アラスカの女性探偵ケイト・シュガックのシリーズ第二弾。アンカレッジ周辺だが「アラスカの奥地」と説明される北辺の町を舞台としたシリーズ第二作で、町の人々は春を迎えるが、衝撃の無差別連続射殺事件から幕を開ける。
前作でも思ったのだが、こんな田舎町で探偵業を営んで食べて行けるのか? また小説の題材になるような事件が起こるのだろうか? などと要らぬ親心?を抱いたりした。この小説が書かれた1990年代のアラスカ地方は、本当にそういう状況なのかもしれないし、そうではないのかもしれない。
いずれにせよこのシリーズが何作も続いているところを見ると、その程度の殺人は起こって、本書のケイトのような私立探偵も彼女の関わる捜査官たちも年中無休という状態ではないのかもしれない。
さて本書は前述の通り無差別銃撃でスタート。無差別殺人の犯人はすぐに逮捕されるのだが、どういうわけか死者のうちの一人だけが、殺人鬼とは異なる銃弾で撃たれていたことがわかる。しかもその被害者は、ケイトの幼ななじみリザ・ゲティだった。
春を迎えたばかりのアラスカを舞台に、我らがヒロイン探偵ケイト・シュガックが再び活躍を見せる本作。二作目ともなると、ケイトの周辺の馴染みのあるレギュラー・スタッフたちへの親和感もできあがっていてストーリーに溶け込みやすい。もちろんケイトに影のように付き添う愛犬マットの存在も頼もしい。
ケイトがマットと共に山に登るシーンは個人的には印象が強い。春まだ浅い山の尾根を辿すシーンはケイトの強さと野性味と生命力のイメージを強めてくれるし、日頃の男たちを前にしても何ら動ずることのない彼女の立ち位置を改めて示してくれるシーンでもあった。
真犯人を暴き出したのもケイト。ここで書いてしまうわけにはゆかない経緯なので、興味を覚えた方は、ミステリーとしても出色と言えるこの作品を手に取って是非読んで頂きたい。
30年前の作品なので、スマホもコンピューターも何ら活躍しない。今でこそ懐かしい捜査スタイル、即ち関係者との対話や情報収集、そして何よりも足で歩き回ることで探り出す事件の裏の真実、といった懐かしい時代のミステリでありハードボイルド小説である本書を、懐かしむように読んで頂きたく思う。
(2026.9.10)
最終更新:2026年09月10日 09:59