174 名前:さくりゃ 投稿日:2008/01/08(火) 00:00:35 3Rux5t9s
身も心もぼろぼろだった。
いつものアスカは耳が痛くなるくらいうるさかったけど、
それでも嫌じゃなかった。
いつしか僕はアスカに惹かれていたのに、あっという間に夢は醒めて。
いつものレイは静かすぎて耳が痛くなるほどだったけど、
それでもやっぱり嫌じゃなかった。
いつの間にか、綾波じゃなくてレイと呼ぶようになった。
やっぱり僕はレイにも惹かれていたのに、ぱちんと弾けるようにまた消えた。
僕は死神なのだろうか。
好きになった人がみんなみんないなくなったりこわれてしまう。
カヲル君だってそうだ。
同性だからだめだと何度言い聞かせても、
あの時の僕は寂しくて死にそうだったから。
それでもやっぱり消えてしまう。
加持さんも、初めてできた“お兄さん”という存在だったのに。
もっと話したかった、もっと励ましてもらいたかった。
それでもその時はやって来て。
トウジやケンスケ、委員長にクラスのみんなだって。
もしかしたらこの先、
ミサトさんだってリツコさんだって冬月先生だって父さんだって
みんなみんな僕の前から消えてしまうかもしれない。
それなら、僕の方から消えよう。
すこしは寂しさだって苦しさだって哀しみだって減るかもしれない。
「みんなを待ってるからね」
そう呟いてミサトさんのバックからくすねたピストルをこめかみに当てる。
ひんやりとした感触が柔らかい髪ごしに伝わった。
誰もいないなら、無の世界なら僕も死のう。
そっと目を瞑ると、頬を涙が伝った。
暗闇の、無の世界の中で銃の引き金をひく音と乾いた音が響いて、消えた。
また、零に戻った。
最終更新:2008年01月17日 23:29