ソメイヨシノは種子では増えない。各地にある樹はすべて人の手で接木(つぎき)などで増やしたものである。
一代雑種のため自家交配の結実率が極めて低い、不稔性が高いとする説もある。しかし、むしろ交雑または交配の結果、自家不和合性が強く出た品種の可能性が強い。実際、枝の条件によりかなりの結実を観察することができる場合もある。もっとも、その場合でも同一個体内で受粉し結実した種が発芽に至ることはなく、ソメイヨシノ同士では結実しない。このためソメイヨシノの純粋な子孫はありえない[1]。
ソメイヨシノ以外の桜との間で交配することは可能であり、実をつけその種が発芽することもある。しかしながら、この場合、ソメイヨシノの遺伝子特性を強く継いだとしても遺伝子的特性が変化してしまい、ソメイヨシノとは別種になる。このため、ソメイヨシノの種から成長した桜はソメイヨシノということができない。ソメイヨシノから取れる種はあれど「ソメイヨシノが生える種」なるものは存在していないのである[3]。
なお、ソメイヨシノとその他の品種の桜の実生子孫としては、ミズタマザクラやウスゲオオシマ、ショウワザクラ、ソメイニオイ、ソトオリヒメなど100種近くの亜種が確認されている。また、「アメリカ」というサクラの品種がある。この品種は、日米友好のためアメリカに送られ、アメリカにてソメイヨシノの実生から作られたとされている。ソメイヨシノの実生種からソメイヨシノに似て、より病害などに抵抗の強い品種を作ろうという試みも存在する。
オオシマザクラとエドヒガンの自生地においては交配雑種としてのソメイヨシノが自生する可能性があるが、一般には自ら増えることのないソメイヨシノは接ぎ木など人間の手によって広まったものである。ソメイヨシノは、一般的に、他の台木に接木をしたものや、挿し木、植え替えによって増える。このため、人間と切っても切れない関係にある。
すべてのソメイヨシノは元をたどればかなり限られた数の原木につながり、すべてのソメイヨシノがそれらのソメイヨシノのクローンともいえる。これはすべてのソメイヨシノが一斉に咲き一斉に花を散らす理由になっているが、特定の病気に掛かりやすく環境変化に弱い理由ともなっている。
最終更新:2011年04月15日 14:39