ソメイヨシノにも他のサクラ全般と同様の特徴が見られる。桜に存在する生物学的弱点はソメイヨシノにも同様である。また、並木などに人為的に集中的に植樹されていることが病害を広げる原因になる場合もある。全個体がクローンであるため、新しい耐性を手に入れる能力も低い。
他のサクラよりてんぐ巣病(てんぐすびょう)に弱い。サクラてんぐ巣病はTaphrina wiesneriという酵母菌状の子嚢菌の感染により起こる病気で、その上部では小枝が密生していわゆる「天狗の巣」を作る。さらに、開花時には小さい葉が開くので目障りとなったり、罹病部位は数年で枯死したりといった被害を与える。罹病した病枝は専門家に切り取ってもらうなどの措置を取る。
また、コフキサルノコシカケなどの白色腐朽菌類が繁殖し、罹病した病木を切り取らなければならないケースが急増しており、特に、公園や街路樹として植えられている木が深刻な状況に陥っている。こうした症状は外からではわからないため、特別な機械を使わないと診断できない。京都府立植物園では2006年ごろより衰弱するソメイヨシノが増え、調査のため、京都府立大学の共同研究員らと弱った木を掘り起こし調査したところ、「ナラタケモドキ」の白い菌糸が根を覆っていた。専門家は対策や観察の強化を呼びかけている
アメリカシロヒトリによる葉の食害により、高齢木を中心に樹勢が減退することがある。アメリカシロヒトリは葉の裏につくる巣網の中で3齢虫まで集団で成長することから、成虫になる前に枝・葉を落とす直接除去もしくはスミチオンやオルトラン乳剤などの殺虫剤を適宜散布することにより駆虫する。
排ガスなどの大気汚染ももちろん、近年の地球温暖化やヒートアイランド現象でソメイヨシノが急激な環境の変化についていけていないことが病気の遠因になっている説がある。根の近くが舗装されることも樹勢を削ぐ。また、花見に一番使われる木であることも病気の遠因といえる。根に近い土壌を過剰に踏みしめられることは木によいとはいえない
ソメイヨシノには大きな欠点がある。数百年の古木になることもあるヤマザクラやエドヒガンに比べて高齢の木が少ないことである。「60年寿命説」なる俗説があるほどである。ただし正確な寿命に関しては統計数値がないため不明であり、また、大径になる木は理論上は寿命がないと考えられている。
老木の少なさの原因ははっきりしていないが、「ソメイヨシノは成長が早いので、その分老化も早い」という説があるほか、街路のように排気ガスなどで傷むこと、公園といった荒らされやすい場所に植樹されているということも寿命を縮める原因となっているのではないかとの指摘もある。ソメイヨシノは接ぎ木によって増やされるため、接ぎ木の台木とされたヤマザクラが腐って心材腐朽を起こし、寿命を縮めているという説もある[29] 。また、すべてのソメイヨシノが同一の特性を持つために、すべてのソメイヨシノが病気や環境の変化に弱く、それらに負け一斉に枯れるという点もある[3]。
しかし、こうしたイメージの一方、ソメイヨシノの老木も存在している。例えば東京都内の砧公園のソメイヨシノは1935年に植えられすでに70年以上が経過しているし、神奈川県秦野市の小学校には1892年に植樹された樹齢110年を超える2本の老木が存在する。また、青森県弘前市ではリンゴの剪定技術をソメイヨシノの剪定管理に応用するなどして樹勢回復に取り組んだ結果、多くのソメイヨシノの樹勢を回復することに成功している。ただし、紅葉・落葉直後にすぐ剪定することでC/N比(炭素/窒素比)を変えたり根回しや土壌交換による細根の発生をもたらすなど、管理に留意を要する。弘前城跡公園には樹齢120年を超えるソメイヨシノがあり、これは本種の現存する最も古い株であろうといわれている
最終更新:2011年04月18日 14:56