1 童話 アニキのフルイニング

むかしむかし、はんしん村という村にひとりのわか者がやってきました。
そのわか者は、めんどうみがよかったので、みんなから「あにきかねもと」とよばれるようになりました。

あにきかねもとが、今日もげん気にとりたににサブミッションをかけていたら、

「つらい…つらいです」

おや、おかしなこえがきこえてきました。

そんなあるひ、となり村にあにきかねもとをしたう人がはんしん村にやってきました。
「つらいです!」
かれはそういって、へいさつだをりょうさんしました。

あにきかねもとは、たばこを吸うのにいそがしかったし、
とりたにのくるしむかおにたいへんまん足していたのでほうっておくことにしました。

しかし、つぎの日もまたつぎの日も、なぞのうめき声はとだえませんでした。
はんしん村のみんなもしめっぽくなってしまいます。

どんぶらこどんぶらこ、川をなにかがながれてきます。
ちかづいてみてみるとメンチくんだったのであにきかねもとはほうっておきました。

こまった村人は、あにきかねもとになんとかするようおねがいしました。
あにきかねもとも、しぶしぶたのみをうけ、声のもとをさがしました。

「つらい…つらいです…罠なんてなければよかったのに…」

あにきかねもとはたしかにその声がしたしげみを、おそるおそるフルスイングでとりはらいました。

するとそこには、だれがしかけたのか、きっこうしばりにされているぜんらのおとこがいたのです。
あにきかねもとはぞっとしました。
目の下には「mizuno」となぞのきごうとマークがかかれており、口にはじぶんのしゃしんがくわえられていたのです。

とりあえずあにきかねもとは村にもってかえることにしました。
といっても自分でもってかえるのはきもちわるいので、しゃていのあかほしにもちかえらせました。

ある日あにきかねもとはしゅびでばたばたしていると、とり谷にらりあっとをくらいました。
それもしゃあないと、あにきかねもとはこころく受けいれました。さすがうつわがでかいあにき

村にかえると、しもさんが「(全部任せてしまって)すまんな。」とでむかえてくれました。
しもさんというのは、いつもどこからかあらわれ、夕方になるとふらっとどこかにきえてしまうふしぎなふろうしゃのことです。

あにきかねもとは「つらいさん」(あまりにつらいつらいとうるさいので)をまゆみ村長のもとにとどけました。
きほんてきにまゆみ村長はやくたたずだったし、
あにきかねもとのほうがけん力をもっていたのですが、かたちだけはスジをとおしたのです。

まゆみ村長はつらいさんをつかいましたが、まさかじぶんの村にひがいがくるとはおもってませんでした。

はんしん村のみんなは、つらいさんにはなしを聞いてみることにしました。
しかし、つらいさんはところどころ「つらいです…つらいです…」とぼやくし、声が小さくぼそぼそとしゃべるので、
しびれをきらしたあかほしが「(マイクが)はいってねぇんだよこのやろう」とどうかつしました。

がまんできずにどうかつしたあかほしに、あにきかねもとはぶちぎれました。
あにきかねもとは、あかほしが大声をだしたことにしんそこおどろき、タバコをじめんにおとして、だいなしにしてしまったのです。

のうみくんががんばってひろしま村とたたかっているとき、
よこを見たらつらいさんがでんぐり返しをしていました。
しかしあにきかねもとは笑ってゆるしました。さすがうつわがでかいあにき

あにきかねもとが、せんいちおじさんひでんのてっけんせいさいをあかほしにくわえているあいだに、
とりたにがつらいさんからはなしをききました。
とりたには村いちばんのしっかりものなのです。

ちなみに、みんながまゆみ村長のいえにあつまっているあいだに、
しもさんはとりたにのいえからたべものをもってかえっていました。
しもさんは村いちばんのちゃっかりふろうしゃなのです。

つらいさんの話では、つらいさんはおとなりのひろしま村のしゅっしんだったのです。
だけど、あにきかねもとからもくもくとけむりがわきでているところを見たつらいさんは、あにきかねもとにひとめぼれ。
ゴネにゴネて、ひろしま村をにげだしたのです。

こまったまゆみ村長は、あにきかねもとにいけんをもとめましたが、あにきかねもとはあかほしにむちゅうでした。
あかほしは、あといっぽで車いすせいかつをよぎなくされるところでしたが、はんしん村のかげのさんぼうやのに助けられました。

とりあえずつらいさんをはんしん村ではたらかせてみたらどうか、ととりたにが言うと、
まゆみ村長はきほんてきにやくたたずなので「そうしましょう」とふたつへんじできめました。
つらいさんのはんしん村でのせいかつがはじまりました。

つらいさんは、はんしん村にきてから、それはそれはねっしんにはたらきました。
はんしん村のきちょうなしゅうにゅうげんの「さんばんばったー」という役がふそくしていたこともあって
つらいさんはもりもりかつやくしました。

ところが、わすれたころにわざわいはやってくるのです。
せんいちがひさびさにはんしん村におとずれ、「せんそうをするからつらいさんをつれていきたい」ともうしでたのです。

このころかんぜんにちょうしこいてたつらいさんはほいほいせんいちについていったのです…

あにきかねもとは、だれもふれないあんもくのりょうかいでせんそうにはかり出されませんでしたが、
つらいさんはよろこびいさんでせんそうにたび立ちました。

ひとつきご、つらいさんはぶじにかえってきました。
だれもがぶしにかえってきたとおもっていました。
しかし、つらいさんをがいけんではとらえられないなにかがむしばんでいたのです…。

それからしばらくして、つらいさんのはんしん村でのせいかつはさいかいしました。

とりたにやあかほし、あにきかねもともなんだかんだいってつらいさんをたよりにしていたので、村はかっきづきました。

ある日とつぜんのことでした。
つらいさんが、あかほしやせきもとやあごがいっしょうけんめいそだてたいねをひとつのこらずもやしはじめたのです!

うつわのでかいあにきかねもともさすがにぶちぎれました。
あにきかねもとがぶちぎれるのはとてもめずらしいことなのでみんなおびえました。
あかほしは「くびだけは!くびだけはやめて下さい!」とさけんだり、ひとりとくにおびえました。

「どうしてもやしたんだ!!」

あにきかねもとがフルスイングしながらつらいさんにそうたずねました。

すると、つらいさんは「よろこんでやったわけじゃないということをわかってほしい」とふてぶてしくこたえると、
とくいのでんぐりがえしをきめました。

『もうほう火なんてしない、しないよぜったい』

つらいさんのそのことばをしんじて、あにきかねもとたちはみんなで1からがんばるけついをしました。

ちなみに、村のちょちくがわるくなったえいきょうでしもさんがみるみるおとろえていきました。

あたらしいいなさくシーズンをむかえました。きせつは春。
あにきかねもとたちはしんきいってん。
あにきかねもとははんしん村をもりあげようと、つらいさんをさそってたき火をしました。

つらいさんはたき火をたのしみながら、「きょねんのかりをかえしたい」としんけんな目であにきかねもとに言いました。

あにきかねもとも、その目をみてかくしんしました。
つらいさんは、ことしはやってくれる、と。

ところがたき火からいっかげつもしないころ、
「ひゃっはー!ざっそうはしょうきゃくだー!」
つらいさんはいきなりそうさけぶと、こんどはあろうことか、あにきかねもとのたんぼをねこそぎぬいていきました。

うつわのでかさに定ひょうがあるあにきかねもとも、これにはぶちぎれ。
ことばよりもまずてっけんせいさいです。

「なにやっとんのや、コラ!!」

はんしん村のみんなは、あにきかねもともたいがいたいまんなさぎょうをしているよな、と思っていましたが口にはだしません。
くびはからだのなかでもだいじなばしょだからです。

あにきかねもとのじごくのもうだショーがおこなわれている中、とりたにはいんきょしている「どんでん」に話をききにいきました。

「かくかくしかじかで…」
とりたにはせつじつにかたりました。

するとどんでんは「そらもう桧山よ。」

とりたには、しょうじきひやまのことはわすれていました。
どんなにしっかりものでもうっかりミスはあります。
しかし、大したミスではないとはんだんしたのでとくにおちこんだりはしませんでした。

「そんなもんおまえ、うちにくいたまばっかうってるやろ。つらいわ。
 アカンよあんなん。アカンアカン。やったら。ここでひやまださんと。」

とりたには、うつだとかなんだとかよくわからないので、からすもないているのできたくしました。

そのころ村では、つらいさんがぎりぎりのらいんで生かされていました。

めんどくさくなったあにきかねもとは、ひろしま村につらいさんをかえしに行きました。

ひろしま村についたあにきかねもとはあぜんとしました。

つらいさんがぬけたことで、ひとでぶそくになっているとおもっていたひろしま村は、
はんしん村ではかげがうすかったあかまつがそこそこがんばってあなをうめていたからです。

あにきかねもとはだめもとで「これ、いらんか?」とつらいさんをさしだしました。
するとひろしま村のめんめんはれっかのごとくおこりはじめました。

「おどりゃめんちかつにするぞ!!」

ふだんはたいまんさぎょうのあにきかねもとも、このときばかりは全力しっ走。あわてて村にかえりました。

村にかえったあにきかねもとは言いました。

「みんなにそうだんがあるんや…」

その後、はんしん村ではまたしてもたき火大会がおこなわれました。

しかし、つらいさんのすがたはどこにもありません。

もえさかるほのおのなかに、mizunoというきごうがうかびあがったようなきがしましたが、気のせいでしょう。

その後もつらいさんのすがたを見たものは………………いない…。

アニキのフルイニングはまだまだつづくのであったとさ

おしまい

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最終更新:2009年10月25日 14:11
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