国会質疑 > 国際人権条約 > 女子差別撤廃条約01

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参議院・予算委員会(2009/03/09)/鰐淵洋子議員(公明党所属)

鰐淵洋子 - Wikipedia
○鰐淵洋子君 ありがとうございました。
 是非、今後とも青少年の皆様の声を直接また聞いていただきまして、それぞれの悩みだったり不安、また逆に、本当に将来に対する希望を持って頑張っていらっしゃる方もいらっしゃいますし、そういった意味で、一人一人の声をまた聞いていただいた上でそれを反映する対策を是非ともお願いしたいと思います。

女性差別撤廃条約選択議定書批准問題への取組状況

 次に、外務大臣にお伺いをいたします。
 女性差別撤廃条約選択議定書が批准に向けてどのような取組状況なのか、我が国の状況をお伺いしたいと思います。

○副大臣(橋本聖子君) 女子差別撤廃条約選択議定書を始め、人権に関する様々な条約で規定されている個人通報情報制度については、条約の実施の効果的な担保を図るとの趣旨から注目すべき制度だということを考えられております。ですが、一方では個人通報を受理した委員会の見解と、もう一方での我が国の裁判所の確定判決の内容が異なる場合などがありまして、その結果、やはり慎重に検討すべきであるというふうな指摘もあります。司法制度との関連で問題が生じるという、そういった指摘がやはりかなりあるものですから、個人通報制度の受入れの是非について、真剣かつまた慎重に検討をしていきたいというふうに思っております。
 そして、今年は特に女子差別撤廃条約の採択から三十年の年に当たりますし、またこの選択議定書の採択から十年ということで、ちょうど節目の年に当たるということもありまして、我が国としても早急にこの選択議定書を批准すべしというふうな要望が様々な団体ですとか様々な方々から寄せられてきております。このことの要望をしっかりと認識をしながら引き続いて検討を進めていく所存でございますので、先生もよろしくお願いいたします。

○鰐淵洋子君 総理も御存じかと思いますが、OECD加盟諸国の中でこの選択議定書を批准していないのは日本とアメリカだけでございます。アメリカはオバマ大統領がこれを批准するということで既に公言をしておりますので、今後、我が国の動向が更に注目されるかと思っております。
 この女性差別撤廃条約選択議定書の批准は、人権、民主化、平和構築などの分野で今後更に我が国が貢献をしていくための基盤づくりにもつながるかと思っております。そういった意味で、一刻も早く批准すべきと考えております。是非とも前向きな対応をお願いしたいと思います。総理、いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(麻生太郎君) 今この難しさにつきましては橋本副大臣の方から御指摘のあったところなんで、これは裁判所と意見が違ったときにどうするかという話が一番なんで、これは更に検討していかなくちゃならぬところがいっぱいあるんだと、基本的にはそう思っております。
 その中で、いわゆる第二次男女共同参画基本計画か、あれに基づいて計画的に今推進しているんですが、少なくとも各種の国際文書というものがいろいろございますので、そういったものを踏まえて施策というのをやっていかないと、そごができるとかいろんなことになります。
 いずれにしても、今後とも、いわゆる男女の差別というものが、すべての個人の能力とか個性とかいうものが十分に実現できる社会というのが肝心なところだと思っておりますので、こういったものが実際的にできるに当たっての支障になっておるというようなことなんであれば、そこをきちんとやっていくというのが大事なことなんで、ちょっとこの部分だけ取り上げますとなかなか難しいところがあるのかとは思っておりますが、総合的には判断をしなけりゃならぬところだと思っております。

○鰐淵洋子君 繰り返しになりますが、是非とも前向きな対応ということで今後ともよろしくお願いしたいと思います。
 時間になりましたので、以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。

参議院・内閣委員会(2009/03/17)/山本香苗議員(公明党所属)

山本香苗 - Wikipedia
○山本香苗君 この問題につきましては、引き続き我が党の中におきましても、基本計画策定までの間いろいろとまた御提案もしていこうということを今考えておりますので、是非よろしくお願い申し上げたいと思います。
 がらりと話を変えますけれども、女子差別撤廃条約選択議定書への批准についてお伺いをさせていただきたいと思っております。
 まず最初に内閣府にお伺いいたしますけれども、第二次男女共同参画基本計画におきましては、女子差別撤廃条約等の積極的遵守を具体的施策として掲げ、女子差別撤廃条約選択議定書の締結の可能性について、検討を行うということが明記をされておりますけれども、具体的に内閣府はどういった検討を行ってきたのでしょうか。

○政府参考人(板東久美子君) ただいま委員御指摘がございましたように、男女共同参画会議におきまして、まず平成十六年に、この女子差別撤廃条約の選択議定書につきましては、批准の可能性について早期に検討する必要があるということを指摘をされたわけでございます。それを受けた形で平成十七年十二月の男女共同参画基本計画、第二次計画におきましても、締結の可能性について、検討を行うということが盛り込まれたところでございます。
 そして、同じ年の十二月でございますけれども、外務省の主催によりまして、これは個人通報制度、女子差別撤廃条約だけではなく、幅広く人権関係条約における議定書に関する個人通報制度一般の検討を行う関係省庁の研究会というのがスタートいたしました。これに内閣府も参画をいたしまして、個人からの通報に関します委員会や関係国の対応などについての研究をこの研究会によって行われているというところでございます。
 今後とも、関係省庁におきましてその検討が進むように内閣府として努力してまいりたいというふうに思っておりますけれども、特にこれから第二次の基本計画の最終的なフォローアップが行われる、それから、次の基本計画につきましての、男女共同参画推進施策の推進の在り方ということについての検討が始まってくるということになるわけでございますので、そういう過程の中で検討すべき一つの重要な項目であるというふうに考えております。

○山本香苗君 そこで小渕大臣にお伺いしたいわけなんですけれども、今局長からお話がありましたとおり、外務省主催の研究会というのは、女子差別撤廃条約選択議定書に批准しますか、しませんかという話ではなくて、議定書の一つの柱であります個人通報制度についてどうしますかという切り口で勉強会が持たれているわけなんです。それはそれでいいんですけれども、条約それぞれ抱える事情も異なりますし、一緒くたにやっているとなかなか進まないわけなんですよ。
 それで、何が言いたいかというと、この選択議定書の批准するかどうかというのは、まさしくこの第二次男女共同参画基本計画の中で筆頭の内閣府として挙がっているところでありますから、内閣府が関係各省を取りまとめて勉強会なりを設けて批准に向けて引っ張っていくという姿が私は本来あるべき姿なんじゃないだろうかと。外務省がやっています、法務省がこう言っていますというんじゃなくて、この中身自体は男女共同参画なんだから、内閣府の方で本来は勉強会をつくって進めていくのが本来のあるべき姿じゃないのかなと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(小渕優子君) 本年は、女子差別撤廃条約の採択から三十年、また同条約の選択議定書の採択から十年ということで節目の年に当たります。ですので、我が国としても早急にこの議定書を批准すべきという御意見や御要望が各方面から寄せられていることは十分に承知をしております。
 今委員から御指摘がありましたように、外務省が中心となりましてこの研究会が行われていますけれども、平成十七年からもう十回も会合をしていると承知をしています。この前の研究会から数えると、平成十一年からもう五十回会合をやっているということなので、この早期の批准を求める声を十分に認識をして、精力的に検討を進めていかなければならないと思っております。
 内閣府が中心となってやるべきではないかという御意見がありましたけれども、もちろん関係省庁の協力も十分に必要でありますので、十分に検討し、早期批准に向けて積極的にやってまいりたいと考えております。

○山本香苗君 平成十七年から十回もじゃなくて、十回しかだと思うんです。かつ、外務省の勉強会は昨年の十月から開かれていないと伺っています。
 先ほどの節目の年ということでもありますし、また、今年の七月には女子差別撤廃委員会の方が、日本政府の第六次報告に対する審議が行われるわけです。すなわち、日本の取組状況というものが六年ぶりに注目される年になって、ある意味、逆に見れば、いいアピールする場にもなる年であると思うんです。
 現時点で先進国の中で批准していないのはアメリカと日本だけと。ただ、アメリカもオバマ大統領が条約批准を選挙公約として掲げていらっしゃると。今後、日本だけが批准していないという事態に陥ることも懸念されておりまして、このままのらりくらり今のままやっていていいのかということなわけであります。
 是非、今年の七月までに方向性を打ち出して、一日も早く批准にこぎ着けるようにしていただきたいなと思うわけでありまして、重ねてどうでしょうか。

○国務大臣(小渕優子君) 失礼いたしました。十回もと申し上げたのは、十回も検討しているんだから早く答えを出した方がいいという意味でありまして、委員の御指摘、もっともだと思っておりますので、早期批准に向けてしっかり検討していきたいと考えております。

○山本香苗君 済みません、官房長官に一言だけいただきたいと思うんですが、といいますのも、男女共同参画会議の議長は官房長官でいらっしゃるわけでありまして、内閣府は一生懸命頑張って推進しようとしていると。ほかに関連省庁、外務省、法務省とあるわけですが、もう論点はしっかり見えていると。ただ、いきなり政治的な決断で、ばん、やれみたいな話になるとまたいろいろハレーションもありますし、是非、そういう形でもう一回、小渕大臣と共々にです。
 イギリスも二〇〇四年にここから、ほかの個人通報制度がある条約いろいろありますけれども、女子差別撤廃条約から入っていったわけでありまして、どれから行くという話の中で、どれも入らないという話が、今そういう状況になっているわけでございまして、是非、その点御認識いただきましてお取り組みいただきたいと思いますが、済みません、通告しておりませんが、一言いただけますでしょうか。

○国務大臣(河村建夫君) ただいまの御指摘も踏まえながら、もう結論を出さなきゃいかぬと。大臣の御意向もございます、踏まえてきちっとした対応をしたいと思います。

○山本香苗君 ありがとうございました。



衆議院・内閣委員会(2009/03/18)/高木美智代議員(公明党所属)


選択議定書の批准について

○高木(美)委員 続きまして、女性差別撤廃条約の選択議定書の批准につきまして、官房長官に、そしてまた、御退席の後は小渕大臣に御質問をさせていただきたいと思います。
 女性差別撤廃条約につきましては、二〇〇九年、国連総会で採択されまして三十周年、また、個人通報制度などを定めました選択議定書の採択からことしは十周年に当たります。現在、この条約の締結国は百八十五カ国、また、その条約を実効あらしめるための選択議定書につきましては、個人通報制度と調査制度が内容となっておりますが、その締約国は九十六カ国に上ります。
 日本は、条約につきましては一九八五年に批准、また、一九八七年から現在まで、女性差別撤廃委員会に途切れることなく専門家委員を送り出しておりますが、選択議定書につきましては、いまだに署名も批准も行われていないという状況が続いております。
 既に締結しました九十六カ国には、欧州諸国はもちろん韓国やフィリピンも含まれておりますし、アメリカは、まだ条約の批准すらしていないということで国際社会の非難を浴びておりましたが、オバマ新大統領はそれの批准を公約として掲げておりまして、恐らく加速することが期待されております。
 日本は、何といいましても、国連人権理事会の理事国でありますし、安保理の非常任理事国でもあります。今後の取り組みを国際社会が注目していると言っても過言ではないと思います。
 ことしの七月には、女性差別撤廃委員会におきまして、政府が提出した第六次報告書の審査が行われます。六年前、前回のレポートに対する審査にもNGOから五十七人の方が駆けつけられまして、聞いた、そのときの委員会の最終コメントは、選択議定書の批准を日本政府が引き続き検討することを要請する、委員会は、選択議定書によって提供される制度は、司法の独立性を強化し、女性に対する差別への理解を進める上において司法を補助するものであると強く確信している、これが最後のコメントだったわけです。
 六年たちまして、同じコメントがことしの七月、寄せられることのないように、政府といたしましても、取りまとめに向けて動きを加速し、推進していただきたいと強く要請をするものでございます。
 この選択議定書の批准に向けての政府の取り組みと御見解を官房長官にお伺いいたします。

○河村国務大臣 女性の人権の保護を一層強化するという観点から、女子差別撤廃条約の選択議定書を早期に締結すべきである、この御意見、さまざまな方からちょうだいいたしました。
 本件の選択議定書で規定をされております個人通報制度については、条約の実施の効果的な担保を図るという趣旨から注目すべき制度であるというふうに考えられます。一方では、個人情報を受理した委員会の見解と我が国の裁判所の確定判決の内容が異なる場合など、我が国の司法制度との関連で問題が生ずるおそれもある、慎重に検討すべきであるという指摘もあります。
 そういう状況も踏まえながら、政府といたしましては、個人通報制度の受け入れの是非についてさらに検討を進めていく必要がある、このように考えておるところでございます。

○高木(美)委員 大変前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。
 九十六カ国という、この持つ重みは大変大きいと言わざるを得ないと思っております。
 御承知のとおり、我が国のジェンダー・エンパワーメント指数も、二〇〇七年が五十四位、二〇〇八年はさらに下がって五十八位という大変憂慮すべき結果となっております。ことしは、我が国におきましても、男女共同参画社会基本法が制定されまして十周年になります。女性の人権後進国となりませんように、政府内を取りまとめていただきまして、一日も早い批准を切望するものでございます。
 この後の質問につきましては小渕大臣にお願いをしたいと思います。
 まず、外務省にお伺いをいたします。
 選択議定書批准に向けまして、外務省の取り組みと見解を伺います。また、今検討会を行っていらっしゃると聞いておりますが、その状況と課題につきましても説明を求めます。

○別所政府参考人 女子差別撤廃条約選択議定書の批准の関係でございますけれども、既に官房長官から政府としての統一的な見解を述べていただいたところでございまして、そのとおりでございますが、若干補足しながら申し上げさせていただきたいと思います。
 官房長官御自身がおっしゃいましたとおり、この選択議定書の焦点でございます個人通報制度、これにつきましては、条約の実施の効果的な担保を図るという趣旨から注目すべき制度であるというふうに考えております。
 一方で、これも官房長官がおっしゃいましたとおりに、個人通報を受理した委員会の見解と我が国の裁判所の確定判決の内容が異なる場合など、我が国の司法制度との関係で問題が生じるおそれもある、慎重に検討すべきであるというところもございます。
 外務省といたしましては、個人通報制度の受け入れの是非につきまして、関係省庁とともに、真剣かつ慎重に検討を進めているところでございます。
 それから、具体的に先ほど先生から御指摘のございました検討会、研究会でございますけれども、何をやっているかということにつきましては、自由権規約委員会に対する個人の通報事例というのがあるわけでございまして、こういったものを可能な限り収集いたしまして、委員会や関係国の対応、実際、現実がどういうものであるかということを研究するということでございまして、個人通報制度関係省庁研究会ということで立ち上げているわけでございます。関係省庁に広く参加を呼びかけて検討を行ってきているというところでございます。
 委員御指摘のとおり、女子差別撤廃条約の採択から三十年でございますし、また、女子差別撤廃条約選択議定書の採択からも十年に当たっておりますので、我が国として早急にこの選択議定書を締結すべしという御要望がさまざまな方々から寄せられております。外務省としては、このような要望のことも踏まえつつ、引き続き検討を進めてまいりたいと思っております。

○高木(美)委員 それでは、議定書批准に向けまして、法務省の取り組みと見解を伺います。

○稲田政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほどからお話の出ております個人通報制度は、女子差別撤廃条約を含めまして各人権条約に選択的に設けられているところでございますが、これら各人権条約の実施の効果的な担保を図るという趣旨から注目すべき制度であるというふうに考えております。
 ただ、他方で、個人通報制度におけます見解等は、利用し得るすべての国内救済措置を尽くしたものについて出されるものであると承知しているところ、国内的な救済措置でありますところの我が国の裁判所による確定した判決と異なる内容の見解などを委員会がお出しになることも予想されます。
 このような見解等が出された場合に、確定した我が国の判決との関係をどのように整理し、どのように見解等の内容を実現すべきなのかなどの問題が生じるのではないかというふうに考えております。
 また、国内的な救済措置を尽くしたときということの判断いかんによりましては、まだ現在我が国の裁判所に係属している最中の事件につきましても見解等が出され得るものとも承知しているところでございまして、そのような場合には、その係属中の裁判との関係におきまして、この見解等をどのように取り扱うべきかという問題も生じると考えられます。
 このように、我が国の司法制度との関係で問題が生じるおそれがございますので、その場合の具体的な対応のあり方についても検討していく必要があると考えているところでございます。
 さらに、これまでの委員会のお出しになられた具体的な見解等によりますと、締約国に対しまして、通報者に対する損害賠償でありますとか補償を要請し、あるいは法律改正を必要とするという判断を示された事例があるとも承知しておりまして、このような、国費の支出でありますとか法律の改正を求める見解等が出された場合の具体的な対応のあり方についても検討していく必要があるのではないかと思います。
 しかしながら、先ほどからるるお話がございましたように、多方面からさまざまな御意見があることは法務省としてもよく承知しているところでございます。現在、先ほどからもお話がございました、外務省主催によります個人通報制度関係省庁研究会が継続的に開催されておりますところ、引き続き、法務省といたしましてもこれに参加して、外務省やその他省庁とも連携協力しながら、この制度の導入の可否につきまして真剣かつ慎重に検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。

○高木(美)委員 ありがとうございます。
 それでは、小渕大臣に伺わせていただきます。
 男女共同参画を推進されるお立場から、この女性差別撤廃条約の果たしてきた役割と重要性につきましてどのようにお考えなのか。
 また、選択議定書の批准につきましては、何としても私は前に進めるべきと思っております。批准する意義につきましてどのように認識しておられるのか、お伺いをいたします。

○小渕国務大臣 お答えいたします。
 我が国は、この女子差別撤廃条約、一九八五年に批准をいたしましたが、批准するに当たりまして、男女雇用機会均等法を制定するなど、必要な法整備などが急速に進むなどの効果がありました。その後も、意思決定過程への女性の参画、女性に対する暴力の根絶に向けた取り組みなど、さまざまな面におきまして我が国の男女共同参画を後押しする役割を果たしてきたと認識しております。
 あわせまして、選択議定書を批准する意義についてという御質問でありました。
 先ほど委員からも御紹介がありましたけれども、既に九十六カ国が選択議定書を批准しており、先進国で批准していないのは日本と米国のみという状況になっています。このような状況のもと、本年はいろいろな節目の年でありますし、また、夏には、我が国の条約実施状況報告の審査も行われるということでありますので、選択議定書の批准に向けた姿勢を明確に示していくということは、我が国の男女共同参画への取り組み姿勢を世界に向けて発信していくという意義があるものと認識をしております。

○高木(美)委員 大変に前向きな御発言をいただきまして、感謝いたします。
 そこで、もう一度外務省にお伺いをさせていただきます。
 この個人通報制度、先ほど官房長官からは、最高裁と異なる判決が出た場合に国内においてどのようにするかとした点が指摘をされました。また、先ほど法務省からも同様な指摘をいただきました。
 こうしたことを踏まえまして、当然、この個人通報制度、委員会が通報を受け付けるための条件として、利用し得るすべての国内救済手段が尽くされたことが確認されること、こうした五項目を付しているわけでございます。それに合致して通報が受理されたものについては、条約違反かどうか審査され、見解、勧告という形で当事者に通知をされる、それに対して締約国は六カ月以内に回答書を委員会に提出する、このようなスキームと聞いております。
 その件数ですけれども、この十年間で通報が実際に行われたのは約十九件と承知しておりまして、その中でも条約違反と認められたのは四件、しかも、まだこうした手続が終わっていないということで不受理が六件、こうしたことも聞いております。
 そこで、外務省は、この見解、勧告に対する位置づけをどのように考えていらっしゃるのか、またどのように考えていけばいいのか、その考え方につきまして外務省の答弁を求めます。

○別所政府参考人 今御質問の勧告でございますが、女子差別撤廃委員会が選択議定書の締約国に対して行うということでございまして、既に委員御指摘のとおり、六カ月以内に、委員会に対して、委員会の見解及び勧告に照らしてとった措置に関する情報を含む書面の回答を送付するというふうに第七条の四項に書いてあるわけでございます。これにつきましては法的拘束力を有するものではないということでございます。

○高木(美)委員 ありがとうございます。
 ただいまの法的拘束力がないということが私は大変重要な点であると思っております。あくまでも国の主体性に任されているということでございます。
 日本は大変手がたい、堅実な国でございますので、また優秀な皆様でございますので、あらゆる場面を想定して検討をしていらっしゃるわけですけれども、はっきり申し上げて、やはりここの先はどのようにしていくかは、恐らく政治判断というところも大変大きなものがあるのではないかと思います。
 私は、個人といたしましては、例えば最高裁とそれから委員会の勧告が異なったという場合につきましては、最高裁でも対応できないというようなものは、それはしっかりと国として受けとめて、国民の皆様がどのようにお考えになるのか、むしろ議論をしていくいい機会というふうにとらえていきたいと思っております。その上で、もちろん、行政とそれから立法府である議院と、ここが協力をしまして議員立法なり法改正なり進めていく、こういうことが必要なのではないかと思います。
 いずれにしても、日本も人権国家としてこうした九十六カ国と同じ舞台に立つということが必要と思っておりまして、それがあってこそ初めて国際社会に対しても、人権の次元でも、またさまざまな、財政の面から含めまして、あらゆる次元からさらなる貢献を行うことができるのではないかと思っております。
 先ほど大臣が、こうした批准に向けて姿勢をはっきりと示すということは日本にとっても大変有用であるというお話をしていらっしゃいましたけれども、私も、今回各省庁の担当者の方からもさまざまなお話を伺いました。B規約と一くくりの審議になりますと、それはまたややこしい話が出てくると思いますが、そこのくくりを外して、その上で女性の人権をどのように考えていくのか、また、そうした人権国家として日本がどのような位置を今後占めていくのか、こういう点から考えていきますと、ほとんどの課題はクリアできるのではないかと思っております。
 研究会も進めてくださっているようですけれども、私は、むしろここは、研究会も随分長い間やっていらっしゃるという話もございまして、いつまで研究をするのだという話も届いているかと思います。そういう意味では、ぜひとも小渕大臣のもとで内閣府が調整役を果たしていただきまして、取りまとめに向けて、ここは大きく推進役を担っていただきたいと思っております。
 もしこの個人通報制度が実現したときには、選択議定書が批准された場合には受け皿をどこが担うのかとか、そういうことも当然課題と思いますけれども、いずれにしても、内閣府が男女共同参画のかなめであられるわけですし、国内法の整備がもしその先必要な場合は、やはり内閣府が中心になられて、そのセンター機能を担って進めていただくということがふさわしいのではないかと私は個人的に考えております。
 いずれにしても、今、この議定書の批准に向けまして、政府間の連携を図って一枚岩になっていただきまして、その上で、調整できるところはここまで、この先は、あとは政治判断だというところも明確に示していただいた上で、その先は、これは女性差別撤廃条約ですけれども、これは女性の問題ではなく、女性を支える、またそれぞれの個性を発揮する男性の議員の皆様のお力もしっかりといただかせていただきながら、国としてこの女性の差別をどのように考えていくかという大きな課題でございますので、これは立法府としても後押しをさせていただくということが当然であると私は思っております。また、大臣には、そうした意味で、政府の中だけではなく、自民党内の取りまとめもぜひお願いをさせていただきたいと思っております。
 以上の点につきまして大臣の御所感を伺わせていただきたいと思います。

○小渕国務大臣 私どものところにも、早期にこの選択議定書を批准すべきという御意見、御要望が各方面から寄せられているところであります。やはりこうした声を重く受けとめていかなくてはならないと思っておりますし、男女共同参画の総合調整を担う内閣府といたしましても、批准に向けて各省庁としっかり調整を進めていきたいと思っております。引き続き、委員の御協力をよろしくお願いいたします。

○高木(美)委員 全力で応援させていただきますので、どうぞ大臣中心のお取り組みを、また、外務省も法務省も一丸となっていただきまして、さらなる推進を心よりお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

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最終更新:2009年04月26日 12:13
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