567 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの 投稿日:2008/01/13(日) 03:43:09 ???
テレビのお笑い番組が僕にとって唯一の頼み綱だった。その番組では海パンをはいた半裸の芸人がテンション高くなんだかわからないネタを披露している
プリントの内容は全く頭に入ってこず、勉強する振りをするのはすでに無理だった。
自分は観客のどっという笑いにあわせて無理にあははと笑ったけど語尾がうわずってしゃっくりを上げたようになってしまった。そんな僕をアスカはペンを止めて鬱陶しそうに見てくる。
「どこが面白いの?」
ちっとも面白くない。だからどう面白いのかと聞かれて答えられるわけがないのである。
「タイミングとか」
自分でも要領の得ないおかしな返事をかえすと、アスカはふーんと言って難しそうにその芸人を見つめた。
まだ21時。居間にちゃぶ台をひいて二人でペンを持ちはじめてから、30分と経っていない。アスカのホットパンツの隙間から下着がちらりと見えたが今の自分にはどうでもよかった。
すでに空気は凝り固まっており、自分は身動き一つできないほど息詰まっていたのである。だけど相手はまったく気にすることもない様子だった。
自分の性質を呪った。相手は自然体なのにこちらだけカチカチに気を張っているのは馬鹿げたことだとわかっていたが、どうにもならないのだ。
自分がブラウン管の向こうに吸いやすい空気があるんじゃないかと、必死にもがき始めてしばらくたった後、アスカが、ねえと聞いてきた。
「ヒカリがさ、鈴原のこと好きなんだってさ」
もちろん知っていた。イインチョときたら弁当を毎日彼に持ってくるのだ、気づかない方がおかしい。だけど自分は、へぇそうなんだ意外だなぁみたいなことを答えた。
アスカは案の定、ほんと鈍感ねと笑い、自分はそうかなと笑った。
笑いは偉大だ。どんなときも笑っていれば何とかなる。
自分の道化が成功したことで、気が和らいだのかそれからの時間は幾分早かったような気がする。23時を過ぎるとやることもあらかた終わり、もう十分だと思ったので、そろそろ寝ようと提案した。
けどその声はやっとゆっくりとできることを期待してたせいかいやに明るいものになってしまい、アスカがにやにやしながら、イヤらしいわよとからかってきた。
疲れきっていた自分はヤケになって寝よう寝ようと連呼し、やっと床につくことができた。深々と布団を被り明日の朝までにはミサトさんが帰っていることを願って眠りについた。
最終更新:2008年01月18日 09:04