829 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの[sage] 投稿日:2010/06/27(日) 19:07:09 ID:???
1レスだけ、お邪魔します。
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土砂降りの雨の中、アスカが帰宅。
「あーもう、ずぶ濡れよ。ただい……ま!?」
何故か、シンジが全裸で寝ている。絨毯の上にうつぶせで。
アスカは思わず凍り付く――いや、呆けている場合ではない。これは事故かもしれないのだ。
「ねえ、シンジ? ……シンジ!?」
「すやすやすや」
本当に寝ているだけである。アスカは、思わずほっと息をつく。
そして状況も理解し始める。自分と同じように、シンジもずぶ濡れで帰ってきたのだ。
シャワーを浴びて、一人きりの開放感を味わいながら全裸でリビングをうろうろ。
疲れ切った全裸の体を絨毯の上に横たえてみると、これまた肌触りが心地よい。そして――。
それはともかくこの状況、ほうって置くわけにも行かない。まあ、いつものように蹴り飛ばせばいいのだが、
まじめにシンジを心配してしまったお陰で、ツッコミを入れるタイミングを完全に失ってしまったのだ。
「もう、世話の焼ける……」
仕方なく、アスカはシンジの部屋着や下着を取り出して、かいがいしく着せ始める。
もう無かったことにしてしまいたいのだ。これ以上、シンジなんぞのために、煩わしい思いはしたくない。
「今、目ぇ覚ましたら承知しないわよ? まったく――あ、あれ?」
おかしい。何故、この状況が理解できたのだろう。そういえば以前に、自分もずぶ濡れで帰ってきて、
シャワーを浴びて、裸でうろうろしたことがある。そして、気がつくと――。
「ふあああ……あ、あれ? アスカ、帰ってたの」
「……うん」
思えば自分の時、後で気付かれないように、よくもまあ上手く片付けてくれたものだ。
自分が目を覚ましたその時、シンジもまた、真横で何事もなく暖かいコーヒーを注いでくれていた。
その何事もなかったかのような素振りにも、まったくもって隙はなかった。
仕方ない、許してやろう――あんなことや、こんなことも。
ここで怒って、このコーヒーの味を損なうのは、もったいないにも程がある。
こうして、いずれは肌も許してしまうのかと、浮かべた苦笑いにも似たコーヒーの味を。(完
831 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの[sage] 投稿日:2010/06/28(月) 19:56:17 ID:???
>>830 ありがとです。しかし、うーむ……シンジ版、まったく心づもりがなかったんだけど。
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シンジ、大雨の中をやっとの思いで帰宅。
「うひゃあ、ずぶ濡れになっちゃった。ただい……ま゛!?」
アスカが、全裸で寝ている。しかも、丸出しのあお向け大の字という、男前な寝姿で。
「ぶ、ぶふっ」
シンジは弾丸のような鼻血を吹き出し、立ちくらんで卒倒する……いや、なんとか持ちこたえた。
そして、シンジは改めてパニック状態に陥り始める。
「どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうし……」
いやいや、素直にじっくり鑑賞した上で、その肌触りと感触でも楽しめばよろしいだ。男らしく。
しかし、どうにもシンジは生真面目である。このまま放置してはいけないと思ったらしい。
「あ、アスカの服は……えーっと……」
実に無謀である。寝ている間に服を着せてしまおうというらしい。
もし目を覚ましてしまえばタダでは済まないというのに、シンジは夢中でアスカの部屋に潜入する。
「えーと、下着は――あ、あった……ぐはぁ!」
手にしたブラジャーのあまりの可愛らしさに、シンジはまたしても失神寸前。
いや、ブラジャーは止めておこう。装着は困難を極めるし、室内ならノーブラでも問題はない。
しかし、下半身はそう言うわけにはいかない。そして、シンジは新たな下着を手に、再び悶絶。
「ぱ、ぱんてぃー……う、うう……」
落ち着け、シンジ。鼻血だけで出血多量で倒れてしまうぞ。なにより、大事な着替えを汚しちゃ大変。
しかも、これから手を取り足を取り、着付けをしなくてはならないのだ。出来るのか、シンジ?
「くっ……もうダメだ! 我慢できない!」
「あれ、シンジ。帰ってたの?」
「うん、コーヒー飲む?」
「ありがと。ふわああああ」
男は瞬時に賢者となれる魔法を持っている。いったいそれはそれが何なのか、知らない人は知る必要は無い。
何もかもスッキリしたようなシンジの腑抜けた顔つき、それこそが、アスカの見慣れたシンジなのである(完
最終更新:2011年01月26日 19:54