アバンタイトル(2)(伊那)

⬜️暴竜洪水警報 伊那 アバンタイトル(2)


(カルデアのいつものBGMが流れているマイルーム)

マシュ
「よいしょ……よいしょ」

(がんばって重い荷物を運んでいるらしき顔)

マシュ
「よいしょ……っと。よし、これで……」

マシュ
「あ、先輩! おはようございます!」

おはよう
⇒何運んでるの?

マシュ
「はい! これはですね……笹です!」

マシュ
「七月になりましたからね……!」

マシュ
「去年はそれどころではなかったので、できなかったのですが……実は先輩にお話を聞いたときから、機をうかがっていたのです」

マシュ
「今年のカルデアでは――七夕をやろうと!」

(じゃーん! 効果音とともに画面に笹の葉が映し出される)

(すでにいくつか短冊も吊るされているようだ。「締め切り延長」「ローマ」「宝具演出」などの文字がぼんやり見える)

マシュ
「七夕――笹に願い事を書いた短冊を吊るし、星に願うことで願い事を叶える儀式であると」

マシュ
「スタッフさん達や、カルデアに残ってくれているサーヴァントのみなさんにはわたしからそう説明させていただきました」

マシュ
「まだ全員分の短冊は吊るしてもらっていませんが、当日までにはこの笹に、みなさんの願い事が集合するはずです」

マシュ
「先輩も! 短冊をお渡ししますので、ぜひ願い事を書いてつるつると吊るしてください!」

⇒楽しそうだね
平和な願い事は久しぶりだなあ

マシュ
「ええ! ちなみに七夕当日にはカルデア流しそうめん大会、カルデア星見会なども企画されていまして……」 

マシュ
「と、噂をしていれば……!」

清姫
「ま・す・た・ぁ。」

(ずいっ、と清姫が現れる)

きよひーさん……!
⇒二日ぶりだね、清姫

清姫
「ええ、ええ。二日ぶりの清姫です。毎日マスターの元へ通い詰めてセルフログインボーナス幾年幾月、
 必ずマスターの元気を分けていただいていた清姫ですが、
 昨日はマスターの前に姿を現せられないくらいに、こちらをしたためていたもので」

マシュ
「き、清姫さん、まさかその長大かつ重厚な紙は――!?」

清姫
「うふふ。もちろんわたくしの短冊ですとも」

⇒短冊っていうか長冊だ……
加減しろ馬鹿!

清姫
「仕方ないのです。星に願うと決めたときから、マスターへの愛が溢れて溢れて溢れて溢れて書いても書いてもスペースが足りなくなってしまったものですから」

清姫
「いっそ紙の方を大きくしてしまえば良いと気づいたのです……それでも裏面まで埋まってしまいましたが」

清姫
「もはや後悔はありません……! むしろ清々しい気分です。ああ、したいことの多い毎日のなんと素晴らしいことでしょう!」

(楽しそうに頬を染める清姫)

清姫
「さあマシュさん! その笹にわたくしの想いをつるしていただいても!」

困りマシュ
「……。せ、先輩……」

一言でも想いは伝わるよ
⇒願いは一個に絞りましょう

清姫
「えっ……そんな……」

清姫
「……ええ……そうですわね……一つだけ……選ぶとしたらですか……」

清姫
「すみませんマスター……選んで来ますので、しばしお待ちを……恥知らずな清姫を叱ってくださいまし……」

⇒いっぱい願ってくれるのは嬉しかったよ
楽しそうだったので問題なし!

清姫
「……!!」

清姫
「……ますたぁ♪ わたくしは本当に幸せ者です……ふふ。ありがとうございます、では、しばし失礼を……」

(清姫がフェードアウトする)

(すれ違いでキアラさんがフェードインしてくる)

キアラ
「あらあら。あらあらうふふ。略してアラフ」

キアラ
「なにやら、楽しそうな欲がすれ違いましたこと」

マシュ
「せ、殺生院さん!」

よ、妖怪アミアミヘブン!
⇒キアラさん、お疲れさまです

マシュ
「お一人ですか……!? アンデルセンさんと手錠で繋がれているはずでは……?」

キアラ
「作家先生なら、この前来た語り手の方に地を這うまで乞われて語りの種を仕込み中ですわ」

キアラ
「まったく、ベッドの上で二人きりで……わたくし、少し妬いてしまいます。
 あ、ちなみに手錠は壊してはおりませんのでご安心を。ちょっとした変生技術の応用ですので」

(そらぞらしい顔でそんなことを言うキアラさんであった)

キアラ
「それにほら、見張られていないわけではありませんのよ?」

フォウ
「フォウ!」

マシュ
「せ、先輩! キアラさんの肩にフォウさんが!」

出てこないと思ったらそんなところに……
⇒フォウくんが見張ってるなら安心だ

フォウ
「フォウフォウ!」

マシュ
「……正直なことを言いますと、殺生院さんとの関わり方をわたしは未だ測りかねています……」

マシュ
「ですが……その手に持っているものは……まさか……?」

キアラ
「ええ。ご想像の通り、短冊ですわ」

キアラ
「欲を吊るす催しごとと聞いて、この殺生院キアラ。いてもたってもいられなくなりまして」

キアラ
「年甲斐もなく童心に帰ったつもりで筆を執らせていただきました。ふふ、ご覧になりますか?」

⇒子供もいるのでえっちなのはやめてね
モザイクかけたほうがいいですか?

キアラ
「まあ。こちらに来たからには禁欲しますとあれほど言って聞かせましたのに」

キアラ
「ちょっと濡れてしまいます、目元が」

キアラ
「……まあ、そういった反応をされることも込みでプレイさせて頂いているので、よしとしましょう」

フォウ
「フォフォフォウフォウ」

マシュ
「と、若干ぷいとなったキアラさんからそそくさとマシュ・キリエライト、短冊を受け取ります」

マシュ
「…………これは…………」

(と、驚くマシュの表情がさらに驚く。いきなりバタンとマイルームの扉が開く音)

アンデルセン
「おいマスター。地獄からそしらぬ顔で抜け出した性悪女がこちらに来ているな」

(ひたすら不機嫌な顔のアンデルセンが登場する)

キアラ
「あら作家先生。語り手さんとのむつみごとはもう終わり果ててしまったのかしら。顔に似合って早漏ですわねえ」

アンデルセン
「黙れ婆獣(ばけもの)。お前を連れ戻すのも役目だが、俺はマスターに伝言があって来たんだ。全く、無駄な時間を使わせるな」

アンデルセン
「お前たちもくだらん願い事に浮かれるのはまだ早いぞ。『仕事』だマスター」

マシュ
「仕事……?」

マシュ
「先輩に仕事ということは、ま、まさか……」

アンデルセン
「そうだ。」

アンデルセン
「新たな特異点が観測されたそうだ――魔神柱の反応付きでな」

アンデルセン
「しかも本当に度し難いことに……どうやら今回は、そこのクソ尼の力を借りることになりそうだ」

えっ
⇒えええっ!?

マシュ
「え……」

マシュ
「せ、殺生院さん……!?」

キアラ
「まあ。」

キアラ
「うふふ。子供のように星に願ってみるというのも――案外、悪くないのですねぇ。」

キアラ
「『わたくしも一緒に世界を救ってみたい』などと。この身には過ぎた願いかと思っていましたのに」

(場面転換のため、暗転)



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最終更新:2017年07月07日 23:49