セウァリス・グリュンヒルド


「伊達や酔狂でこんな物を担いでいるわけでは無い。――威力は喰らって確かめろ」


名前:セウァリス・グリュンヒルド/Sewaris Gryunhiled
所属:複合企業体コングロマリット『千夜グループ』/治安維持部門民間軍事部(千夜プライベートミリタリー社)
役職:千夜プライベートミリタリー社上級指揮官/特殊戦略部隊長
種族:強化人間(擬似夜刀神/レナリエス・チルドレン)
性別:女性
年齢:31歳
身長:182cm
体重:66kg



種族特性


・超身体能力:S

 レナリエス計画の強化手術によって後天的に獲得した、強化人間としての人間を遥かに凌駕する高い身体運動能力。
 通常の人間は筋肉などを動かす際、脳からの運動指令信号を神経線維の末端で神経ホルモンのアセチルコリンに変換し、細胞膜表面の受容体に作用させる事で細胞内のアデノシン三リン酸に加水分解反応を起こさせ、その反応エネルギーで細胞同士をスライド、筋肉を収縮させる。
 だが、レナリエス計画被験者(レナリエス・チルドレン)の筋肉動作までの過程はそれとは異なり、意識的に脳からの運動指令信号を人と同じ通常の運動信号とは別の特殊な信号を発信、その信号を受容体に送ると神経線維の末端はアセチルコリンと異なる細胞に直接作用する神経ホルモンを分泌する。
 これによって加水分解反応エネルギーとは別の反応エネルギーを発生させ、加水分解反応エネルギーとあわせて二つのエネルギーを使用することで筋肉の質量は人間と変わらないにも関わらず、筋力を大幅に底上げしている。
 本来の人間と比べて劣る点としてカロリーを大幅に消費する点が上げられる。運動持続時間自体が人間を遥かに超えて長大だが、激しい運動を極長時間続けるとカロリーを大幅に消費し、それに伴いグリコーゲンとインシュリンも一時的に使い尽くしてしまう。

・超神経伝導:A+

 レナリエス計画の強化手術によって後天的に獲得した、秒速800メートルに達する神経パルスの超伝導能力。
 人間やその他の動物の有髄神経細胞の神経パルス伝導速度は無髄神経細胞の凡そ百倍の毎秒凡そ100メートルだが、これは絶縁性の髄鞘で神経細胞の軸索を被服することにより神経パルスの伝達速度を上げているためである。
 レナリエス・チルドレンの神経細胞の神経パルス伝導速度は、この髄鞘の絶縁性を高める事によってパルス伝導をさらに早くしている。
 神経細胞はタンパク質やホルモンを作る機能を持っているにも関わらずそれらの機能を使っていないが、レナリエス・チルドレンの神経細胞はそれとは異なり、有髄神経を完全な絶縁体にする効果を持った特殊なホルモンを分泌し、それによってよって神経パルスの伝達速度を飛躍的に高めている。

・自己再生:B++

 レナリエス計画の強化手術によって後天的に獲得した、非常に高い肉体細胞再生能力。
 再生の際には傷口の断面部分の細胞からカルスに似たゲル状の未分化細胞群が増産され、極めて短時間で傷口を埋めて失われた骨や筋組織、神経や血管等に変化して傷口を埋め、修復する。
 性質からして一般的な動物の再生能力とは根本的に異なり、その再生形態は動物よりも寧ろ植物に近い。
 無意識下でも発動しており、紙で切った程度の傷ならば認識していなくても一分程で完治し、傷を認識していれば再生にかかる時間を数十秒にまで短縮出来る。
 意識を集中する事で治癒の速度を更に上げる事が可能で、集中の程度にもよるが、紙で切った程度の傷ならば数秒で治癒を完了する。



保有技能


・総合戦闘技術:A-

 白兵戦闘、徒手格闘、短剣格闘から射撃術、狙撃術、砲撃術、部隊指揮という多くの分野を総合した戦闘技術。
 それぞれの分野で高いレベルの技量を持つが、各分野を専門とする熟練者には及ばない。
 ただしセウァリス・グリュンヒルド自身は元々部隊指揮を専門とするため、部隊指揮においては前述した専門の熟練者に相当する。
 加えて徒手格闘の分野でもそれと同様であり、超的な身体能力とあいまって人よりも多少力が強い程度の人外ならば容易く圧倒する程の技量と膂力を持つ。
 全てを総合した兵士の保有技能として見ると非常に優秀であり、個人単位での総合的な評価は一兵士としては極めて高い。



武装


・125mm迫撃砲剣『ゼルエット』:S-

全長:3780mm
重量:1380kg
砲身長:2440mm
口径:125mm
射程:直射2900m/曲射9600m
刀身長:2550mm
刃幅:640mm
刃厚:280mm
柄長:930mm

 SMI(千夜ミリタリーインダストリーズ)製の迫撃砲を大幅に改造、改修して組み上げた戦術兵器。レナリエス・チルドレン及び夜刀神による運用を想定した規格外の個人武装。
 後装式の迫撃砲から支持架と底盤をはずし、砲撃時の反動や火薬燃焼によって発生するガスの圧力を利用した専用の次弾装填機構とダブルカラム弾倉、遊底を取り付けた、謂わば巨大なダブルアクションの自動式拳銃に似た射撃システムを持つ独特の迫撃砲を基本形とする。
 それにトリガー機構を持つ柄を機関部に、専用の巨大な片刃の刀身を砲身部の根元から取り付けて構成する。バーツの全てがSMI独自開発の特殊合金製で、非常に高い頑強性を持つ。
 基本形の外観は撃鉄、撃針、遊底があるなど、グリップの無い巨大な自動式拳銃のようなフォルムをしており、グリップの代わりに取り付けられたトリガー機構を内蔵した長大な柄を持って使用する。
 これに専用の巨大な刀身を取り付けると、遠目からは巨大な片刃の剣に見えるが、棟部に砲身、柄の付け根には迫撃砲の機関部や遊底、撃鉄などがあるため、機械的で物々しく、いかにも兵器といった印象が強い。
 砲身に取り付ける巨大な刀身の根元はサーベルのナックルガードに似た鍔のような形状をしており、これによって柄を握る手を保護している。また、柄と平行するような形で大きなトリガーが取り付けられており、砲撃の際には柄ごとトリガー握って砲撃を行う。
 トリガーには機械制御の安全装置が取り付けられており、砲撃時には安全装置を解除する必要がある。砲撃後、安全装置は次弾を装填するまで自動で起動し、次弾が装填されると自動で解除される。この後一秒の猶予時間の間にトリガーに手をかけない場合、再び安全装置が起動する。
 これは白兵戦闘時の衝撃による誤射などを防ぐ目的としており、次弾装填後白兵戦闘に切り替える場合は猶予時間を待たず手動で安全装置を起動する事も出来る。猶予時間は連続砲撃のために設けられており、間接砲撃などの際に即座に砲撃を行える状態で待機する事も可能。
 砲撃の威力は大隊以上の戦術単位としての部隊人員及び車輌の壊滅、無力化、制圧を目的として部隊規模の勢力を対象に運用される迫撃砲の威力そのままで、個人規模の領域を大幅に超過しており、個人に対して運用する場合過剰火力であり、人道にもとるとすら言われる。
 基本となる迫撃砲が直射による水平射撃と曲射による間接射撃を可能とするが、それ以上に他の迫撃砲と比べて射撃の精密性に非常に優れる事が砲撃における最大の特徴。
 専用の巨大刀身は切味よりも頑丈さを追求した仕様だが、その重量だけで人間はもとより一般的な車輌を叩き割る事が可能であり、取り回しが難しいものの威力は非常に高い。
 総合的に兵器として見た場合、汎用性は薄いものの非常に高い筋力を持つ種族なら超長距離間接砲撃から白兵戦闘まで全ての距離での運用が可能であり、その際の威力は完全に個人規模を上回るため、ピーキーで取り回しが難しいものの兵器としての評価は非常に高い。

・シールド付属ウェポンキャリアー『レグナシルト』B++

 250cm×110cmの長方形をした特殊合金製の黒い箱。125mm迫撃砲剣『ゼルエット』を刀身、砲身、柄の三つのパーツに分けて収納している他、125mm迫撃砲剣専用の鉄鋼弾や榴弾などの各種砲弾、軍用ショットガンやアサルトフライフル等の銃火器を限界まで搭載している。
 箱の外側の側面には全長210cm、横95cm、厚さ15cmの分厚い特殊合金製の黒塗りの機械盾を取り付けており、必要に応じてこれを取り外して運用する。
 この盾の下部裏面には盾を立てるための支持架が折り畳まれており、これを展開して専用の踏み台を足で踏んで抑えたり、足場が土なら支持架を足場に突き刺したりする事で盾をその場に固定しながらハンズフリーで行動が行える。
 左手に持った時右手側に大きな凹の字を右に90度回転したような、欠けたように見える部分がある。これは固定射撃をするためのポートの役割を持っており、125mm迫撃砲剣の砲身を掛けて使用する。
 盾部表側には四つの小型カメラが埋め込まれており、取っ手の付いた盾の裏面のディスプレイにカメラによる映像が表示される。これによって盾に身を隠しながらも相手の位置などの情報を正確に把握する事が可能。
 手持ちの盾という側面と、壁という二つの側面を持ち合わせ、持ったまま移動する事も出来るが固定して125mm迫撃砲剣の砲台盾として運用される事も多い。その際には堅固な防御力と強大な火力を持つ事から、その様は時として要塞のようだと形容される。
 125mm迫撃砲剣やその他の持ち運びを容易にするウェポンキャリアーと頑丈なシールドであるが、常人には扱えず、また多人数で運用するのにも向かないため、レナリエス・チルドレン以外の使用を鑑み、装備としての評価はあまり高くない。
 セウァリス・グリュンヒルドはこれを付属のベルトで背中に背負い、持ち運んで運用している。ウェポンキャリアーの表面にはSMI社とSPM社の二つの会社のロゴが描かれている。



プロフィール


 民間軍事会社、千夜プライベートミリタリー(SPM)の社員。戦闘要員であり現場では上級指揮官を勤める傭兵にして、千夜グループのバイオテクノロジー部の極秘プロジェクト、レナリエス計画で生み出された強化人間。
 元々は別の民間軍事会社に勤める傭兵だったが、異能者の引き起こした事件に巻き込まれ、異能者や魔術師などの跋扈するいわゆる世界の裏側の存在を知る。その後裏の世界に飛び込み、千夜グループに入社、忠誠を誓う。
 各地を転々としながら民間軍事会社の戦闘要員として仕事を行っていたが、人道的では無いとして破棄が決定されたレナリエス計画に自ら志願して被験者となり、レナリエス・チルドレンの第一号となる。
 被験後、通常の戦場でレナリエス・チルドレンとしての能力を見せる訳にもいかず、一般的に隠匿される特殊なものを任務を主に軍事活動に従事する。
 暫くはそうした生活が続いていたが、千夜グループの異能都市での治安維持業務における人材不足に伴い異能都市に出向。異能都市での生活を始めた。



容姿


 プラチナブロンドの長髪に赤い瞳を持つ。元々は髪、瞳の色共に黒色だったがレナリエス計画の強化手術の影響で体色素が抜け落ちて現在の色となる。
 そのため髪色は正確にはプラチナブロンドではなく白髪だが、色素が綺麗に抜けたために自然なプラチナブロンドに見え、本人はこれを気に入っている。
 顔立ちはそれなりに端正だが、鋭い目付きと色素が抜けた為に赤みの弱い薄い唇をしており、冷酷、冷静な印象を人に与え、ある意味で軍籍の似合う顔立ちをしている。
 女性としては長身でスタイルが良く、均整の取れた体付きだが、軍人として日々体力練成に励んでいるため筋肉質。元々白人で白い肌をしていたが、更に色素が抜けたために雪のような真白い肌になっている。
 服装は基本的に千夜ミリタリーインダストリー社の制服や軍服、千夜グループ治安維持部門の制服を着ており、長身とあいまって男性的で、男装の麗人といった印象を見る者に与える。
 加えて自身の主武装である125mm迫撃砲剣や、その他の重火器を多数搭載したシールド付属ウェポンキャリアーを常に背中に背負っており、真っ黒な鋼鉄製の電話ボックスを担いでいるようなその姿は非常に特徴的。

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最終更新:2010年02月06日 12:03