体重】77kg
【年齢】0歳4ヶ月
【外見】シスター服に似た黒い長衣を着ている、銀髪紅眼の少女。
Profile
カノッサ機関極東第二支部・双胴空母型洋上研究艦「タイタス」及び護衛艦艇群、通称「ミスティック・フリート」における一派閥「提督派」によって製作された半生体型戦闘用アンドロイド。
従来の戦闘用アンドロイドと違って機巧武器や銃火器などを運用せず、魔術式の行使による戦闘を基本とする。
派閥間抗争に伴う事情により、大殲滅兵器と呼ばれるミスティック・フリート固有の強力な武力を運用できない「提督派」が、大殲滅兵器に代わる新たな武力として、持てる全てをつぎ込んで製造したアンドロイドである。開発コンセプトは「現代の魔王」。
最新鋭の魔導機関を搭載し、機械的魔術力行使体としては破格の性能を誇るが、それとは別に「霊装」と呼ばれる呪的な道具との親和性のために、ホムンクルス製造技術を応用・発展させて作り上げた耐超魔力負荷生体回路が体組織に組み込まれ、その上数ヶ月間に及ぶ儀式に末に生み出された、神霊の加護を受けた霊魂をその身に宿しているのも特徴的な点である。
そうした数々の力を持たされた彼女であるが、まだ生まれてから四ヶ月ほどしか経っておらず、その力に見合わない未成熟な精神を持つのが欠点。
現在、「提督派」と
千夜グループとの間に成立した盟約により、
黒沢小百合の配下として身を置いている。
Skill
◇人造魔眼型術式投影装置
フィアナの赤々と輝く瞳は、それ自体が一つの魔術的装置である。
この魔眼は、瞳が捉える光景を魔術式を描くための巨大なキャンパスとして扱う魔術式投影装置の一種で、これによって迅速かつ多重な魔術式の展開が可能になる。
ただ、瞳という器官であるということと、投影装置であるという機能上、この魔眼の効果範囲は目に見える範囲(あまり遠くには投影できない)に限定され、一定以上の速度を持つ動体には魔術式を描けない、という制約を受ける。そのため、暗闇や動いている相手に対してはその性能を発揮できない。
しかし、それは逆に言えば、視界に捉えていて、立ったまま静止している相手や、椅子に座っているような相手ならば自由に魔術式を描ける、ということであり、これを利用した暗殺も過去何度か行われた。
◇第四世代ラピッドキャスター(フィアナ・1st対応型) ×3
魔導機関には普通、魔術式を機械的に再現し、人由来のそれを凌駕する術式構成速度を発揮するためのコアユニットとして、ラピッドキャスターと呼ばれる術式速唱機関が組み込まれているが、それには術式を記憶した専用カートリッジを必要とし、そうしたカートリッジをセットされたラピッドキャスターはその術式専用の調整をなされる。
それら通常のものとは違い、フィアナに搭載されたラピッドキャスターはそのカートリッジの役目を彼女自身のメモリが代用しており、メモリに記録された数多くの術式を構成するために、前例のない万能型になるための調整を受けた。
これを三基搭載したことにより、瞬時に多数の術式を構成することが可能となり、最大で一度に76連もの術式を展開できる。
しかしながら、この使い方はラピッドキャスターという機械のキャパシティーを完全に超えており、一回戦闘したら即、全機関を交換しなければならないほどに部品を摩耗する。
◇時間制御術式再現機関『クロノグノーシス・リヴァル』
フィアナに搭載されている、限定的な時間制御を可能とする魔導機関。「β型」とも。
ミスティック・フリート内にデータとしてだけ残っていたクロノグノーシスver.1からver.3のデータを活用し、「提督派」独自の改良を加えてある。
とりわけ特徴的なのが、術式制御のための触媒として中枢に組み込まれている紫色のクリスタル「刻の瞳」で、この世に存在するいかなる物質にも当てはまらないこのクリスタルがあることによって時間制御術式の能力が大きく増強されており、時間圧縮・拡散能力、逆行再生能力はオリジナルのクロノグノーシスを凌駕する。
中でも、逆行再生能力は単独行動を主とするフィアナにとっては非常に都合の良い機能で、特にメンテナンスなどが無くとも、この能力を使えばそれほど時間を掛けずに摩耗した部品や損傷箇所を再生することができる。この恩恵を最も受けているのが前項の第四世代ラピッドキャスターで、強化された逆行再生能力に保護されたラピッドキャスターは、部品の摩耗を全く気にすることなく常に最大稼働することが可能となっている。
◇AL48型エーテルジェネレート・リアクター ×2
カノッサ機関内においてエーテル119、エーテル163と呼ばれる二つのエーテル物質を燃料とするリアクター。
この二つのエーテル物質を炉内で衝突させ、その結果引き起こされるエーテル崩壊に伴う爆発的なエネルギーを取り出す動力炉である。
これより出力の高いエーテルリアクターは少なくないが、このエーテルリアクターにはもう一つの側面があり、それはエーテル崩壊による新たなエーテル物質の生成能力である。
119と163は衝突させる速度・数量を変えることによって様々なエーテルを生成することが可能であり、フィアナはこれを利用して各術式に必要な種類のエーテルを確保している。
無論、このリアクターもクロノグノーシスの恩恵を受けており、崩壊反応させた両エーテルの逆行再生や時間的加速による効果で、その稼働効率を70%ほど向上させている。
Equipment
◇幼き魔王の戦衣
フィアナが常に着用している黒い長衣。フィアナが誕生したその日に、「提督」から贈られた。
袖や裾に銀糸で控えめに刺繍が施してある以外は特に飾り気のない、地味なデザインをしている。
何もしていない状態だと普通の衣服程度の耐久力でしかないが、フィアナのように魔力で溢れている人物がこれを着用すると、その魔力を吸った特殊な繊維が覚醒し、その見た目からは全く想像できない耐弾・耐刃・耐衝撃・耐魔力性能を発揮する。
魔術師にとっては嬉しい効果が付与されているものの、その性能は魔力を吸い上げ続けることによって維持されるために、魔力の高い人物でないとこの長衣を扱うことは難しい。
◇狂悦への音色
フィアナの持つ「霊装」。見た目は長さ40㎝ほどの、木製の横笛。
一見何の変哲もない笛だがその音色には周囲のエーテルを狂乱させる力があり、それは魔術的なノイズとして周囲に伝播し、人の意識や魔術式を激しくかき乱す。
しかし、笛の使い手であるフィアナにはさしたる影響はなく、逆に狂乱してエネルギー量を増したエーテルを魔術式の燃料として使用することが可能である。
この笛に限らず、霊装の使用には一定以上の霊格が必要で、かつそれが必要とする高い魔力を常に供給し続けなければならない事情から、フィアナの製作の際にはそれを見越した処置が施された。
最終更新:2011年10月17日 20:07