253 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの 投稿日:2008/01/20(日) 20:53:44 ???
「ねぇ、シンジ。キスしようか」
紅い海。立ち尽くす二人。触れ合わない手。
沈黙。
音楽は流れていない。
「え?」
シンジがアスカを一瞥した。
海が盛り上がり、波頭が形成され、砂浜に打ちつけられた。緩やかに。
世界には二人しかいない。
「……なんでもないわ」
二人の視線は海の向こうにある。
「ねぇ、シンジ」
「なに?」
「アンタは、なんでココにいるの?」
「なんでって……。アスカは?」
「……わかんない。ただ、死にたくないって、思った。アタシがいなくなるのはイヤだって思った」
「……そうなんだ」
「アンタは?」
「わからない……。ただ、もう一度みんなに会いたいと思ったんだ」
「ふーん……そう」
「ねぇ、アスカ」
沈黙。
「僕たちは、こんなセカイでも生きていけるのかな」
茫漠とした不安と、途方もない寂しさが心を埋めていく。そうして二人は、このセカイが現実の続きだと知る。
触れ合う手。
どちらからともなく、そっと、二人の手が重なった。
言葉はない。
アスカが求めるように手を握ると、それに呼応するようにシンジも手を握った。強く。強く。
されど、心のスキマは終に埋まらない。
アスカが言う。
「アタシが知るわけないでしょ」
最終更新:2008年01月21日 17:49