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300 名前: ◆JSzrtK3oCk 本日のレス 投稿日:2008/01/21(月) 11:53:24 ???


「赤木リツコ、私は君を……」
あなたが言葉を続ける五秒前。

大学時代。
あの時は人生の中で一番楽しかった。
親友と呼べるミサトがいて、仲のいい加持君もいて。
ただ、私は加持君に、親友の恋人以上の感情を僅かながらに持っていた。
人を惹きつける笑い顔が、私には新鮮だったからかもしれない。
「よう、赤木」
初対面の私にも、彼はやさしくしてくれた。
世間では馴れ馴れしい、というのかもしれないけど、それでも私は満足だった。
愛に飢えていた私には、誰でもいいからやさしくしてくれる人が必要だったから。
だから、私はあの人にだって身体を許した。
今だからこそ、飢えた獣みたいでいやらしいと思えるけど、あの頃の私は寂しかったんだ。


「赤木リツコ、私は君を、愛していた」
「……嘘つき」
自嘲的に言った言葉はそう、あなたに向けてじゃなくてあの頃の私へ。



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最終更新:2008年01月21日 17:57