351 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの 投稿日:2008/01/11(金) 16:36:20 ???
弐号機は動いてくれた。
ママが見ていてくれた。幾度と無く乗っていたのに何故今まで気付かなかったのだろう。
『エヴァシリーズを必ず殲滅』ミサトは最後まで無茶な指示をしてくれた。
作戦部長の名が泣くわ。
無謀だということは、理解していた。だけどママがついてる。アタシはまだ、生きている。
弐号機の無駄の無い動きが次々と量産機を葬る。
完璧だったはずだった。だけど。最後にミスを犯した。
ロンギヌスの槍がA.T.フィールドを貫く。
勝利への確信・・・いや、生への執着。皮肉にもアタシを立ち上がらせたそれが判断を遅らせた。
流石に無敵のシンジ様でも、9匹相手じゃ分が悪い。1匹でもこの世から完全に葬ってやるべきだった。
激しい痛みと肉体が裂けていく感覚が襲う。最早自分の声も聞こえない。
ぼやけ始めた視界の隅に、1つのスイッチが映る。
ファーストが零号機の中で押し、第3新東京を道連れに使徒を殲滅したスイッチ。
万一の事態に備えて出しておいたものの、押せなかった。
…さっさと押しとくべきだったのかしら。こんな奴等にやられるよりは…。
天にかざした憎悪に槍が雨のように降り注ぎ、貫く。
…人形みたいで嫌いだったけど、あれを押した度胸は認めてあげるわ。
青く、眩しかった空が陰り始めた。
…なんで助けに来ないのよ、バカ。大嫌い。最期に花火でも見せてやろうと思ったのに。
色を失った少女の肌を一筋の雫が伝った。
…バカ…。
終
最終更新:2008年01月18日 00:12