アットウィキロゴ

新しい青春の舞台

車窓から流れる景色がどんどん過ぎ去っていく。 

この街が新しい私の青春の舞台…。 

もともとこの街の存在すらしらなかった私。ただ現実は思いもよらず選択を迫るもので、 
私の場合は父の転勤。今いる街から電車で7時間だとか。 
うーん…。悩みましたよ、私。お母さんも無理はしなくてもいいって言ってくれたんだけど 
結局は申し訳なさそうにしているお父さんの顔を見てついていくことを決めたんですけど。 

それでも、自分が暮らす街がどんなのか知りたくなった私。 
で、夏休みを使って新しい学校へとあいさつがてら“M13地区”に行こうと決めたのでした。 


(えーーっと……。ここはどこですかね。) 
きれいな街だったので、見学がてら街を見てみよう。 
時間にも余裕はあるわけだし。 
と、あの時そんなことさえ思わなければ…。 
ええ、迷子です、知らない土地で迷子…。 

季節は当然夏だからお日様もぎらぎら働いている。 
(毎日働かなくてもいいのにね。おーーい少しは休んでくれよー。 
あっちょっと太陽隠れたかな笑) 

少し歩きすぎた気もしたので、目の前に見えてきた神社で一休み。 
不思議なオーラをまとった神社でなんだか心が落ち着く。ふと周りを見回して私の心は打ち抜かれる。 
な、なんと、そこには一匹の黒ネコを中心にして動物たちが会議を開いているのではないか。 
(か、かわいい) 

思わずニヤニヤしてしまった。

 

じっと見ていた私の視線に気づいたか、ふと顔をあげた黒ネコと目が合う。 
(大きな瞳…。あっ、て言うか猫なら学校の場所とかわかるのかな。 
この子が道案内してくれればなぁ) 

すると猫がおもむろに立ち上がる。そしてひと声『ニャー』となくと 
まるでついて来いと言わんばかりにしっぽをぴんと立てて歩き始めた。 


なんだろう、この奇跡みたいなこと。私はこのかわいい案内ネコさんのおかげで 
無事学校へとたどりつくのことができた。 
校門で背を向けて去っていく黒ネコに対し、 
「ありがと、また会おうね」と声をかけた。 


学校での案内・あいさつは無事に済んで、さて帰ろうかなと思っていると先生が困った顔をしている。 

「あのー、どうしたんですか?」 
「あのですね、あなたが帰る時に載る電車なのですが… 
今運転見合わせていまして…。復旧が夜近くなっちゃうらしいんですよ。」 

まじかぁぁぁぁx…。 
どうしよう、お母さんにも電話してみたが遠方のため難しいとのこと。 
私は一人商店街の喫茶店で頭を抱える。 
(この街に来てからいいことないなぁ。。。) 

でもうじうじしてても仕方ない、だって待っても悩んでても電車が動くわけはないのだから。 
で、私はせっかくならばこの街をとことん知ってやろうと思って。 
一人決心して喫茶店からでたのであった。

 

携帯電話の画面を確認しながら、私はカラオケで時間をつぶす。 
うーん。再開はまだの様です。 
それにしてもほんとになんてタイミングなんだろう。 
まさか巻き込まれるとはね… 


この街を知ろう!!なんて意気込んで飛び出したものの 
暑かった。もしかしたら温暖化は予想以上に深刻なのかも…。 
とか思いながら、目の前に見えたカラオケボックスに滑り込む。 

ふと、外を見るとにぎやかな商店街を女の人と女の子たちのグループが楽しそうに通って行く。 
私は1人をこよなく愛す。…というよりも本当に信のおける友人がほしい。 

そんな事を思いながらそのグループを見ていると、何か感じたのだろうか。振り向いた女性と眼が会ってしまった。 

(やばっ!) 

でも、白いストールをふんわりとまとった女性はやさしく微笑むとまた視線を戻したのであった。 

(わ、笑われたぁぁ) 

で、その素敵な笑顔にほんわりとした気分になった私はふと海へと行きたくなった。 
カラオケボックスを出て少し夕焼けを帯びてきた空を見上げながら私は海のほうへと足を向ける。 

「こっちか?それともこっちか?ええい、こっちだ!!」


海辺には人が集まっている。 
何かあるのだろうか。 

私はそう思いながら海辺で1人たたずんでいる。 

その時、空に一輪の花が咲いた。 
その花は私が今まで見てきた芸術作品のどれよりも心を揺さぶる。 

「わぁ、きれい…」 

思わず声を出してしまう。 
空に上がる一つ一つの『作品』は不思議な響きで海辺にいる人の心を癒して 
居るようだった。 

うん、この街はなんだか不思議。最初に足を踏み入れたときから感じていた。 
その答えはまだ見つかっていないけれど、この街で過ごすようになったらおのずと見えてくるだろう。 

私は最後の花火が上がるのを見届けると、海辺を後にし駅へと向かうのであった。


その日の夜 

「はるなん、今日はお疲れ様なの」 

「いえいえ、それよりも今日は不思議な女の子に会いまして…」 


「ふふふっ、それは楽しみなの」 


…fin.

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2014年07月13日 21:42