リンゴ(林檎、学名:Malus pumila)は、バラ科リンゴ属の落葉高木樹。またはその果実のこと。日本における植物学ではセイヨウリンゴと呼ぶ。
産地はカザフスタン南部、キルギスタン、タジキスタンとされており、ここからヨーロッパやアジアルートで日本にも広まったと考えられている。日本で栽培されているものは、明治時代以降に導入されたものであり、日本において、病害抵抗性、食味、収量などの点から品種改良が加えられた。人口比で比較しても日本の青森における生産量は多く、日本ブランド名で(元々の日本リンゴ農家などから商標に関する係争がり)中国でも多量に生産されている。現在[いつ?]は7500以上の品種が栽培されており、亜寒帯、亜熱帯及び温帯で栽培可能であるが、暑さに弱いため熱帯での栽培は難しい。
リンゴの木は、落葉高木で晩春頃に白い5弁花が開花する。リンゴの果実は直径約3-15 cm、重さ約35-1000 g。色は赤や黄緑または黄色をしている。熟すると蝋状の分泌物に覆われる。
日本の農林水産省に登録されている品種は177種で、うち品種登録が維持されているものは85種。多くの有名品種は誕生年が古く、品種登録されていない。世界中では数千から1万以上の品種が存在するとみられている。
茜(あかね) - 皮は、赤色。大きさは、比較的小振りで酸味が強い。
北上(きたがみ・きたかみ) - 皮は、赤色。大きさは、比較的小振り。命名の由来は、同名の地名より。
金星(きんせい) - 皮は、黄色系クリーム色。大きさは、比較的大振り。命名の由来は、同名の惑星より。
昂林(こうりん) - 皮は、赤色。大きさは、比較的小振り。「ふじ」の自然交配から生まれた品種。
さんさ
スターキング - 皮は、黒味の強い赤色。大きさは、比較的小振りで酸味もあるが甘味が強い。蜜入りのもある。
姫神(ひめかみ)
ハックナイン
北斗(ほくと) - 皮は、斑模様の赤色。大きさは、比較的大振りで甘味と酸味のバランスが良く甘い。
陸奥(むつ) - 皮は、ピンク色系。大きさは、比較的大振り。贈答用の飾りりんごとしても用いられる。命名の由来は、同名の旧地名より。
レッドゴールド
黄王(きおう) - 「王林」と「はつあき」を交配育成した品種。その姿から「黄色い王様」→「黄王」と名付けられる。黄白色の果肉でやや硬め。甘みと酸味に富んだ味わいとサクサクとした歯ごたえ。
表面には薄い皮があり、皮に付着する農薬等の問題や、食べやすさの点から、皮をむいて食べられることが多いが、便秘の改善のため、皮ごと食されることもある。皮むきにはナイフや包丁などが用いられるが、回転式のアップルピーラーが用いられることもある。また、リンゴを放射状に切り分けるアップルカッターが用いられることもある。味は酸味と甘みが強い。日本におけるリンゴの収穫は品種によるが9月中旬から11月中旬である。各品種とも収穫期間は約1ヵ月程度と短いが、リンゴは高湿度低酸素状態で冷蔵保存することにより長期の貯蔵(およそ9ヶ月間)が可能である。このため、リンゴの出荷は9月 - 翌年7月ごろまで約10ヶ月間行われほぼ一年中食べることができる。
リンゴの果実は空気に触れると変色する(褐変)。これはリンゴに含まれるポリフェノールが空気中の酸素と結合するために起こる現象である。これを防ぐために古くから知られているのが塩水に晒す方法である。これは塩素イオンが、ポリフェノールを酸化する際に働く酵素を阻害する作用を持つことを利用したものである。もっとも効果的に変色を防ぐにはレモン汁に晒すとよい。レモン汁に含まれるビタミンCが酸素と結びつき、ポリフェノールと結合した酸素をも奪うため、変色したリンゴも元の状態へと戻すことができる。
生のまま食用にするほか、ジュース(リンゴジュース)やアップルパイ、ジャム、焼きリンゴ、リンゴ酒(シードル、カルヴァドスなど)などにする。リンゴのスライスやプレザーブは製菓・製パン材料ともなる。また、まるごと飴で覆ったリンゴ飴が、縁日の出店などで売られている。ドライフルーツにも加工される。また、サイダー(リンゴ酒、シードル)には、サイダー用の栽培品種があり、サイダーアップル(英: Cider apple)と呼ばれている(例:'Kingston Black', 'Stoke Red', and 'Dymock Red')。このほか、りんごを用いた果実酢としてりんご酢がある。
リンゴの「蜜」は、ソルビトールである。バラ科の植物は、光合成産物のデンプンを篩管を通じて転流するときに、デンプンの加水分解で生じたグルコースをソルビトールに変換する。スターキングデリシャスなど、リンゴの品種の一部では、果実内に転流してきたソルビトールを、グルコースやフルクトースといった糖に変換する代謝系が果実の成熟に伴って停止しても、果実内へのソルビトールの転流は継続する。そのため、果実内の維管束周辺にソルビトールが蓄積していわゆるリンゴの「蜜」と呼ばれる半透明部分を形成し、果実の成熟の指標となる。成熟の過程で蜜が生成されるもので、蜜(=ソルビトール)そのものが特に甘いわけではない。また、蜜が多くても、その実が甘いとは限らない。「ゴールデンデリシャス」「つがる」は蜜ができにくく、「ふじ」「スターキング」は蜜ができやすい。
最終更新:2013年02月21日 13:36