花の名前 セイヨウタンポポ

セイヨウタンポポ(西洋蒲公英、学名 Taraxacum officinale)は、キク科タンポポ属の多年草である。ヨーロッパが原産の帰化植物で、日本の在来種とは外側の総房の反る点が異なる。生育型は、ロゼット型である。葉は網状脈で、根は主根と側根である

外見は日本の在来種とさほどの差はない。ただし、あまり季節を問わず、長く花を咲かせる。萼のように見える部分(総苞片)が開花時に反り返ることで、花に沿って固く閉じる在来種とは区別できる。ただし、在来種も花の盛りを過ぎると総苞が反り返るので注意を要する。また、茎を切ると白いゴム質の乳液が出てくる。

セイヨウタンポポは3倍体で、単為生殖で種子をつける。つまり、花粉に関係なく、種子が単独で熟してしまう。そのため繁殖力が強く、都市部を中心として日本各地に広まり、特に近年の攪乱が多い地域を中心に分布を広げた。現在ではほぼ日本全国に広がっているが、古くからの田園風景の残る地域では在来種のタンポポが勢力を持っている。そのため、都市化の指標生物になると考えられ、タンポポの分布地図作りは各地で盛んに行われる。ただし都市化が一定以上進むと、茎を大きく伸ばす外見から雑草として伐採されてしまったり、建造物の影響で寒暖の差が激しくなったりといったセイヨウタンポポに不利な条件が出現し、逆転を起す場合もある。

最近になって、在来種とセイヨウタンポポの雑種が発見され、新たな問題として注目されている。セイヨウタンポポは単為発生であり、不完全な花粉しか作らないので雑種の形成はあり得ないと考えられていたのだが、セイヨウタンポポの作る花粉の中に、nや2nの染色体数のものができると、在来種のタンポポがそれと受粉して雑種ができる可能性があり、現にそれがあちこちに生育していることが確認されたのである。このような雑種では、総苞は中途半端に反り返るともいわれ、その区別は簡単ではない。したがって、タンポポの問題は外来種による植物相のかく乱という問題から、遺伝子汚染という新たな問題へと発展してしまったと言える。




最終更新:2011年04月12日 14:32
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