325 名前:さくりゃ ◆JSzrtK3oCk 投稿日:2008/01/11(金) 00:45:44 KnsQzmrE
あの頃はよかった。
バカみたいな話して、バカみたいに笑って、バカみたいにセックスしてバカみたいに眠った。
もう何年も前の学生時代を思い出すだなんて、俺も意外と年をとったんだなあ、とぼんやり考える。
「愛してるよ」
リビングに無造作に広げた布団にふたりで絡まりながら、うわごとのように呟く。
ぴくん、とちいさく君の身体が揺れた。
「……今日は、講義とかないの?」
否、今日も、か。
「ん……あるかもしれないわ」
「いいの? 行かなくてさ」
「いいのよ……どーせ分かり切った事を小難しく話してるだけなんだし」
だからもう一度、と君が上気した頬で囁く。
若いってこういう事か、と考え自嘲的な笑みを浮かべながらもう一戦。
「……っく……」
「無理に声、我慢しないで」
「やっ……」
「聴きたいんだ、聴かせてよ。君の喘ぎ声」
我ながらよく言うよ、と心の中で呟きながら愛撫する手は止めない。
「……何で、こうなっちゃったんだろうなあ」
手を額に当てながら、やっぱりうわごとの様に呟く。
息をするたび狭窄音が聴こえる。肺をやられたんだろうか。
くるしいのに、あの日を思い出す意識ははっきりしている。
バカ高く作られた軍用ビル特有のバカでかい換気扇の音が耳に心地よい。
いつもなら疎ましがって嫌がるのに、こんな時ばかり世界がクリアに見える。
いっその事頭でもぶち抜いてくれりゃあよかったのにな。
そうすれば君との思い出も心の底にしまえたままだったのに。
「そうだろ……なあ?」
「……何の事かしら、加持くん」
最終更新:2008年01月18日 00:02