我々が零性の声域を全て聴こうとすると、どんな人間よりも広く聴こえる。
向こうが無理やり我々の声に耳を傾けたのなら、片性であることが声でバレる。
それでいて、零性における一人一人の声域には明確な個人差がある。
譜廊のある零性世界では声域という概念が面倒なことになっている。
何故なら片性世界の周波数は「実数」、零性世界の周波数は「複素数」で記述されるためだ。
複素周波数
譜廊周りの世界観における音の伝播は、魔法的な性格が強く絡む成分と
そうではない成分との重ね合わせによって表現される
後者の成分のみでできているのが、所謂3次元や2次元の片性世界である
零性世界においては前述の解釈を適用することにより、周波数空間を複数軸で表現できる
減衰の解析などに使われる複素数理論とは独立し、かつ共存できる概念なので注意されたい
声域と複素周波数空間
複素数の実軸と虚軸に当てはめるなら、片性世界における声域は
実軸上を切り取った短い線分として表せる
一方で、譜廊周りの世界観における標準的なキャラクターは、
実軸上に留まらない長い直線状や弱く湾曲した帯状の声域を持つとされている
これが片性世界の人間にとっては、その領域の全てが実軸上へと近似されて聞こえることで
異常なまでに広い声域を持つように知覚されるのである
零性同士での声質差
零性世界内での人間同士の比較では、その帯の現れる領域にかなりの個人差が出る
この差異が、片性世界における声域の違いに対応する概念である
これらの概念に、倍音の周波数成分などの片性世界でも有名な要素を加えることで、
零性世界における声質差は片性世界のそれに匹敵するレベルとなるであろう
そのため各キャラクター間の声質の違いを、物の色彩を用いた例えなどによって相対的に述べることで、
片性世界に暮らす我々にも伝わる解釈とする翻訳手段が取られているのである
初めて聞いた一人称を区別できる理由
零性は会話中に一人称を使われた時、それが聞き覚えのない物であったとしても誰の事か認識できる
これは零性が無意識に、帯状の広い声域範囲の一部にイメージの片鱗を添付することに起因する
その影響を受けてか、零性の人間や類する各個体には特有の1人称が用いられるように見える
しかし実際は、イメージ添付に対応する概念が片性世界に無かった為の翻訳上の都合によるもの
零性世界で文字に残される一人称そのものは、こちらの世界とほぼ変わらない
最終更新:2017年10月16日 09:23