盗まれた独立宣言
題名:盗まれた独立宣言(上・下)
原題:Honoure Amond Thieves (1993)
作者:ジェフリー・アーチャー Jeffrey Archer
訳者:永井淳
発行:新潮文庫 1993.9.25 初版
価格:各\480(本体各\466)
実は、ぼくはこのベストセラー作家を読むのは初めてなのだけど、驚きました。これまで今年の海外ミステリーの不出来に悩まされていたのだけど、こういう快作が出版されると途端に楽になっちゃう。アーチャーのサスペンスものって、どれもこんなに面白いの?
とにかくはまった。なにせこの本の出版は今年の 7 月 4 日だったんだそうだ。独立記念日に出版されて、今はもう日本語で読めるのだから、ベストセラー作家というのは本当にお得なのである。だから、今でも米ソ冷戦の落としまえ小説が多いのだけど、この本はそんな時代を感じさせない。まさに今を描こうとしている。もちろんクリントン政権下のアメリカが舞台だし、後半の佳境はイラクに移る。
凄いなあと思うのは、なにしろ一人一人の登場人物が実にいきいきと描けていて、例えほんのチョイ役と言えども、おろそかにしていない。どれも一癖もふた癖もある過去を背負った大人の登場人物なのだ。だから彼らの生にも死にもとっても、のめりこめる。イラク・クルディスタン国境のシーンは、思わず瞼が熱くなる名シーンであった。
そしてなおかつサッカー観戦をしている時のような、攻め入っては後退するこのドラマティックなコンゲーム・シナリオ! 文句なしに面白くて短時間に読めてしまった。こういうのって『
真夜中のデッド・リミット』以来だなあ。イギリス人が書いた、実にアメリカ的な展開の小説である。
今までアーチャーを読まないでいたんだけど、確実に人生で損していたのだなあ(;_;)
(1993.10.21)
最終更新:2013年05月02日 21:59