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リッチ・ブラッド




題名:リッチ・ブラッド
原題:Rich Blood (2022)
作者:ロバート・ベイリー Robert Bailey
訳者:吉野弘人
発行:小学館文庫 2025.1.12 初版
価格:¥1,200


 今を時めく人気作家ロバート・ベイリーは、胸アツでスポコンでリーガル・スリラーの名手として印象的なヒーローによる巧い法廷ミステリーという強烈パンチを次々と繰り出してきている作家である。

 ところが本書を読むと驚いたことに、これまでのコワモテなヒーロー像から一転して、あちこちに自分の写真を乗せた看板を立てるなど宣伝に余念のない民事弁護士を主人公として据えたのだ。さらにはアルコール依存症であり、問題を起こし、結果法曹協会の命により三か月間のリハビリ施設での入所と資格停止を終えたところだという。

 自分の身内から出た事件の弁護を引き受けることにより、初めて刑事裁判の弁護を引き受けるケイゾン・リッチの新シリーズ開幕といったところである。これまでのタフな弁護士たちと違って、看板で民事事件の宣伝をして食ってきたというヒーローとしては心配になるようなキャラであり、どうも情けなく経験も弱い感じがする上にアル中闘病中という、スポ根リーガルの名手ロバート・ベイリーという作家から生み出されたとは到底思えないこのジェイソン・リッチという新型ヒーローにびっくり!

 しかも本書を通して、アル中から立ち直り、初の刑事裁判を闘うというハラハラ、ヒヤヒヤ度も本書の特徴であり、この後にシリーズ化されるということで、そこまでを睨んだ個性的キャラクターの配置なのかなと思いつつよんでゆくと、驚くべき結末に迎えられて予想を覆される終章。

 このシリーズが翻訳としては開幕したばかりでありながら、この先どのように続けられてゆくのか、これまでのどっしり重厚型主人公たちに比べ、立ち位置のはっきりしていないアル中弁護士の自他・内外との闘いにわくわく感を残して終わってゆく、まずは予想外の物語を楽しんで頂きたい。

#ロバートベイリー #リッチブラッド #リーガルサスペンス #ジェイソンリッチ
(2026.3.1)
最終更新:2026年03月01日 11:02