145 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの 投稿日:2008/01/17(木) 22:54:42 ???
全てが終焉を迎えようとしたその日、僕は願った。
──もう一度みんなに会いたい──
しかし世界はそれを拒絶した。
赤い海の波打ち際に打ち寄せられるように横たわっていたのは二人。
僕と一緒に戦ってきたその少女も、僕を拒絶して母なる海へと還っていった…
世界は滅びた──ただ一人僕という存在を遺して…
姉のように慕った女性も、一緒に暮らした少女も、何度となく僕を守ってくれた少女も、
学校で初めてできた友人たちも、…解り合いたかった父も存在しない世界。
何もやる気がしない。僕は全てに絶望して永い永い眠りについた。
どれくらいの長い時間が過ぎたのだろう…
僕は人工的なカプセルの中で目を醒ました。
生命の源となった原初の海からは再び生命が生まれ、幾十億という年月を経て進化を重ね、
ヒトが現れ、また新しい歴史が生まれた。
僕を呼び覚ました新人類は僕の進むべき道を示してくれた。
再び他人に出会えた喜びに酔いしれる僕は、彼らの思惑に乗ることにした。
そして僕は、ある都市に向かい湖畔で鼻歌を歌いながら、ここに来るはずであろう『彼』を待った。
僕にはここに居れば『彼』に出合えるという確信があった。
不意に背後に人の気配を感じ、僕は話しかけた。
「歌はいいねぇ…。そうは思わないかい?碇シンジ君?」
fin...
最終更新:2008年01月18日 10:01