「使い魔は手に入れたい 21st Century Schizoid Man」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
使い魔は手に入れたい 21st Century Schizoid Man - (2007/09/10 (月) 20:06:24) の1つ前との変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
自分の評価をつけるのは何時だって自分ではなく他人だ。
自分のことを物凄く特別な存在だと思っていても、周りがそれは普通だといえば普通なのだ。
逆に自分ではそれが普通でも他人から見てそれが異質だといえば異質だということもよくある。
中肉中背。
顔はエリートっぽく気品漂うような顔、そして大人しめな物腰。
仕事は真面目でそつなくこなす。
そういった理由で女性社員にはもてるが、会社からは配達や使いっ走りばかりさせられている。
そして付き合いが悪く、なにをするにしても今ひとつ情熱のない。
悪い奴ではないのだが、これといって特徴のない、影の薄い男。
それが彼、吉良吉影を知る他人の評価だった。
好きな映画は『日の名残り』、『日の名残り』という同名の小説を映画化したもので、イギリスの執事の話。
小説はイギリスで最高の文学賞であるブッカー賞を受賞しているほど有名な作品で、一度は目を通した人も多いだろう。
好きなファッションは『ジャンフランコ・フェレ』で、『ジョルジオ・アルマーニ』、『ジャンニ・ヴェルサーチ』と共にミラノの3Gと称されたファッションブランドだ。
学歴はD学院大文学部卒。
好みの女性のタイプは特になく、ただ指に毛の生えた女性が嫌い。
彼のプライベートな一面を見ても特におかしなところはなく、普通という言葉がとく似合うことがわかる。
しかし、そんな彼の趣味は特殊なものだった。
その一つが、自分の切った爪を集め、長さを計り記録するというものだ。
その趣味は彼が普通なだけにことさら異質なものに感じられる。
彼もそれを自覚していたのか趣味を他人に教えるなどということは絶対にしなかった。
何故なら彼が目指していたものは平穏な人生だったからだ。
目立たず、騒がず、他人を敵にすることなく、激しい喜びもいらない、そのかわり深い絶望もない『植物の心』のように静かな生活。
そういった生活を目指しているなら、他人が注目するような趣味を教えることなど絶対にない。
彼は元々あまり人付き合いがいいほうではないので、他人と私的に話すこともあまりなかった。
なのでそれほど気をつけなくても趣味をうっかり暴露するということはなかった。
特殊な趣味を持つ彼は、それでも自分が目指す生活をしっかり歩んでいた。
しかし、1999年、当時彼は33歳で、人生まだまだこれからというとき、彼は救急車に轢かれ死んでしまった。
轢かれた原因は、もう一つの趣味であり、生まれ持った狂気だった。
普通を目指した彼は、生まれながらに狂気を持っていた。
人を殺さずにはいられないという性を。
こんな性は普通の生活、いや、人間らしい生活を送るためには不必要なものだ。
不必要ではなく、邪魔と断言できるだろう。
しかし、捨てるということはできない。抑えつけるにしても我慢の限界がある。
だから彼は、その性を、自分の本性を受け入れた。
どうしようもないものだから、抑えきれないものだから、前向きに行動することにしたのだ。
前向きに行動した結果、彼は死んだ。
使い魔は手に入れたい 21st Century Schizoid Man
身体を駆け回る衝動を何とか抑え込もうとして、自分の体を抱きしめる。
どういうことだこれは!?
ここはどこだ!?
彼女たちはどこへ行った!?
なぜこんなにも飢えている!?
そして今自分にとっての一番の問題は、やはり自分の性のことだった。
さっき女を二人殺したばかりだぞ!?
ほんのついさっきだ!
なのになぜこんなにも我慢している状態なんだ!?
おかしいだろう!
自分の性については自分が一番よく知っている。
生まれてからずっと付き合ってきたのだから。
大体4~5年周期で爪が激しく伸びる時期、そのときばかりは自分の欲望がコントロールできなくなる。
だが、その期間中ずっとコントロールできないわけじゃない。
その時期に一人殺せば大体数日は持つ。
そのはずなのに、さっき殺したはずなのに、なぜ我慢することができない!?
ああ、誰かを、女のあの細い首を絞めたい!
柔らかな肌を切りたい!刺したい!
こんな自分の心をだれかに打ち明けたい!
こんなにも飢えるのは子供の頃以来だ。
あのとき、私は自身のこの性にどう向かい合えばいいかわからなかった。
それどころかこれがどんなものなのかを理解すらできずに悶えていた。
あの時と一緒だ。
これが人を殺したいという衝動だと知ったときは随分と苦悩した。
人の常識として犯してはならない殺人を、自分は積極的にしたいと思っていることに愕然とした。
当然そんなことを親に話すことはできなかった。
それを開放したのはあのとき、杉本鈴美の家に行ったときだ。
もはや抑えることのできなくなった自分の本性をあの家でさらけ出した。
その結果、私はあの家の人間を全て殺してしまった。
そのときの気分は、最高だった。
今まで抑えていたものが体から一気に解き放たれたのだ。
気持ちよくないはずがない。
そうだ。
あの時のようにさらけ出したい!この苦痛から解き放たれたい!
解き放って清々しい気分になりたい!もう我慢限界だ!
だが!
だが、そこをあえて我慢する!
今やるべきことは、人を殺すことなどではない。
今必要なことは、現状の把握することだ。
感情に身を任せることは危険だというのは身をもって知っている。
あのとき、感情に身を任せたがゆえに、無敵のはずの『バイツァ・ダスト』がちっぽけな小僧に破られてしまった。
あのときの過ちを基にここは我慢するべきなのだ。
現状を把握して自分の置かれている立場理解しなくては!
突然ここにいるわけを把握しなければ!
殺すのはそのあとだ。
自分の評価をつけるのは何時だって自分ではなく他人だ。
自分のことを物凄く特別な存在だと思っていても、周りがそれは普通だといえば普通なのだ。
逆に自分ではそれが普通でも他人から見てそれが異質だといえば異質だということもよくある。
中肉中背。
顔はエリートっぽく気品漂うような顔、そして大人しめな物腰。
仕事は真面目でそつなくこなす。
そういった理由で女性社員にはもてるが、会社からは配達や使いっ走りばかりさせられている。
そして付き合いが悪く、なにをするにしても今ひとつ情熱のない。
悪い奴ではないのだが、これといって特徴のない、影の薄い男。
それが彼、吉良吉影を知る他人の評価だった。
好きな映画は『日の名残り』、『日の名残り』という同名の小説を映画化したもので、イギリスの執事の話。
小説はイギリスで最高の文学賞であるブッカー賞を受賞しているほど有名な作品で、一度は目を通した人も多いだろう。
好きなファッションは『ジャンフランコ・フェレ』で、『ジョルジオ・アルマーニ』、『ジャンニ・ヴェルサーチ』と共にミラノの3Gと称されたファッションブランドだ。
学歴はD学院大文学部卒。
好みの女性のタイプは特になく、ただ指に毛の生えた女性が嫌い。
彼のプライベートな一面を見ても特におかしなところはなく、普通という言葉がとく似合うことがわかる。
しかし、そんな彼の趣味は特殊なものだった。
その一つが、自分の切った爪を集め、長さを計り記録するというものだ。
その趣味は彼が普通なだけにことさら異質なものに感じられる。
彼もそれを自覚していたのか趣味を他人に教えるなどということは絶対にしなかった。
何故なら彼が目指していたものは平穏な人生だったからだ。
目立たず、騒がず、他人を敵にすることなく、激しい喜びもいらない、そのかわり深い絶望もない『植物の心』のように静かな生活。
そういった生活を目指しているなら、他人が注目するような趣味を教えることなど絶対にない。
彼は元々あまり人付き合いがいいほうではないので、他人と私的に話すこともあまりなかった。
なのでそれほど気をつけなくても趣味をうっかり暴露するということはなかった。
特殊な趣味を持つ彼は、それでも自分が目指す生活をしっかり歩んでいた。
しかし、1999年、当時彼は33歳で、人生まだまだこれからというとき、彼は救急車に轢かれ死んでしまった。
轢かれた原因は、もう一つの趣味であり、生まれ持った狂気だった。
普通を目指した彼は、生まれながらに狂気を持っていた。
人を殺さずにはいられないという性を。
こんな性は普通の生活、いや、人間らしい生活を送るためには不必要なものだ。
不必要ではなく、邪魔と断言できるだろう。
しかし、捨てるということはできない。抑えつけるにしても我慢の限界がある。
だから彼は、その性を、自分の本性を受け入れた。
どうしようもないものだから、抑えきれないものだから、前向きに行動することにしたのだ。
前向きに行動した結果、彼は死んだ。
使い魔は手に入れたい 21st Century Schizoid Man
身体を駆け回る衝動を何とか抑え込もうとして、自分の体を抱きしめる。
どういうことだこれは!?
ここはどこだ!?
彼女たちはどこへ行った!?
なぜこんなにも飢えている!?
そして今自分にとっての一番の問題は、やはり自分の性のことだった。
さっき女を二人殺したばかりだぞ!?
ほんのついさっきだ!
なのになぜこんなにも我慢している状態なんだ!?
おかしいだろう!
自分の性については自分が一番よく知っている。
生まれてからずっと付き合ってきたのだから。
大体4~5年周期で爪が激しく伸びる時期、そのときばかりは自分の欲望がコントロールできなくなる。
だが、その期間中ずっとコントロールできないわけじゃない。
その時期に一人殺せば大体数日は持つ。
そのはずなのに、さっき殺したはずなのに、なぜ我慢することができない!?
ああ、誰かを、女のあの細い首を絞めたい!
柔らかな肌を切りたい!刺したい!
こんな自分の心をだれかに打ち明けたい!
こんなにも飢えるのは子供の頃以来だ。
あのとき、私は自身のこの性にどう向かい合えばいいかわからなかった。
それどころかこれがどんなものなのかを理解すらできずに悶えていた。
あの時と一緒だ。
これが人を殺したいという衝動だと知ったときは随分と苦悩した。
人の常識として犯してはならない殺人を、自分は積極的にしたいと思っていることに愕然とした。
当然そんなことを親に話すことはできなかった。
それを開放したのはあのとき、杉本鈴美の家に行ったときだ。
もはや抑えることのできなくなった自分の本性をあの家でさらけ出した。
その結果、私はあの家の人間を全て殺してしまった。
そのときの気分は、最高だった。
今まで抑えていたものが体から一気に解き放たれたのだ。
気持ちよくないはずがない。
そうだ。
あの時のようにさらけ出したい!この苦痛から解き放たれたい!
解き放って清々しい気分になりたい!もう我慢限界だ!
だが!
だが、そこをあえて我慢する!
今やるべきことは、人を殺すことなどではない。
今必要なことは、現状の把握することだ。
感情に身を任せることは危険だというのは身をもって知っている。
あのとき、感情に身を任せたがゆえに、無敵のはずの『バイツァ・ダスト』がちっぽけな小僧に破られてしまった。
あのときの過ちを基にここは我慢するべきなのだ。
現状を把握して自分の置かれている立場理解しなくては!
突然ここにいるわけを把握しなければ!
殺すのはそのあとだ。
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: