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572 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの 投稿日:2008/01/13(日) 04:14:55 ???


あの後、彼女は自分自身の行動を思い出し戸惑っていた
彼女自身自分の中にそんな激しい感情があることに気付いていなかったから

彼女は自分の心に空洞があることを感じ怯えていた
そして自分を必要としてくれるあの人を信頼することが唯一の心の拠り所となっていた

だから彼女は許せなかった
あの人を侮辱する言葉を
たとえそれがあの人の息子であろうとも

なぜ実の息子なのに己の父親を信じられないのだろうかと

だが、彼との触れ合いのうちに人の暖かさというものを彼女は知った
道具としてではなくひとりの人間として自分を見てくれる
必要だからというのではなく仲間として、友達として

無に還る時が来る、その時までの偽りの存在だと思っていた彼女自身
だが寂しさと暖かさを知った彼女はその時が来ることを怖いと感じるようになった

そして彼女は涙を知った、彼とひとつになりたいと願う自分の心も
これまでの過ごした時間を持つ自分の代わりなんかほんとはいないということも
自分のまま在り続けたいと思ってることも

たとえ自分は道具かも知れないけれど
あの人の自分に向けられた微笑みは真実のものだったと

彼を守るために彼女は決断した、そして



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最終更新:2008年01月18日 09:06