ウィンブルドン
題名:ウィンブルドン
原題:Later Gator (2016)
著者:ラッセル・ブラッドン Russell Braddon
訳者:池央耿
発行:新潮文庫 1982.5.25 初版
価格:¥400
これは何年前に買った未読本なんだろう? 古本屋で\200で仕入れている。定価は\400。アマゾンで検索すると単行本価格¥11,664(ヒエーツ!)。
実はパソコン通信時代の冒険小説フォーラム主催者としては、本書は結構高評価されて話題にもなった作品。なので手元にあるのだが、当時手にして(¥200で、古書店で💦)、何となく読まずに50年近くを経過させてしまった作品。20代で入手した本を70歳になってやっと読んだよ。
英国作品なのだが、作者はオーストラリア人で英国に移住し(オーストラリアはイギリス人が移住して開拓した国なのだけどね)、小説とノンフィクションを50%書いていた人であるらしい。なるほど、本書を読み始め、前半が余計なことばかり書いていて面白くないなあと、感じたのは、その辺の関係なのであったか。
タイトル「ウィンブルドン」、そのままに本書はテニス小説なのだが、むしろ冒険小説として高評価されていたこともあって、前半50%はミステリーとも冒険小説とも異なるテニスをテーマにしたスポーツ小説かと退屈に感じたし、無用でバッサリ切ってもっと後半部分を楽しみたかったような気はする。
後半はやっと犯罪組織らしき人たちも現れてくれて、二人の若きテニス・プレイヤーの対決(前半部はこのためのなれそめだけで終始する)に関わり始めてくれるのでぐっと面白くなる。
タイトル通りテニスの王座を競うウィンブルドンを舞台に据えた二人のテニスプレイヤーの物語である。前半は彼らの成長譚。後半はウィンブルドンでのゲーム中に、犯罪者たちのテロや恐喝が加わるというもの。前半後半では、まるでカラーの異なる読み物となるのが本書の特徴である。
前半はほぼテニスという競技のスポーツ小説に終始するのに、後半にウィンブルドンでの試合を迎え、一気にクライム・サスペンスに変化するのが本書の特徴と言っていいだろう。
当時、それなりに評価の高い作品であったが、今読んでみると名の知れた題材や舞台を用意しているのでスポーツ・ミステリーとしてはなるほどと思われるが、小説としては構成や叙述
その他に粗削りなところが多々見られるかなとの印象。
ただ二人の若きテニス・プレイヤー(オーストラリア20代とロシア10代)やウィンブルドンのライブ感覚などの描写力は評価できるかなと思えた。半世紀近い前の本を読むとそれなりの違和感を禁じ得ないのは致し方ないことにせよ、当時けっこう評価されていた作品としてはエンタメ小説では少し寸足らずのイメージが残る。ほとんどこの手の小説を他に書いていない作家らしいので、多くは望むべきではないにせよ。
(2026.8.20)
最終更新:2026年08月20日 21:04