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67 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの 投稿日:2008/01/06(日) 20:44:00 ???


「あら、珍しいですね。」
そう、マヤが声をかけたのはスーパーコンピューターMAGIの端末を軽やかに操作している一人の男、冬月副司令であった。
「何をなさってるんです?副司令。」
「いや、簡単なシミュレーションだよ。これだけの規模のコンピューターだと使いでがあるね。
 成る程、カスパーは好戦的、バルタザールはその逆か。さて、メルキオールの判定は……」
そんなふうに端末を夢中で見つめる冬月の背中を尊敬の眼差しでマヤは見つめる。
「副司令って意外に多才な方なんですね。医者もなさっておられたとか。」
「あれはモグリで真似事をしていただけだよ。碇には経済学に転向しろとも言われたな。懐かしい。」
そう言いながら冬月は苦笑いでマヤに振り返った。
「今では軍事というわけか。さて、最後には何をやってるんだろうな私は。」
「政治家ですか?」
クスクスと笑いながら切り返すマヤに冬月もまた快活に笑う。

が、その笑顔とは裏腹に冬月は全く別のことが念頭にあった。
碇ゲンドウにNERVへと誘われたあの日のことを。
(人類補完計画……神に至る道、か。)
しかし、そんな考えを抱く自分自身に冬月は失笑する。
馬鹿馬鹿しい、とでもいうように。
「ところで何をなさってたんです?」
と、マヤは冬月の背中越しに端末を覗き込み、そして驚愕する。

「ぐ、軍人将棋……」
「見たまえ。カスパーは既に地雷の位置が判っているようだな。
この自信たっぷりの工兵の動きが……」



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最終更新:2008年01月17日 23:01