ソメイヨシノ(染井吉野、学名:Prunus × yedoensis)とはエドヒガン系の桜とオオシマザクラの交配で生まれたサクラの園芸品種である[1]。現代の観賞用サクラの代表種であり、「吉野桜」と表記する場合もある。またエドヒガンとオオシマザクラを交配したものすべてを「ソメイヨシノ」ということもあり、狭義のソメイヨシノを二名法の「ソメイヨシノ ’ソメイヨシノ’」と書く場合もある。この項では狭義のソメイヨシノについて述べる。
江戸末期から明治初期に、江戸の染井村(現在の東京都豊島区駒込) に集落を作っていた造園師や植木職人達によって育成され「吉野桜(ヤマザクラの意)」として売り出していた。藤野寄命の調査によってヤマザクラとは異なる種の桜であることが分かり1900年、「日本園芸雑誌」において「染井吉野」と命名された[2]。名称は初めサクラの名所として古来名高く西行法師の和歌にもたびたび詠まれた大和の吉野山(奈良県山岳部)にちなんで「吉野」とされたが「吉野(桜)」の名称では吉野山に多いヤマザクラと混同される恐れがあるため、上野公園のサクラを調査した藤野寄命博士が「日本園芸雑誌」において「染井吉野」と命名したという。
ソメイヨシノ(Prunus × yedoensis)はエドヒガン(P. pendula Maxim.f. ascendens Ohwi)とオオシマザクラ(P. lannesiana var. speciosa)の雑種が起源である可能性が高い。なお学名の×は自然種間交雑種の表記であり、人工交配種の場合この表記は用いられないという。ソメイヨシノが自然交雑種なのか、人工交配種なのかは不明だとしてこの学名の妥当性に疑問を呈する声もある。エドヒガンではなく、コマツオトメの交配だという研究結果もある。ただしコマツオトメも種としてはエドヒガンの園芸品種で、その中の1クローンではある。
最終更新:2011年04月14日 14:50