「道重さんにお聞きしたいことがあるんですけど。
吉澤さんと道重さんって、先輩と後輩の間柄だそうですが、
いったいどういうきっかけで知り合われたんですか?」
「なに、さゆみの昔話を聞きたいの?
しょうがないなぁ、まあはるなんになら特別に教えてあげてもいいかな」
「本当ですか? ありがとうございます!」
「はるか昔の話だけどね。吉澤さんは知る人ぞ知る有名な悪魔だったんだ」
「はいっ?」
「さゆみは見習い悪魔でね。吉澤さんの元で色々悪事のお手伝いをしていたの。
人の心を操ったり、いっぱい悪戯しまくったり、天使だった石川さんと対立したり……。
まさか天使と悪魔だった2人がこんな風になるだなんて、あの頃は思ってもいなかったけどね。
そんなはるなんだって昔は小悪魔してたんでしょ?」
「小悪魔ですって? いいえ、大悪魔よっ!
ってやらせないでください。でも、私の他に悪まーちゃんもいるし、
実は道重さんのお宅って悪魔の巣窟だったんですね」
「あははは、言われてみればそうかもね」
「ところでそのお話って……どこまでが本当なんですか?」
「あれっ? さゆみがこれまで嘘の話をしたことなんてあったっけ?」
「……そうですね」
(おしまい)