ネギ(葱、学名 Allium fistulosum'は、原産地を中国西部・中央アジアとする植物で日本では食用などに栽培される。クロンキスト体系ではユリ科、APG植物分類体系ではネギ科ネギ属に分類される。
古名は「き」という。別名の「ひともじぐさ」は「き」の一文字で表されるからとも、枝分れした形が「人」の字に似ているからとも言う。ネギの花は坊主頭や擬宝珠を連想させるため「葱坊主」(ねぎぼうず)や「擬宝珠」(ぎぼし)と呼ばれる。「擬宝珠」は別科別属の植物「ギボウシ(ギボシ)」も表す。萌葱色は葱の若芽のような黄色を帯びた緑色のことである。
日本では古くから味噌汁、冷奴、蕎麦、うどんなどの薬味として用いられる他、鍋料理に欠かせない食材のひとつ。硫化アリルを成分とする特有の辛味と匂いを持つ。料理の脇役として扱われる事が一般的だが、青ネギはねぎ焼きなど、白ネギはスープなどで主食材としても扱われる。ネギの茎は下にある根から上1cmまでで、そこから上全部は葉になる。よって食材に用いられる白い部分も青い部分も全て葉の部分である。
西日本では陽に当てて作った若く細い青ネギ(葉葱)が好まれ、東日本では成長とともに土を盛上げ陽に当てないようにして作った、風味が強く太い白ネギ(長葱・根深葱)が好まれる。このため、単に「ネギ」と言う場合、西日本では青ネギを指し、白ネギは「白ネギ」「ネブカ」などと呼んで区別される。同様に東日本では「ネギ」=「白ネギ」であるため、青ネギについては「ワケギ」「アサツキ」「万能ネギ」「九条ネギ」などの固有名で呼ばれることが多いが、売り手も買い手も品種間の区別がほとんどついておらず、特に「ワケギ」「アサツキ」に関しては、その大半が誤用である。
東北地方では「曲がりねぎ」という栽培法もあり、関東と同様に土を盛上げながらある程度育てたら、一度抜いて横向きに植え直し、植物の光に向かって伸びる性質を利用して曲げる。これは、地下水位が高い土地で効率よく白葱をつくる方法だと言われる。ただし、栽培に手間がかかるため、作付面積は減少している。
なお、ネギは細菌の増殖しやすい食品であり消費者が購入する時点で平均して1gあたり10の6乗~7乗の細菌があると言われている。そのほとんど全ては人間に害のない細菌だが食中毒菌が入った場合はその菌についても増殖しやすい食品であると言えるので本来は加熱調理して食べた方が良く、薬味として生で食べる場合は流水にさらし雑菌を少しでも洗い流すなどの処理をしてから食べる事が好ましい。
古くから薬効成分が含まれている植物と知られていた。痰や鼻水を押さえる作用があるようで、風邪をひいた時に、ネギをくるんだ手拭やガーゼなどを首に巻くというものは有名な民間療法である。自然療法の手当てでは、乳児が鼻づまりで乳が飲めないとき、長ネギの白根をはいで、鼻の根に貼る。
人類に最も近いチンパンジーの日本の動物園での飼育の際に上記の薬効から、風邪予防の為に長ネギをそのまま与える施設もある。ただし、動物によってはネギを食べさせてはいけない場合もあり、特にネコ科の動物には、ネギ類を食べさせてはならない。赤血球が壊れ、生命の危険があるからである。ペットなどに与えてもいいかどうかは注意が必要である。
最終更新:2011年05月23日 14:37