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215 名前:さくりゃ ◆JSzrtK3oCk 投稿日:2008/01/08(火) 15:34:27 OdR6evec


「ねえファースト、恋してる?」

それは蝉が鳴く暑い日の午後だった。
「……恋?」
「そうよ、恋」
「わからないわ」
「……あ、そう」
エヴァパイロット全員で、ミサトさんに海へ連れて行ってもらった日。
波打ち際で、足先だけ水に浸かりながらふたりの少女は話をしていた。
「あーあ、ミサトやヒカリたちはいいわよねーっ」
「何が?」
「なーんにも考えないで、好きと思ったら一直線に突っ走れるじゃないの」
「……そう」
よくわからない、と心の中で呟いてレイはごろんと砂浜に寝そべった。
背中にまだ冷めてない砂の温度が伝わる。
「私だって加持さんがいるけどー……ミサトに加持さん、靡いちゃったし」
ぶつぶつ呟くアスカの言葉を聞き流しながら、レイは考えていた。
私の好きな人は誰だろう、と。
碇くん?
わからない。自分の気持ちが。
「でも私、シンジもこの際いいかなー、って思ってさ」
アスカが半ばふざけて言ったその言葉。
ちくりと心がえぐられた感じがした。

「あれ、ファースト何で泣いてるのよ」
「……わからない」
「何よ、それ」



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最終更新:2008年01月17日 23:37